4月18日 大幅な引上げとなる障害者の法定雇用率

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

企業は障害者雇用促進法に基づき、一定人数の障害者を雇用する義務があります。雇用すべき人数は、全労働者に対する対象障害者である労働者の割合を基準として算出する法定雇用率に基づき決まります。法定雇用率は、少なくとも5年毎に、この割合の推移を勘案して設定することとされていますが、2023年4月より新しい法定雇用率に見直されました。以下では、今後の法定雇用率の動き等についてとり上げます。

【1】法定雇用率

民間企業における法定雇用率は、2023年4月より7%に引き上げられましたが、引上げ幅が大きいこともあり、雇入れに係る計画的な対応ができるよう、2023年4月から1年間は2.3%で据え置きとなりました。そして、2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%と段階的に引上げとなります。

法定雇用率が2.5%となった場合、1人以上の障害者を雇用すべき企業の範囲が、現行の従業員数43.5人以上から40.0人以上になり、法定雇用率が2.7%となった場合は37.5人以上に広がります。

【2】除外率の引下げ

障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種(建設業、道路貨物運送業、医療業など)について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除(障害者の雇用義務を軽減)する制度があります。この除外率は、2004年4月以降、廃止に向けて段階的に引下げ・縮小が行われており、2025年4月からは10%引き下げられます。

この引下げにより、除外率が5~10%となっている非鉄金属製造業(非鉄金属第一次製錬精製業を除く)、倉庫業、航空運輸業、窯業原料用鉱物鉱業(耐火物・陶磁器・ガラス・セメント原料用に限る。)等の計9業種については除外率の適用対象外となります。その一方で、警備業、介護老人保健施設、介護医療院の3業種が新たに加えられます。

[3] 短時間労働者の実雇用率に算定する特例

現行、法定雇用率の算定に含めることのできる労働者は、週の所定労働時間が20時間以上の人だけですが、2024年4月より、週の所定労働時間10時間以上20時間未満の重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者について、就労機会の拡大のため、実雇用率において算定できるようになります。

法定雇用率の引上げに伴い、自社において障害者の雇用義務が発生するのか、発生する場合には何人の雇用が必要なのかを確認の上、採用等の対応を進めましょう。

■参考リンク
厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について

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4月11日 2023年度の雇用保険料率と雇用保険の給付概要

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

雇用保険料率は財政状況に応じて毎年度、見直しが行われています。2023年度の雇用保険料率は、2022年度の下期から引き上げられることになりました。今回は、その内容と従業員が雇用保険から受けられる各種給付について確認しましょう。

[1]2023年度の雇用保険料率
 2022年度はコロナ禍で雇用保険料率を引き上げることに対する労使の負担感が考慮され、上期と下期の2段階での引上げとなりました。2023年度は2022年度の下期の雇用保険料率から従業員負担・会社負担ともに1/1,000引き上げられ、下表のとおりとなります。

平成29年度雇用保険料率引き下げ決定です | 色はいろいろ

[2]雇用保険の給付
 雇用保険の給付を確認すると、まず「育児休業給付」と「失業等給付」に分かれます。前者の育児休業給付は、育児・介護休業法における育児休業および出生時育児休業を取得した際に行われる給付です。
 後者の失業等給付は、労働者が失業した場合や会社が従業員を継続して雇用することが難しくなるような事由が生じた場合に、従業員(退職者を含む)に必要な給付を行うとともに、その生活及び雇用の安定を図るための給付です。大きく分けて、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の4 種類から構成されています。

[3]失業等給付における各給付の概要
 各給付の概要は以下の通りです。

  1. 求職者給付
    従業員が退職した場合に支給される基本手当を中心に、失業者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にすることを目的として支給されるもの。
  2. 就職促進給付
    失業者が早期に再就職した際に支給される再就職手当等、失業者が再就職するのを援助、促進することが主目的とされるもの。
  3. 教育訓練給付
    労働者の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を目的とするもの。
  4. 雇用継続給付
    労働者の職業生活の円滑な継続を援助、促進することを目的とするもの。

 なお、従業員が負担する雇用保険料は育児休業給付および失業等給付に対する給付の財源として充てられています。

 雇用保険料率が引き上げられ、従業員の負担感が増すタイミングであることから、雇用保険にどのような給付が設けられているか従業員にも周知すると良いでしょう。その際、教育訓練給付を利用することで、働きながらスキルアップできる仕組みがあることを伝えることができます。

■参考リンク
厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内
ハローワークインターネットサービス「雇用保険制度の概要

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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4月4日 STOP!熱中症 クールワークキャンペーン

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
厚生労働省は、職場における熱中症予防対策を徹底するため、労働災害防止団体などと連携し、5月から9月まで、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します。

昨年1年間の職場における熱中症の発生状況は、死亡を含む休業4日以上の死傷者 805 人、うち死亡者は 28 人となっています。
業種別にみると、死傷者数については、建設業 172 件、製造業 144 件となっており、全体の約4割がこれら2つの業種で発生しており、また、死亡者数は、建設業、警備業の順に多くなっております。

熱中症といえば屋外の作業を思いがちですが、屋内でも熱中症のリスクは十分にあります。
熱中症と疑われる症状が発生したら、速やかに応急処置を行いましょう。

熱中症かな?と思ったら。。。


※参考:厚生労働省「職場で起こる熱中症
※参考:環境省「熱中症予防情報サイト

暑さが厳しくなる前に、熱中症に対する認識を深めておきましょう!

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3月28日 定期健康診断を実施しましょう!

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
4月から新しい年度になり、定期健康診断を考えている御会社も多いのではないでしょうか?
定期健康診断は、年に一度の実施が労働安全衛生法で定められています。
常時使用する労働者が1名でもいれば、その時点で健康診断の実施義務は発生します。
今回は、定期健康診断の実施にあたり、よくある質問にお答えします!

Q1.定期健康診断の費用は誰が負担するべきですか。
A.事業主が負担することとなります。
健康診断実施は、労働安全衛生法で事業者の義務とされていますので、費用は事業主が負担することになります。

Q2.定期健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか。
A.一般健康診断の実施に要した時間に対する賃金は労使間の協議によって定めるべきものになります。
ただし、円滑な受診を考えれば、受診に要した時間の賃金を事業主が支払うことが望ましいとされています。

Q3.定期健康診断の結果は労働者個人に通知しなければなりませんか。
A. 通知は必要となります。
労働安全衛生法に基づく健康診断の結果は、労働者自ら健康管理ができるようにその結果を労働者に通知することが義務づけられています。

Q4.経費節減のため、定期健康診断の項目の一部を省略することができると聞きましたが、問題ありませんか。
A.事業主の判断で省略はできません。
定期健康診断の項目は、労働安全衛生法で定められていますので、事業主の判断で省略はできませんが、医師の判断( 医師が必要でないと認めるとき)により健診項目の一部を省略できます。

Q5. 個人的に人間ドッグ等を受けた労働者に対しても健康診断を実施する必要がありますか。
A. 健診の必要はありません。
ただし、人間ドックの結果の写し等を会社に提出してもらう必要があります。
また、これと同様に市町村で実施している健康診断を受診した場合も、会社にその結果を提出してもらう必要があります。ただし、市町村が実施する健康診断の中には労働安全衛生法で定められている健康診断の項目を全て実施していないものがありますので、健診機関等で不足する項目を受診した結果を会社に提出してもらう必要があります。

Q6. 産休で休業している労働者がいます。定期健康診断の時期が来たのですが、定期健康診断を受診させなければなりませんか。
A.定期健康診断を受診させなくとも差し支えありません。
会社は、定期健康診断を実施すべき時期に、労働者が、育児休業、療養等により休業中の場合には、定期健康診断を実施しなくても差し支えありません。
ただし、休業終了後、速やかに、定期健康診断を実施しなければなりません。

■■健康診断費用には「協会けんぽ」から補助があります■■
令和5年度から自己負担額(会社負担額)が下がりました!

※参考:厚生労働省「生活習慣病予防検診のご案内
※参考:厚生労働省「健康診断を実施しましょう

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3月22日 従業員を雇うときのルール

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
寒さも少し和らぎ、季節も春に向かっているのを感じるようになりました。
4月から新入社員を迎える御会社も多いのではないでしょうか?
今回は新入社員を迎えるにあたり、「雇用契約」と「労働契約」についてお話します。

「雇用契約」と「労働契約」どう違うのか? と、ご質問を受けることがあります。

「雇用契約」は、民法第623条で定めている「雇用」に関する契約のことをいいます。
雇用とは、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力が生じます。
 一方、「労働契約」は、労働契約法により、「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意すること」と規定されています。

この2つの大きな違いは、その対象としている「労働者」です。
労働契約法でいう「労働者」は「同居の親族のみを使用する業務」の場合は労働者から除外されており、「労働に従事する」すべての人を労働者と定義する民法とでは、労働者の範囲に違いがあります。
一般的に会社が従業員と締結する契約は「労働契約」になります。
労働契約には一定のルールがあります。

(1)労働条件の明示
労働契約を結ぶときには、使用者が労働者に労働条件を明示することが必要です。 さらに、特に重要な次の項目については、口約束だけではなく、きちんと書面を交付する必要があります。

これら以外の労働契約の内容についても、労働者と使用者はできる限り書面で確認する必要があると定められています。

(2)労働契約の禁止事項
労働法では、労働者が不当に会社に拘束されることのないように、労働契約を結ぶときに、会社が契約に盛り込んではならないことも定められています。

※参考:厚生労働省「従業員を雇う場合のルールと支援策

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3月14日 管理監督者、正しく理解していますか?

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズです。
「管理監督者」とは、どのような人をいうのでしょうか?
「店長」「工場長」「課長」「リーダー」等、肩書のある人を思い浮かべることでしょう。

管理監督者といっても取締役のような役員とはちがい、労働者であることに変わりはありません。
しかし、管理監督者は経営者に代わって同じ立場で仕事をする必要があり、その重要性や特殊性から労働時間等の制限を受けないこととなっています。

じつは管理監督者は、労働基準法に明確に定められているのです。
「管理職だから残業手当は必要ない」 よく聞くお話ですが、会社内で管理職としての地位にある従業員でも、労働基準法上の「管理監督者」に当てはまらないことがあります。
また、管理監督者であっても健康を害することのないように勤怠管理は必要とされています。

今回は、広くとらえられがちな「管理監督者」の範囲と定義についてお話いたします


これらにあてはまらない人は、社内で管理職とされていても、残業手当や休日出勤手当が必要です!

■■経営者と一体的な立場で仕事をしている■■
経営者と一体的な立場で仕事をするためには、経営者から管理監督、指揮命令にかかる一定の権限を委ねられている必要があります。
具体的には「採用」「解雇」「人事考課」「労働時間の管理」などです。
これらが自らの裁量で行使できる権限が少なく、多くの事案について上司に決裁を仰ぐ必要があったり、上司の命令を部下に伝達するに過ぎないような場合は認められません。

■■出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない■■
管理監督者は、時を選ばず経営上の判断や対応を求められることがあり、労務管理においても一般の従業員と異なる立場に立つ必要があります。このような事情から、管理監督者の出退勤時間を厳密に決めることはできません。また、勤務時間の制限がない以上、出退勤時間も自らの裁量に任されていることが必要です。遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となります。

また、営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等の人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならないなどにより長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないと認められる場合には、管理監督者性を否定する要素の1つとなります。

■■その地位にふさわしい待遇がなされている■■
管理監督者はその職務の重要性から、地位、給料その他の待遇において一般の従業員と比較して相応の待遇がなされていなければいけません。
基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、該当の労働者の保護に欠けるおそれがあると認められるときは、管理監督者性を否定する要素の1つとなります。

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3月7日 2023年4月より出産育児一時金の金額が50万円に増額されます!

こんにちは、福岡助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
健康保険法施行令の改正により、2023年4月より出産育児一時金の金額が改定されることが決まりました。

出産育児一時金とは、健康保険法等に基づく保険給付として、健康保険や国民健康保険などの被保険者またはその被扶養者が出産したとき、出産に要する経済的負担を軽減するため、一定の金額が支給される制度です。

今般、社会保障審議会医療保険部会において、「出産育児一時金の額は、令和4年度の全施設の出産費用の平均額の推計等を勘案し、令和5年4月から全国一律で 50 万円に引き上げるべき」とされたことを踏まえ、現行の 40.8 万円から 48.8 万円に引き上げられます。

これにより、産科医療補償制度の加算対象となる出産に係る出産育児一時金の支給額は、以下のとおりとなります。

出産育児一時金の給付額は、多胎出産(双子、三つ子など)の場合、多児数に応じて支給額が決定されますので、2023年4月より、双子の場合は「50万円×2=100万円」となります(産科医療補償制度の加算対象の場合)。

■■支給を受ける要件■■
被保険者または家族(被扶養者)が、妊娠4か月(85日)以上で出産をしたこと。(早産、死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)も支給対象として含まれます。)

■■出産育児一時金の支給方法■■
出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、出産育児一時金を医療機関等に直接支払う仕組み(直接支払制度)があります。
その場合、出産費用としてまとまった額を事前に用意する必要はありません。

なお、直接、医療機関等に出産育児一時金が支払われることを希望しない方は、出産後に被保険者の方が申請することにより、出産育児一時金を受給する方法を選択することも可能です。

※参考:全国健康保険協会「子どもが生まれた時

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2月28日 休業手当と休業補償、なにが違うの?

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
新型コロナウイルスの影響により、会社が休業を余儀なくされることも増えています。
そこでよく混同されるのが「休業手当」「休業補償」です。
どちらも「休業」と付いていますが、その内容は全く別の制度です。
今回は「休業手当」と「休業補償」を整理していきましょう!

両者の違いを示すと次のようになります。

並べて見ると違いが良く分かりますね。
では、「会社都合で休業をするとき」とは、具体的にどのような時なのでしょうか?

◆休業手当の支給が必要な、会社都合に該当するもの事例
〇 工場などでの生産調整のための一時休業
〇 親会社の経営難から、下請工場が資材、資金を獲得できず休業
〇 新規学卒採用内定者に対する会社の都合による自宅待機期間の休業
〇 監督官庁の勧告により操業停止した場合の休業
〇 新型コロナウイルス感染症への感染が疑われる従業員を、会社側が自主的な判断でさせる休業

◆会社都合に該当しないもの事例
〇 天災事変による休業
〇 休電による休業
〇 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)に基づき、都道府県知事が要請する就業制限による休業

■■対象者と支給額の計算について■■
休業手当は、正社員やパート、アルバイト、契約社員など、雇用形態に関係なく全ての従業員が対象となります。
支給額の計算に使用する「平均賃金」は以下のように計算します。

事由の発生した日以前の3カ月間に支払われた賃金総額 ÷ 計算した3カ月間の総日数(暦日数)

■■一部休業日における支給額の計算■■
労働日の一部を休業した時は「平均賃金の60%と一部休業日に支払われた賃金の差額」を支払います。

休業手当=(平均賃金×60%)-(支払われた賃金額)

例えば、平均賃金が8,000円で、その日の一部勤務に対して支払われた賃金が2,000円の場合
8,000円×60%-2,000円=2,800円
2800円の休業手当の支給が必要となります。

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2月21日 時間外労働を行うには36協定が必要です!

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

時間外労働・休日労働に関する協定(通称 36(サブロク)協定)を届け出ていますか?
労働基準法では、1 日及び1 週間の労働時間並びに休日日数を定めていますが、これを超えて、時間外労働又は休日労働させる場合には、あらかじめ「36 協定」を締結し、労働基準監督署に届け出ることとなっています。

◆労働時間と休日のきまり
労働時間とは、始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間をいいます。
労働時間の長さは、原則として週40時間以内、1日8時間以内に制限されています。
また、休日とは、労働契約で労働義務がないとされている日のことをいいます。
会社は従業員に毎週少なくとも1回、あるいは4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

◆時間外労働・休日労働をする場合
会社が法定労働時間を超えて従業員を働かせる場合や法定休日に働かせる場合には、各事業場(店舗)毎に、あらかじめ過半数を組織する労働組合がある場合にはその労働組合との間又は労働者の過半数代表者に、「時間外労働・休日労働に関する協定」を締結し、労働基準監督署長に届け出なければなりません。
この協定は労基法第36条に規定されていることから、「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。
また、会社が従業員に時間外労働・休日労働をさせた場合には割増賃金を支払うこととなります。

◆労働時間の上限
36協定において定める労働時間の延長の限度等に関しては、労基法で定められており、その上限を超えた時間を協定することはできません。

①限度時間 原則として月 45 時間以内、年360 時間以内

②限度時間を超えて労働させる場合
臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)には、①の限度時間を超えて労働させることが可能ですが、その場合でも次の事項を守らなければなりません。

③時間外労働及び休日労働の限度
36協定で定める時間数の範囲内であっても、時間外労働及び休日労働の合計の時間数については、1か月100時間未満、2~6か月平均80 時間以内としなければなりません。

◆届出
36協定は所轄の労働基準監督署長に届け出ることとなっています。
届出をすることにより36協定は有効になりますので、起算日と届出日に注意が必要です。

例えば、36協定届の起算日を「2023年4月1日」としたとします。しかし、実際に届出が受理されたのが4月15日になってしまうと、4月14日までの残業時間は法違反となります。

届出日より遡って36協定を有効にすることはできませんので、協定の締結後は速やかに提出しましょう!

※参考:厚生労働省「労働時間・休日
※参考:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針

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2月14日 こんな時どうする? 有給休暇の疑問にお答えします!!

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
従業員を雇い入れている御会社で有給休暇管理は必須業務であります。
有給休暇の管理をしていく中で、「こんな時はどうするの?」にお答えいたします!

◆退職届を出した従業員に新しい有給休暇を付与する必要はあるか?
退職日が確定している従業員であっても、出勤率の要件を満たしている限り、付与日が到来すれば新しい有給休暇を付与する必要があります。
また、退職することが決まっていること(残りの在籍期間が少ないこと)を理由に、付与日数を少なくすることもできないこととなっています。

◆退職日以降の有給休暇はどうなるの?
退職したときに未消化で残っている有給休暇は、退職と同時に無効になります。
有給休暇は、出勤日(出勤の義務がある日)の勤務を免除して、賃金を支払うという制度です。
退職日以降は「出勤日」がありませんので、有給休暇を取得することができないのです。
なお、退職日までの期間に対して有給休暇の請求を受けた場合の会社の時季変更権は、退職日以降の日を指定することはできませんのでご注意ください。

◆退職で無効となった有給休暇は買い取りが必要なのか?
退職する従業員から、未消化の有給休暇を買い取るよう求められたとしても、会社は応じる義務はありません。
有休休暇の買い取りは、原則禁止されているのです。
ですが例外として、従業員が退職する時点で消化していない有給休暇について、買取りが認められています。
有給休暇を買い取るかどうかは会社の判断になりますので、買い取り金額も会社が自由に決めることができます。

◆出勤率80%未満の従業員の有給休暇付与について
出勤率が8割未満の従業員について、有給休暇の要件を満たしていないため、有給休暇を与える必要はありません。
有給休暇の付与日数は「0日」となります。

【付与の例】

ある1年に8割出勤しなかった場合、その年分の有給休暇の付与日数は0日になりますが、継続勤務年数の進行が止まったり、前年に戻ってしまう訳ではなく、2年6か月の勤続年数はあくまで2年6か月間の勤続年数であるとして、取得日数(12日)が付与されることになります。

◆5日の取得義務について
年10日以上の有給休暇が付与される従業員について、付与された有給休暇の日数のうち5日は会社が時季を指定するなどして取得させる義務があります。

[1]私傷病により休職している従業員の対応
休職は、「出勤日」について労働義務が免除される取り扱いです。付与日以前から休職をしていて、付与日から1年間のすべてが休職となっていた(1年間の途中一度も復帰しなかった)場合は、有給休暇を取得させることが不可能であるため、5日の取得ができないとしても法違反に問われるものではありません。

[2]育児休業中の従業員の対応
育児休業も、休職と同様に休業を申し出た期間について労働義務が免除されるため、付与日から1年間のすべてについて、育児休業を取得しているようなときは、[1]と同様の考え方になります。

ただし、付与日から1年経過するまでに育児休業から復帰した従業員は有給休暇の取得義務の対象になります。
その際、復帰した日から付与日から1年経過する日までにある「出勤日」が5日に未満であり、年5日の年休を取得させることができないときは、取得できなくてもやむを得ないこととなります。

※参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説

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