12月3日 次世代法における一般事業主行動計画の策定等と改正

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

急激な少子化の進行に対応して、次代の社会を担う子どもの健全な育成を支援するため、2005年に次世代育成支援対策推進法(以下、「次世代法」という)が施行されました。2025年3月末までの時限立法でしたが、2024年の通常国会で2035年3月末まで延長され、また一部の内容が改正されたことから、法律のポイントと改正点を確認します。

 

[1]行動計画の策定・変更
 次世代法では、次世代育成支援のための一般事業主行動計画(以下、「行動計画」という)の策定・届出、公表・周知を、従業員数100人超の企業に義務付けています。
 行動計画では、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たり、以下の項目を定めるものです。

[行動計画に定める項目]

  1. 計画期間
  2. 目標
  3. 目標達成のための対策およびその実施時期

 企業によって、仕事と子育ての状況に違いがあります。そのため、どのような行動計画を策定するかは、企業の判断に委ねられています。ただし、今回の改正では、行動計画に育児休業取得の状況(男性の育児休業等取得率)や労働時間の状況(フルタイム労働者の各月の時間外・休日労働時間数等)に関する数値目標を設定することが義務付けられました。

[2]自社の状況の把握・分析
 行動計画を効果的なものにするためには、自社の現状の課題に沿った内容を策定する必要があります。そのため、今回の改正では、行動計画策定・変更時に、自社の育児休業の取得状況や労働時間の状況を把握することも企業に義務付けています。改正法施行後に新たに策定する行動計画は、改善すべき事情を分析した上で、分析結果を勘案して策定をすることとなります。

 

[3]育休取得率の公表義務拡大
 育児・介護休業法の改正により、現在、従業員数1,000人超の企業を対象に義務付けられている育児休業の取得状況の公表が、2025年4月以降、従業員数300人超の企業に拡大されます。
 若年層の採用においては、育児休業の取得状況に着目する者も多くいることを念頭に置くと、自社の状況を把握・分析し、効果的な対応を取っていくことは人材採用の観点からも重要となります。

 改正次世代法の施行は、2025年4月1日であり、施行日以降に開始または内容を変更する行動計画から義務の対象となります。自社の状況の把握には時間を要することもありますので、特に行動計画の策定等が義務とされている企業では、現在の行動計画の内容を確認し、早めの取組みを進めましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法

 

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11月26日 改めて確認したい労働時間の取り扱い

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9月に厚生労働省から労働時間の適正把握に関するリーフレット「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」(以下、「リーフレット」という)が公開されました。以下では、このリーフレットの内容と労働時間を取り扱う際の注意点についてとり上げます。

 

[1]労働基準法違反とされる取り扱い
 本リーフレットの内容の多くは「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の重要箇所となっていますが、今回は労働時間の端数処理に関して、以下の取り扱いが労働基準法違反となることが示されています。
 (1) 勤怠管理システムの端数処理機能を使って労働時間を切り捨てている
 (2) 一定時間以上でしか残業申請を認めない
 (3) 始業前の作業を労働時間と認めていない
 この中で、「(1)勤怠管理システムの端数処理機能を使って労働時間を切り捨てている」という項目については、勤怠管理システムの端数処理機能を設定し、例えば日々の時間外労働時間のうち15分に満たない時間を一律に切り捨て(丸め処理)をしている例が違反事例として挙げられています。一番のポイントは、労働時間であるにも関わらず切り捨てられていることです。この機会に、自社の勤怠管理システムの端数処理機能の設定を確認し、取り扱いに問題があれば対応を検討しましょう。

[2]労働時間を取り扱う際の注意点
 適正な労働時間管理を行うためには、そもそも労働時間の定義を確認しておくことが重要です。労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを言い、使用者の明示または黙示の指示によって、労働者が業務に従事する時間は労働時間となります。
 具体例を挙げるとすれば、通勤ラッシュの回避等の理由で、労働者が自発的に始業時刻より前に会社に到着するようなケースがあります。このケースにおいては、始業時刻までの間、業務に従事しておらず、業務の指示も受けていないような場合には、労働時間に該当しませんが、業務を行っている場合は、黙示の指示があったとされる可能性があります。そのため、始業時刻までの時間に業務を行う必要がなければ、始業時刻になってから業務を開始するよう労働者に周知・徹底することが求められます。会社としては、後になって労働時間だとの指摘を受けないように対応しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

 

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11月19日 12月2日から変わる社会保険の資格取得手続き

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2024年12月2日以降、現行の健康保険証が発行されなくなり、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録する「マイナ保険証」の本格運用が開始されます。これに伴い、従業員が入社したときの社会保険の手続き等が一部変更になるため、その内容を確認しておきましょう。

 

[1]現行の健康保険証の発行
 現行の健康保険証は、2024年12月2日以降は、発行されなくなります。これは、新たに資格取得をする従業員はもちろんのこと、家族が被扶養者として認定を受けるときも同様です。また、婚姻等で氏名変更となる場合や現行の健康保険証を紛失した場合に関しても、再発行は行われません。
 なお、現行の健康保険証が発行されるタイミングは、交付年月日を基準とすることになっており、資格取得日や扶養の異動の認定日が基準となるわけではありません。

[2]12月2日以降の手続き
 2024年12月2日以降は、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」および「被扶養者(異動)届」に新たに「資格確認書発行要否」欄が設けられます。
 マイナンバーカードを作っていない人や、健康保険証として利用登録を行っていない人等(以下、「マイナ保険証を利用できない人」という)の手続きを行う際には、資格確認書の発行が必要かを確認の上、発行が必要なときには要否欄の「□発行が必要」にチェックを入れることになります。これにより、資格確認書が発行され、医療機関等の窓口で提示することにより保険診療での受診ができるようになります。
 なお、要否欄にチェックが入っていない場合でも、マイナ保険証を利用できない人には、資格確認書が発行されることになっています。ただし、その場合は資格確認書の発行までに時間がかかるとされています。

 

[3]手続きに必要な情報の確認
 今後、資格取得届や被扶養者異動届の作成をする際には、マイナ保険証を利用できない人か否かを確認する必要があります。そのため、従業員の入社が決まった際などには、以下の情報を入手しておくとスムースな運用になります。
 1.マイナンバーカードを作っているか
 2.マイナ保険証の利用登録状況
特に、2.については自らが登録したか否かを把握していない人も見受けられます。入社後等に確認していると、手続きに時間を要することにもなりかねません。

 健康保険証の利用登録状況は、マイナポータルのログイン後のトップ画面で確認できます。具体的には、「証明書」エリアから開くことのできる「健康保険証」ページにて確認ができます。登録が完了している場合は、健康保険証としての登録状況に「登録済」と表示されます。必要な情報を確認する際には、このような案内を加えてもよいでしょう。

■参考リンク
日本年金機構「令和6年12月2日以降は健康保険証が発行されなくなります
マイナポータル「健康保険証の登録が出来ているか確認する方法はありますか。

 

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11月12日 自転車の危険運転に対する罰則の創設とその対応

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自転車を通勤や業務のために利用しているケースが見られますが、自転車の事故のリスクは高く、しばしば問題になります。また2024年11月から自転車運転に関して改正道路交通法が施行されたこともあり、以下では、この改正内容と自転車関連事故件数の状況をとり上げます。

 

[1]2024年11月施行の改正道路交通法の内容
 2024年11月1日より改正道路交通法が施行され、自転車の危険な運転に対して新しく罰則が適用されることになりました。内容は、「運転中のながらスマホ」と「酒気帯び運転および幇助」の2つがあり、詳細は以下のとおりです。

  1. 運転中のながらスマホ
     スマートフォンなどを手で保持して、自転車に乗りながら通話する行為、画面を注視する行為が新たに禁止され、以下の罰則の対象となりました。

    • 違反者:6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金
    • 交通の危険を生じさせた場合:1年以下の懲役または30万円以下の罰金
       
  2. 酒気帯び運転および幇助
     自転車の酒気帯び運転のほか、酒類の提供や同乗・自転車の提供に対して以下の通り、新たに罰則が整備されました。

    • 違反者:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
    • 自転車の提供者:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
    • 酒類の提供者・同乗者:2年以下の懲役または30万円以下の罰金

[2]自転車関連事故件数の状況と保険加入の義務化
 2023年中の自転車関連事故(自転車が第1当事者又は第2当事者となった交通事故をいう。)の件数は、72,339件で前年より2,354件増加しています。また、全交通事故に占める構成比は23.5%で、約4件に1件の割合となっています。

 自転車事故が原因で、加害者が高額な損害賠償を請求されるケースが出てきています。そのため、条例により自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化する動きが広がっています。2024年4月1日現在、34都府県において条例により自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化し、10道県において努力義務化する条例が制定されています(下表参照。表はクリックで拡大できます。)。  

 このように自転車による事故はかなりの件数に上ることから、自転車通勤をしている従業員に対しては、自転車損害賠償保険等への加入を促すことが有効です。

 今回の施行された改正道路交通法の内容については、参考リンクにある警察庁のホームページからポスターやリーフレットをダウンロードすることができます。事故防止の観点からも、社内にポスター等を掲示するなどして、従業員に対して注意喚起をしていきましょう。

 

■参考リンク
警察庁「自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~
国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について

 

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11月5日 今年も11月に実施される過重労働解消キャンペーン

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厚生労働省では、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた気運を更に高めるために、例年11月に実施している過重労働解消キャンペーンを、今年も2024年11月1日(金)から11月30日(土)までの1ヶ月間において実施することにしています。

 

[1]過重労働解消キャンペーン
 このキャンペーンは、2014年に施行された過労死等防止対策推進法に基づき、11月が過労死等防止啓発月間とされていることから実施されるものであり、過労死等の一つの要因である長時間労働の削減等、過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組が集中的に実施されます。

[2]過重労働解消キャンペーンの実施内容
 過重労働解消キャンペーンの一つとして、長時間労働が行われていると考えられる事業場等への重点監督が予定されています。監督の対象となる事業場等や確認される事項は以下のとおりです。

  1. 監督の対象となる事業場等
    1. 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場や各種情報から時間外・休日労働時間数が1ヶ月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等
    2. 労働基準監督署およびハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなどの問題があると考えられる事業場等
  2. 重点的に確認される事項
    1. 時間外・休日労働が、時間外・休日労働に関する協定届(36協定)の範囲内であるか等について確認され、法違反が認められた場合は是正指導が行われる。
    2. 賃金不払残業が行われていないかについて確認され、法違反が認められた場合は是正指導される。
    3. 不適切な労働時間管理が行われているときは、労働時間を適正に把握するよう指導される。
    4. 長時間労働者に対しては、医師による面接指導等、健康確保措置を確実に講じるよう指導される。
  3. 厳正な対応監督指導の結果、重大・悪質な法違反が認められた場合は、送検され、公表される。

 なお、監督指導の結果、1年間に2回以上、同一条項の違反について是正勧告を受けた場合等は、ハローワークにおいて、求人を一定期間受理しないこととされています。また、職業紹介事業者や地方公共団体に対しても、ハローワークと同様の取組を行うように要請されています。

 この機会に、自社の労働時間の状況を把握し、適正な労働時間の管理が行われているかを確認しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「過重労働解消キャンペーン
厚生労働省「11月は「過労死等防止啓発月間」です

 

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10月29日 2024年10月より支給要件が見直しとなった特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)

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厚生労働省では、雇入れや仕事と家庭の両立支援等を図るために様々な助成金制度を設けていますが、そのひとつに、特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)(以下、「成長分野等人材確保・育成コース」という)があります。この助成金について、2024年10月から支給要件の見直しが行われました。以下では、この内容をとり上げます。

 

[1]成長分野等人材確保・育成コースとは
この成長分野等人材確保・育成コースには、2つの助成メニューがあり、1つ目の成長分野メニューは、高年齢者や障害者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により雇い入れて、成長分野の業務に従事させ、人材育成や職場定着に取り組む場合に、特定求職者雇用開発助成金の他のコースと比較して、1.5倍の助成が行われます。この成長分野の業務とは、次の1と2が該当します。

  1. 「情報処理・通信技術者」または「その他の技術の職業」(データサイエンティストに限る)に該当する業務
  2. 「研究・技術の職業」に該当する業務(脱炭素・低炭素化などに関するものに限る)

 2つ目の人材育成メニューは、未経験の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により雇い入れて、人材開発支援助成金による人材育成を行い、賃上げを行った場合に、特定求職者雇用開発助成金の他のコースと比較して、1.5倍の助成を行うというものです。

[2]2024年10月からの支給要件の見直し
 [1]でとり上げた2つのメニューに関して、共通した見直しとして、対象となる労働者の要件を、「過去に通算1年以上の就労経験がない場合」から「過去5年間に通算1年以上の就労経験がない場合」に変更し、就労経験のない職業の判断について期間が限定されています。また、過去のパート・アルバイトとしての就労については、就労経験がないものとして扱われることになりました。
 次に、[1]でとり上げた2つ目の人材育成メニューに関して、「実施する教育訓練は50時間以上の訓練であること」が要件とされていましたが、「実施する教育訓練において、厚生労働大臣の指定する教育訓練給付の指定講座のうち公的職業資格の取得を目的とした教育訓練は50時間未満の訓練でも対象とすること」に緩和されています。この公的職業資格には、例えば普通自動車第2種運転免許等の業務独占資格や介護福祉士等の名称独占資格等が該当します。

 今回取り上げた成長分野等人材確保・育成コースは、例えば、対象労働者が障害者、60歳以上の者、母子家庭の母等の場合、特定求職者雇用開発助成金の「特定就職困難者コース」の支給要件も満たしていることが必要です。そのため、助成金の活用を検討される場合は、早めに支給要件の内容を確認しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)は、より利用しやすくなるよう制度の見直しを行います
厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)

 

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10月22日 厚生労働省調査からみる男女別の離職理由 

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先日、厚生労働省から「令和5年雇用動向調査結果の概要」が公開されました。この雇用動向調査は、全国の主要産業における入職者数・離職者数、入職者・離職者の性・年齢階級、離職理由等の状況を明らかにすることを目的に、上半期と下半期の年2回実施されており、今回の結果は、この2回の調査結果を合算し年計として取りまとめたものです。以下では、入職と離職の状況、転職入職者が前職を辞めた理由別割合をとり上げます。

 

[1]入職と離職の状況
 2023年における1年間の入職者数は8,501.2千人、離職者数は7,981.0千人となり、入職者が離職者を520.2千人上回りました。年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率をみると、入職率は16.4%(前年比1.2ポイント上昇)、離職率15.4%(前年比0.4ポイント上昇)と、いずれも前年を上回っています。また、入職超過率は1.0ポイントとなっており、前年と比べると0.8ポイント拡大しています。

[2]転職入職者が前職を辞めた理由
 2023年における転職入職者が前職を辞めた理由をみてみると、「その他の個人的理由」「その他の理由(出向等を含む)」が多くの割合を占めていますが、これらを除いた各年齢区分におけるもっとも割合の高い理由は以下のようになっています。

[男性]
19歳以下 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 28.4%
20~24歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 11.4%
25~29歳 仕事の内容に興味が持てなかった 14.1%
30~34歳 給料等収入が少なかった 14.1%
35~39歳 職場の人間関係が好ましくなかった/給料等収入が少なかった 11.3%
40~44歳 職場の人間関係が好ましくなかった 14.6%
45~49歳 職場の人間関係が好ましくなかった 11.1%
50~54歳 仕事の内容に興味が持てなかった 10.9%
55~59歳 職場の人間関係が好ましくなかった 12.9%
60~64歳 定年・契約期間の満了 54.6%
65歳以上 定年・契約期間の満了 61.0%

[女性]
19歳以下 職場の人間関係が好ましくなかった 22.9%
20~24歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 15.6%
25~29歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 18.4%
30~34歳 職場の人間関係が好ましくなかった 9.6%
35~39歳 職場の人間関係が好ましくなかった 13.1%
40~44歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 17.6%
45~49歳 職場の人間関係が好ましくなかった 18.7%
50~54歳 定年・契約期間の満了 10.1%
55~59歳 職場の人間関係が好ましくなかった 15.7%
60~64歳 定年・契約期間の満了 43.3%
65歳以上 定年・契約期間の満了 31.0%

 このように各年齢区分によって、もっとも高い割合の前職を辞めた理由が異なっていますが、この背景には、仕事に対する考え方や仕事と家庭の両立などの従業員自身を取り巻く状況などが影響していると考えられます。人材採用が難しい中、既存従業員の定着がこれまで以上に重要になっています。人材の定着の進める上で、労働条件や職場環境の見直しが必要なのかを点検し、問題があれば見直しをしていきましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要

 

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10月15日 連続する勤務や休憩時間に関するよくある質問

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労働時間や休憩時間に関する素朴な質問は多く、何日間連続で働かせても問題ないか等、現場から総務に質問が入ることもあるでしょう。そこで今回は、連続勤務や休憩時間に関するよくある質問についてとり上げます。

 

[1]連続勤務における留意点
 大型の受注対応や機械の故障等により、休日出勤をして対応することが必要となり、結果的に休みなく連続した勤務となることがあります。このようなときには、36協定と過重労働対策の両方に目を向ける必要があります。

  1. 36協定
     時間外労働をさせることができる時間数や休日出勤をさせることができる日数等は、36協定で定めており、休日出勤させる場合は、この協定で定めた範囲内とする必要があります。連続出勤の日数に上限はありませんが、36協定の「労働させることができる法定休日の日数」を超えて休日出勤させることはできません。
     また、特別条項における1ヶ月の時間数には、時間外労働の時間のみでなく、休日労働の時間数等が含まれるため、休日労働の時間数の管理も必要です。
  2. 過重労働対策
     36協定の範囲内であれば、理論的に休日を与えることなく連続で勤務させることができますが、36協定の範囲内であっても、過重労働対策は必須です。連続した勤務では、休みが取れないことで、徐々に疲労が蓄積し、健康障害に繋がるリスクが高まります。36協定の内容に関わらず、少なくとも週に1日の休日は確保することが望まれます。

[2]休憩時間
 就業規則等では休憩時間を60分と定めているものの、業務の都合等で休憩を取らせることができず、また、短い時間しか取れないこともあります。
 休憩時間は、労働時間の途中に取らせる必要がありますが、一括して取らせなければならないという定めはありません。そのため、例えば60分の休憩を午前に10分、お昼に40分、午後に10分といったように分割することもできます。一方で、休憩時間は食事の時間や疲労の回復を目的としているため、細かく分割しすぎるとその目的を達成することが難しくなり、従業員の不満にもつながります。休憩の時間帯や長さは、休憩の目的も考えた上での設定が求められます。
 また、休憩時間は事業場全体で一斉に取ることが原則ですが、労使協定を締結することにより、交替で取るようにすることもできます。休憩の時間が確保しづらいようなときには、交替制で取ることができないかという検討も考えられます。

 

 後になって実は労働基準法の違反であったことが発覚することもあるため、事前に現場の管理者から総務に相談してもらえるような体制をつくっていきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「時間外労働の上限規制
厚生労働省「休憩時間を分割する場合どのようなことに注意が必要でしょうか。

 

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10月8日 協会けんぽの被扶養者資格の再確認

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全国健康保険協会(以下、「協会けんぽ」という)では、健康保険の被扶養者になっている人について、毎年一定の時期に被扶養者の要件に該当しているかの確認(以下、「再確認」という)を行っています。今年度は、10月下旬から11月上旬にかけて確認のための被扶養者状況リストが各事業所に送付されることになっていることから、今回は、再確認の実施状況とその際の注意点をとり上げます。

[1]再確認の目的と2023年度実施の状況
 健康保険の被扶養者は、健康保険料を支払うことなく、一定の保険給付が受けられます。そのため、要件に該当しない被扶養者が被扶養者となっていることで、医療費が増加し、さらには高齢者納付金も不当に高くなり、その結果、保険料が増加することとなります。被扶養者資格の再確認は、それを防止する目的で実施されています。
 昨年度(2023年度)実施の際には、被扶養者から削除となった人は約7.1万人(2024年3月31日現在)となっており、結果、10億円程度の前期高齢者納付金の負担削減効果が見込まれたと公表されています。被扶養者から削除となった主な理由としては、「就職して健康保険の資格を取得したものの、被扶養者から解除する届出を年金事務所へ提出していない」というものが多くを占めています。

[2]再確認時の注意点
 再確認は協会けんぽから会社に送付されてくる状況リストに従い、再確認時点で加入している被扶養者について、その要件を満たしているかを、書面や口頭で、各被保険者(従業員)に対して行います。
 再確認時の注意点として、被保険者と別居している被扶養者がいるケースでは、仕送りの事実と仕送り額の確認できる書類を提出する必要があります(※)。具体的には、振込の場合は預金通帳の写し、送金の場合は現金書留控えの写しを提出する必要があります。預金通帳の写しを提出する場合で、仕送りとは関係のない箇所が見られたくないときはマスキング(黒く塗りつぶす等)をして差し支えありません。
 ※学生の場合はこの提出を省略できます。

 また、昨年11月に厚生労働省より「年収の壁・支援強化パッケージ」が示され、人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、迅速な被扶養者認定を可能とする方針が示されました。今回の書類の提出にあたって、被扶養者の収入確認を行った際に、年収が130万円(被扶養者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害を有する者の場合は180万円)以上の場合で、人手不足による労働時間の延長等に伴い、一時的に収入が増加していることが確認できた場合は、被扶養者が勤務する会社で一時的な収入変動である旨の証明を発行してもらい、併せて提出することが必要です。

 提出期限は2024年11月29日ですが、従業員に被扶養者の要件を満たしていることが確認できる書類を準備してもらうケースがあるため、早めに依頼しましょう。

 

■参考リンク
協会けんぽ「事業主・加入者のみなさまへ「令和6年度被扶養者資格再確認について」
協会けんぽ「事業主・加入者のみなさまへ「令和5年度被扶養者資格の再確認にご協力いただきありがとうございました

 

 

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10月1日 30.1%まで上昇した男性の育児休業取得率

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近年、国として男性の育児休業の取得を促進しており、実際に多くの企業で育児休業を取得する男性従業員が増加しています。そこで、厚生労働省が先日公表した「令和5年度雇用均等基本調査」(以下、「調査」という)の中から、最新の男性の育児休業取得率と育児休業の取得期間、そして今後対象企業の拡大が予定される育児休業等の取得率の公表についてとり上げます。

[1]男性の育児休業取得率と育児休業の取得期間
 男性の育児休業の取得率は長年低迷していましたが、社会の変化や政策の後押しもあり、ここ数年、急速に取得率が上昇しており、2023年度は30.1%となりました。前年度(17.13%)から13.0ポイントの大幅上昇となり、調査以来、過去最高となりました。
 男性の育児休業はこれまで数日間など、非常に短いものが多いとされてきましたが、2023年度の育児休業の取得期間(2022年4月1日から2023年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、復職した男性の育児休業期間)は長期化の傾向が見られ、「1ヶ月~3ヶ月未満」が最多となりました。育児休業の取得期間の割合を2018年度、2021年度と比較してみると、下表のようになります(※表はクリックで拡大されます)。2週間以上取得する人の割合が増えていることがわかります。

[2]男性の育児休業等の取得率の公表
 今回の男性の育児休業取得率の上昇の背景には、2022年10月に出生後育児休業が創設されたこともありますが、育児・介護休業法により従業員数1,000人を超える企業に対して、男性の育児休業等の取得率の公表が義務付けられたことが関係していると言われます。この公表義務の対象となる企業が、2025年4月より従業員数300人を超える企業に拡大されます。

 この公表の義務対象企業の拡大により、来年度以降、更なる男性の育児休業等の取得が進むことになるでしょう。男性も育児休業を取得するのは当たり前という雰囲気が社会的に醸成されることにより、公表義務のない中小企業においても男性からの育児休業等取得の申し出は増加するはずです。そのようなときに業務が混乱するようなことがないよう、いまから体制整備を行っておきたいものです。

■参考リンク
厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査
厚生労働省「育児・介護休業法について

 

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