あけましておめでとうございます。
福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
新しい年が始まりました。
2024年は・・・
4月から時間外労働の上限規制(建設事業、自動車運転の業務、医師)の適用、労働条件明示のルールの追加、裁量労働制の導入・継続の手続きの見直し、障害者雇用率の変更があります。
10月から社会保険加入対象企業の拡大があります。
今年も法改正を含め、お役に立てる情報をお届けして参りますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
有期雇用労働者等を正社員に登用したり、処遇改善の取組を実施したりする企業への支援としてキャリアアップ助成金が設けられていますが、2023年11月29日に、キャリアアップ助成金の「正社員化コース」が拡充されました。以下ではこの内容をとり上げます。
[1]キャリアアップ助成金の正社員化コース
「正社員化コース」とは、就業規則等で規定した制度に基づき、有期雇用労働者等を正社員化した場合に助成されるものです。有期雇用労働者以外にも、無期雇用労働者を正社員に転換した場合、また、正社員への転換だけでなく、多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)に転換した場合等も「正社員化コース」の対象となります。
[2]拡充された内容
今回、拡充された内容は以下の4点です。
■参考リンク
厚生労働省「キャリアアップ助成金「正社員化コース」を拡充しました!2023年11月29日以降における変更点のご案内」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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健康保険の傷病手当金を受給している従業員が、職場復帰の目途が立たないことから退職するケースがありますが、一定の要件を満たすことで、退職後も引き続き傷病手当金を受給することが可能です。以下では、退職後に引き続き傷病手当金を受給する際のポイントを解説します。
[1]傷病手当金を受給するための要件
傷病手当金は、被保険者である従業員が病気やけがによる療養のために会社を休み、給与を受けられないときに、その所得の補てんとして受けることできるものです。この給付を受けるためには以下の4つの要件をすべてを満たす必要があります。
[2]継続給付の要件
[1]の受給要件を満たした上で、退職後も引き続き傷病手当金を受給するためには、更に以下の2つの要件を満たす必要があります。
上記の2.について、退職日に引継ぎ等で出勤した場合は、医師が労務不能と証明していたとしても、仕事ができる状態になったと判断され、退職後に傷病手当金を受給できなくなります。
[3]傷病手当金を受給しないまま退職した場合の取扱い
傷病手当金を受給しないまま、年次有給休暇を取得し、退職となるようなケースがありますが、傷病手当金の受給は[1]でとり上げたとおり、連続する3日間の待期期間と4日目以降に傷病手当金を受給できる状態であれば、傷病手当金を受給していなかったとしても退職後に受給することが可能です。年次有給休暇を取得して退職したときは、給与が支払われていることになるため[1]の4.の要件について該当せず、受給できる状態であるものの、不支給という判断が行われます。そして、給与が支払われなくなった退職後から支給が開始されます。
[4]傷病手当金の受給期間
2021年1月より、傷病手当金の受給期間は、同一傷病について受給を開始した日から、支給期間を通算して1年6ヶ月とされています。そのため、退職後は、残りの期間について傷病手当金を受給することができます。
私傷病により退職する場合には、この継続給付は貴重な収入となります。対象となる従業員には、要件を確認の上、通常の退職手続きに加えて説明をすることが求められます。
■参考リンク
協会けんぽ「傷病手当金について」
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2024年4月から労働条件の明示ルールが変わり、すべての労働者に対し、「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になりますが、これ以外にも、有期契約労働者に対して新しく追加される明示事項があります。そこで今回は、追加される更新上限に関連する事項についてとり上げます。
[1]更新上限の明示事項
パートタイマーやアルバイト、契約社員などの有期契約労働者について、「契約期間は通算4年を上限とする」、「契約の更新回数は3回まで」といった更新上限を設定しているケースがありますが、このように更新上限を設定しているときは、2024年4月から労働条件通知書にこの更新上限の明示が必要になります。
実際に記載する際に、労働契約の当初から数えた回数を記載するのか、残りの契約更新回数を記載するのかなど対応に迷うことがありますが、記載方法は、労働者と会社の認識が一致するような明示となっていれば差し支えないとされています。例えば、契約の当初から数えた更新回数または通算契約期間の上限を明示し、その上で、現在が何回目の契約更新であるか等を併せて示しておくと、認識のズレを避けることができるでしょう。
[2]更新上限を新設・短縮する場合の説明事項
現在締結している労働契約には更新上限を設定していないものの、何らかの理由があり今後について、更新上限を新設するといったケースもあり得ます。例えば、当初予定していた出資が受けられず、担当してもらう予定の事業を縮小することになったため、更新上限を設定するケースや、通算契約期間の上限を5年としていたが3年に短縮したいといったケースなどが考えられます。このような更新上限を新設・短縮しようとする場合には、その理由を労働者に説明することが必要になります。
説明方法については、文書を交付して個々の労働者ごとに面談等により説明を行う方法が基本とされていますが、説明資料を交付する方法や説明会を行う等の方法も考えられます。会社としては、労働者に対して分かりやすく説明することが求められます。
有期契約労働者の労働条件通知書については、以前から明示が必要となっている雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口の項目が漏れているケースが見受けられます。この機会に、ひな形に不備がないか点検し、問題があれば改善しましょう。
■参考リンク
厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」
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就職活動における企業選びの条件として、労働時間の短さや休日の多さを重視する傾向が強まっています。厚生労働省では「令和5年就労条件総合調査」において、年間休日総数や年次有給休暇(以下、「年休」という)の取得状況などの調査結果を公表しており、自社の状況を一般的な水準と比較することができます。そこで以下では、この調査の中から年間休日総数、年休の取得状況、特別休暇制度の運用状況をとり上げます。
[1]1企業平均の年間休日総数
令和4年(または令和3会計年度)の1企業平均の年間休日総数は110.7日となりました。前年調査は107.0日でしたので、3.7日増えたことになります。この年間休日総数を従業員規模別にみてみると、30~99人が109.8日、100~299人が111.6日、300~999人が115.7日、1,000人以上が116.3日となっています。
[2]年休の取得状況
年休の取得状況について、令和4年(または令和3会計年度)の1年間に企業が付与した年休の日数(繰越日数は除く)は、労働者1人平均で17.6日(前年調査も17.6日)となりました。そのうち労働者が取得した日数は10.9日(同10.3日)で取得率は62.1%(同58.3%)となりました。取得率については、昭和59年以降、過去最多となり、初めて60%を超えました。この取得率を従業員規模別にみてみると、30~99人が57.1%、100~299人が62.1%、300~999人が61.8%、1000人以上が65.6%となっています。
年次有給休暇以外の休暇として、会社が恩恵的に設けているものとして特別休暇制度があります。今回の調査結果では、夏季休暇、病気休暇等の特別休暇がある企業の割合は55.5%(前年58.9%)となっており、種類別にみると下表のようになっています。※表はクリックで拡大されます。
人材採用において休日日数は重要な判断要素となっています。採用力を確保するためにも、こうした調査資料を活用し、自社の課題を検討するとよいでしょう。
■参考リンク
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」
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複数ある年収の壁のうち、「130万円の壁」は健康保険の被扶養者および国民年金第3号被保険者の壁であり、年収130万円(※)以上となることで、国民健康保険および国民年金の保険料の支払いが生じ、手取り収入が減ってしまうというものです。これまでも年収の壁への課題認識はあったものの、最低賃金の大幅な引上げにより就業調整の問題が大きくなり、年収の壁の存在がこれまで以上にクローズアップされています。今回、その対策として被扶養者認定の円滑化が行われることになりました。
※認定・確認対象者が60歳以上または一定の障害者の場合は180万円
※図はクリックで拡大されます。
[1]130万円の壁への対応
130万円の年収の壁については、被扶養者の収入が一時的に増加した場合に、すぐに被扶養者から外すことのないように、厚生労働省から被用者保険の保険者に通知がされていました。ただし、雇用契約書等の書類の提出が求められるなど、認定や資格確認に多くの時間を要することもありました。
そこで今回、パートタイマーやアルバイト等が繁忙期に労働時間を延ばすことなどにより、収入が一時的に増加したとしても、事業主がその旨を証明することで、認定や資格確認が円滑に進む仕組みが設けられました。
[2]一時的な収入の増加
一時的な収入増加とは、主に時間外勤務手当や臨時的に支払われる繁忙手当等が支給されたことが想定されています。主なケースとしては、以下が示されています。
ただし、基本給が上がった場合や、恒常的に支給される手当が新設された場合など、引き続き収入が増えることが確実な場合は、一時的な収入増加とは認められません。
[3]事業主が行う証明
被扶養者については、新たに被扶養者の認定を受ける際や被用者保険の保険者が被扶養者の資格確認を行う際に年間収入が確認されます。このタイミングで、被扶養者が勤務する会社で一時的な収入変動である旨の証明(厚生労働省から様式の公開あり)を発行してもらい、被保険者である家族が勤務している会社を通じて各被用者保険の保険者に対して、通常提出が求められる書類と併せて、この事業主の証明を提出することになります。
このため、各被用者保険の保険者が行う被扶養者の資格確認のタイミング等に合わせて、被扶養者の勤務する事業主から一時的な収入増加である旨の証明を取得することになります。
最終的な被扶養者の認定や資格確認の判断は、被用者保険の保険者が行うことになります。事業主の証明があれば必ず認められるとは限りませんので、運用する際には十分な注意が必要になります。なお、事業主の証明で認められるのは連続2回までとされています。
■参考リンク
厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
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労働契約締結の際や有期労働契約の更新のタイミングごとに、すべての労働者に対し労働条件を明示する必要があります。
明示事項である「就業場所」と「業務の内容」は、現在は雇入れ直後のものを明示すれば足りるとされていますが、2024年4月以降は、これらに加えて「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要となります。そこで今回は、その具体的な記載方法や注意点についてとり上げます。
[1]就業場所・業務の変更の範囲の記載方法
今回追加となる「就業場所・業務の変更の範囲」とは、今後の見込みも含め、その労働契約の期間中における就業場所や従事する業務の範囲のことを指します。そのため、将来の可能性も含めたうえで、その範囲を明示していくことになりますが、就業場所・業務がどの程度限定されるかによって、記載が異なります。以下ではいくつか記載例を紹介します。
正社員については、上記1の「就業場所・業務に限定がない場合」に該当することが多いかと思いますが、「会社の定める営業所」「会社の定める業務」と記載するほか、変更の範囲を一覧表として添付することも考えられます。後になってトラブルとならないように、できる限り就業場所・業務の変更の範囲を明らかにし、労使で共通認識を持つことが求められます。
[2]適用のタイミング
今回の改正は、2024年4月1日以降に締結される労働契約から適用されます。そのため、2024年4月1日入社の従業員について、2024年3月31日以前に労働契約を締結する場合は改正前のルールが適用され、新たな明示ルールに基づく明示は不要です。
なお、労働条件に関する従業員の理解を深めるために、2024年3月31日以前から新たなルールにより対応することは、望ましい取組みとされています。
就業場所・業務の変更の範囲の明示方法については、厚生労働省発行のパンフレット「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」にもさまざまな記載例が紹介されています。早めにどのように記載する必要があるのかを検討し、労働条件通知書のひな形を直しておきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」
厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」
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2023年度の最低賃金は、過去最大の引上げ幅となりました。この引上げに伴い、賃上げに取り組む企業への公的支援が設けられています。助成金には予算額が設けられているため、いざ活用しようと考えたときに、受付が終了している可能性があります。
活用される場合は、早めに検討しましょう。
[1]業務改善助成金
業務改善助成金とは、事業場内で最も低い賃金を30円以上引き上げ、設備投資等を行った中小企業・小規模事業者等に、設備投資等の費用の一部を助成する制度です。
事業場内の最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内の事業場が対象となります。例えば地域別最低賃金が950円で、事業場内の最低賃金が985円の場合、差額が50円以内であることから対象となります。また、2023年8月31日より、事業場規模が50人未満で、2023年4月1日から2023年12月31日までに事業場内の最低賃金の引き上げを実施した場合は、賃金引き上げ後に申請することも可能です。
費用の助成率は、下表のとおりです。なお、引き上げる労働者の数と引上げ額の区分に応じて、助成上限額が設けられています。※図はクリックで拡大されます。
[2]キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金に設けられている「賃金規定等改定コース」は、有期雇用労働者等の基本給を定める賃金規定等を3%以上増額する形で改定し、その規定を適用させた場合に助成されるものです。要件としては、以下のすべてに当てはまる必要があります。
3%以上5%未満増額改定した場合に1人当たり5万円(大企業3.3万円)、5%以上増額改定した場合に6.5万円(大企業4.3万円)が助成されます。1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は100人までです。
■参考リンク
厚生労働省「最低賃金引き上げに伴う支援を強化しています」
厚生労働省「業務改善助成金」
厚生労働省「キャリアアップ助成金」
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厚生労働省では、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた気運を更に高めるために、例年11月に実施している過重労働解消キャンペーンを、今年も2023年11月1日(水)から11月30日(木)までの1ヶ月間において実施することにしています。
[1]過重労働解消キャンペーン
このキャンペーンは、2014年に施行された過労死等防止対策推進法に基づき、11月が過労死等防止啓発月間となっていることから実施されるものであり、過労死等の一つの要因である長時間労働の削減等、過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組が集中的に実施されます。
[2]過重労働解消キャンペーンの実施内容
過重労働解消キャンペーンの一つとして、長時間労働が行われていると考えられる事業場等への重点監督が予定されています。監督の対象となる事業場等や確認される事項は以下のとおりです。
なお、監督指導の結果、1年間に2回以上、同一条項の違反について是正勧告を受けた場合等は、ハローワークにおいて、求人を一定期間受理しないこととされています。また、職業紹介事業者や地方公共団体に対しても、ハローワークと同様の取組を行うように要請されています。
この機会に、自社の労働時間の状況を把握し、適正な労働時間の管理が行われているかも確認しましょう。
■参考リンク
厚生労働省「過重労働解消キャンペーン」
厚生労働省「11月は「過労死等防止啓発月間」です」
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全国健康保険協会(以下、「協会けんぽ」という)では、健康保険の被扶養者になっている人について、毎年一定の時期に被扶養者の要件に該当しているかの確認を行っています。
今年度は、10月下旬から11月上旬にかけて確認のための被扶養者状況リストが送付されることになっていることから、今回は、再確認の実施状況とその際の注意点をとり上げます。
[1]再確認の目的と2022年度実施の状況
健康保険の被扶養者は、健康保険料を支払うことなく、一定の保険給付が受けられます。そのため、要件に該当しない被扶養者が被扶養者となっていると、医療費および高齢者の医療費への拠出金が不当に高くなり、保険料が増加することとなります。被扶養者資格の再確認は、それを防止する目的で実施されています。
昨年度(2022年度)実施の際には、被扶養者から削除となった人は約7.8万人(2023年3月31日現在)となっており、結果、9億円程度の前期高齢者納付金の負担削減効果が見込まれたと公表されています。被扶養者から削除となった主な理由としては、「就職して健康保険の資格を取得したものの、被扶養者から削除する届出を年金事務所へ提出していない」というものが大半でした。
[2]再確認時の注意点
再確認は協会けんぽから会社に送付されてくる状況リストに従い、被扶養者の要件を満たしているかについて、書面や口頭で、各被保険者(従業員)に対して行います。
再確認時の注意点として、被保険者と別居している被扶養者がいるケースでは、仕送りの事実と仕送り額の確認できる書類を提出する必要があります(※)。具体的には、振込の場合は預金通帳の写し、送金の場合は現金書留控えの写しを提出する必要があります。預金通帳の写しを提出する場合で、仕送りとは関係のない箇所が見られたくないときはマスキング(黒く塗りつぶす等)をして差し支えありません。
※学生の場合はこの添付を省略できます。
提出期限は2023年12月8日ですが、従業員に被扶養者の要件を満たしていることが確認できる書類を準備してもらうケースがあるため、早めに依頼しましょう。
[3]被扶養者認定を円滑化へ 年収の壁見直し策
被扶養者の認定には、過去の課税証明書、給与明細書、雇用契約書などの確認が必要ですが、政府は2023年10月から「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」という暫定的な取り組みを始めます。
パート・アルバイトで働く人が、繁忙期に労働時間を延ばすなどして一時的に130万円以上となっても事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入り続けられるようにします。これにより、パート・アルバイトで働く人は国民年金・国民健康保険の保険料支払いの負担を回避できます。扶養されている主婦だけでなく、学生も対象となります。注意点は以下の通りです。
1. 「一時的な収入変動」として認められる必要がある
2. 「一時的な事情」の認定は連続2年まで
3. フリーランス・個人事業主は対象外
1. 「一時的な収入変動」として認められる必要がある
厚労省によると、一時的な収入変動とは、以下のような理由で、主に時間外勤務(残業)手当や臨時的に支払われる繁忙手当などが想定されています。
一方で、基本給が上がった場合や、恒常的な手当が新設された場合など、今後も引き続き収入が増えることが確実な場合は、一時的な収入増加とは認められません。
また、被扶養者が被保険者と同一世帯に属している場合、被扶養者の年間収入が被保険者の年間収入を上回る場合は被扶養者から外れることになります。
ただし、「一時的な収入変動」の具体的な上限額は明らかになっていません。仮に上限を設けた場合、当該上限が新たな「年収の壁」となりかねず、一時的な事情によるものかどうかは収入金額のみでは判断が困難であることためだといいます。
2. 「一時的な事情」の認定は連続2年まで
事業主の証明による被扶養者認定の円滑化は「一時的な事情」としての認定のため、同一の者について原則として連続2回までとなります。
社会保険の被扶養者の収入確認は、少なくとも年1回は保険者が確認し、被扶養者の要件を引き続き満たしていることを確認することが望ましいとされています。そのため、被扶養者の収入確認を年1回実施する場合は、連続2年までとなります。
3. フリーランス・個人事業主は対象外
厚労省によると、事業主の証明による被扶養者認定の円滑化は、あくまでも事業主の人手不足などによる一時的な収入変動を対象としています。そのため、特定の事業主と雇用関係にない人は対象となりません。ただし、フリーランスや自営業者としての収入と、勤務先からの給与収入の両方がある場合、給与収入が一時的な収入変動で増加したことにより被扶養者の認定基準額を超えた場合は、対象になります。
事業主の証明による被扶養者認定の円滑化は、2023年10月からの被扶養者認定や被扶養者の収入確認に適用します。なお、それ以前の扶養認定や被扶養者の確認には遡及しません。被扶養者認定の円滑化は暫定的な対応ですが、政府は2025年に予定している次期年金制度改正に向けて、議論を開始しています。その制度改正も踏まえて、今後の方針が決まる見込みです。
■参考リンク
協会けんぽ「事業主・加入者のみなさまへ「令和5年度被扶養者資格再確認について」」
協会けんぽ「事業主・加入者のみなさまへ「令和4年度被扶養者資格の再確認にご協力いただきありがとうございました」
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