11月5日 今年も11月に実施される過重労働解消キャンペーン

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

厚生労働省では、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた気運を更に高めるために、例年11月に実施している過重労働解消キャンペーンを、今年も2024年11月1日(金)から11月30日(土)までの1ヶ月間において実施することにしています。

 

[1]過重労働解消キャンペーン
 このキャンペーンは、2014年に施行された過労死等防止対策推進法に基づき、11月が過労死等防止啓発月間とされていることから実施されるものであり、過労死等の一つの要因である長時間労働の削減等、過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組が集中的に実施されます。

[2]過重労働解消キャンペーンの実施内容
 過重労働解消キャンペーンの一つとして、長時間労働が行われていると考えられる事業場等への重点監督が予定されています。監督の対象となる事業場等や確認される事項は以下のとおりです。

  1. 監督の対象となる事業場等
    1. 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場や各種情報から時間外・休日労働時間数が1ヶ月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等
    2. 労働基準監督署およびハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなどの問題があると考えられる事業場等
  2. 重点的に確認される事項
    1. 時間外・休日労働が、時間外・休日労働に関する協定届(36協定)の範囲内であるか等について確認され、法違反が認められた場合は是正指導が行われる。
    2. 賃金不払残業が行われていないかについて確認され、法違反が認められた場合は是正指導される。
    3. 不適切な労働時間管理が行われているときは、労働時間を適正に把握するよう指導される。
    4. 長時間労働者に対しては、医師による面接指導等、健康確保措置を確実に講じるよう指導される。
  3. 厳正な対応監督指導の結果、重大・悪質な法違反が認められた場合は、送検され、公表される。

 なお、監督指導の結果、1年間に2回以上、同一条項の違反について是正勧告を受けた場合等は、ハローワークにおいて、求人を一定期間受理しないこととされています。また、職業紹介事業者や地方公共団体に対しても、ハローワークと同様の取組を行うように要請されています。

 この機会に、自社の労働時間の状況を把握し、適正な労働時間の管理が行われているかを確認しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「過重労働解消キャンペーン
厚生労働省「11月は「過労死等防止啓発月間」です

 

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10月29日 2024年10月より支給要件が見直しとなった特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

厚生労働省では、雇入れや仕事と家庭の両立支援等を図るために様々な助成金制度を設けていますが、そのひとつに、特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)(以下、「成長分野等人材確保・育成コース」という)があります。この助成金について、2024年10月から支給要件の見直しが行われました。以下では、この内容をとり上げます。

 

[1]成長分野等人材確保・育成コースとは
この成長分野等人材確保・育成コースには、2つの助成メニューがあり、1つ目の成長分野メニューは、高年齢者や障害者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により雇い入れて、成長分野の業務に従事させ、人材育成や職場定着に取り組む場合に、特定求職者雇用開発助成金の他のコースと比較して、1.5倍の助成が行われます。この成長分野の業務とは、次の1と2が該当します。

  1. 「情報処理・通信技術者」または「その他の技術の職業」(データサイエンティストに限る)に該当する業務
  2. 「研究・技術の職業」に該当する業務(脱炭素・低炭素化などに関するものに限る)

 2つ目の人材育成メニューは、未経験の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により雇い入れて、人材開発支援助成金による人材育成を行い、賃上げを行った場合に、特定求職者雇用開発助成金の他のコースと比較して、1.5倍の助成を行うというものです。

[2]2024年10月からの支給要件の見直し
 [1]でとり上げた2つのメニューに関して、共通した見直しとして、対象となる労働者の要件を、「過去に通算1年以上の就労経験がない場合」から「過去5年間に通算1年以上の就労経験がない場合」に変更し、就労経験のない職業の判断について期間が限定されています。また、過去のパート・アルバイトとしての就労については、就労経験がないものとして扱われることになりました。
 次に、[1]でとり上げた2つ目の人材育成メニューに関して、「実施する教育訓練は50時間以上の訓練であること」が要件とされていましたが、「実施する教育訓練において、厚生労働大臣の指定する教育訓練給付の指定講座のうち公的職業資格の取得を目的とした教育訓練は50時間未満の訓練でも対象とすること」に緩和されています。この公的職業資格には、例えば普通自動車第2種運転免許等の業務独占資格や介護福祉士等の名称独占資格等が該当します。

 今回取り上げた成長分野等人材確保・育成コースは、例えば、対象労働者が障害者、60歳以上の者、母子家庭の母等の場合、特定求職者雇用開発助成金の「特定就職困難者コース」の支給要件も満たしていることが必要です。そのため、助成金の活用を検討される場合は、早めに支給要件の内容を確認しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)は、より利用しやすくなるよう制度の見直しを行います
厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)

 

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10月22日 厚生労働省調査からみる男女別の離職理由 

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

先日、厚生労働省から「令和5年雇用動向調査結果の概要」が公開されました。この雇用動向調査は、全国の主要産業における入職者数・離職者数、入職者・離職者の性・年齢階級、離職理由等の状況を明らかにすることを目的に、上半期と下半期の年2回実施されており、今回の結果は、この2回の調査結果を合算し年計として取りまとめたものです。以下では、入職と離職の状況、転職入職者が前職を辞めた理由別割合をとり上げます。

 

[1]入職と離職の状況
 2023年における1年間の入職者数は8,501.2千人、離職者数は7,981.0千人となり、入職者が離職者を520.2千人上回りました。年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率をみると、入職率は16.4%(前年比1.2ポイント上昇)、離職率15.4%(前年比0.4ポイント上昇)と、いずれも前年を上回っています。また、入職超過率は1.0ポイントとなっており、前年と比べると0.8ポイント拡大しています。

[2]転職入職者が前職を辞めた理由
 2023年における転職入職者が前職を辞めた理由をみてみると、「その他の個人的理由」「その他の理由(出向等を含む)」が多くの割合を占めていますが、これらを除いた各年齢区分におけるもっとも割合の高い理由は以下のようになっています。

[男性]
19歳以下 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 28.4%
20~24歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 11.4%
25~29歳 仕事の内容に興味が持てなかった 14.1%
30~34歳 給料等収入が少なかった 14.1%
35~39歳 職場の人間関係が好ましくなかった/給料等収入が少なかった 11.3%
40~44歳 職場の人間関係が好ましくなかった 14.6%
45~49歳 職場の人間関係が好ましくなかった 11.1%
50~54歳 仕事の内容に興味が持てなかった 10.9%
55~59歳 職場の人間関係が好ましくなかった 12.9%
60~64歳 定年・契約期間の満了 54.6%
65歳以上 定年・契約期間の満了 61.0%

[女性]
19歳以下 職場の人間関係が好ましくなかった 22.9%
20~24歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 15.6%
25~29歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 18.4%
30~34歳 職場の人間関係が好ましくなかった 9.6%
35~39歳 職場の人間関係が好ましくなかった 13.1%
40~44歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 17.6%
45~49歳 職場の人間関係が好ましくなかった 18.7%
50~54歳 定年・契約期間の満了 10.1%
55~59歳 職場の人間関係が好ましくなかった 15.7%
60~64歳 定年・契約期間の満了 43.3%
65歳以上 定年・契約期間の満了 31.0%

 このように各年齢区分によって、もっとも高い割合の前職を辞めた理由が異なっていますが、この背景には、仕事に対する考え方や仕事と家庭の両立などの従業員自身を取り巻く状況などが影響していると考えられます。人材採用が難しい中、既存従業員の定着がこれまで以上に重要になっています。人材の定着の進める上で、労働条件や職場環境の見直しが必要なのかを点検し、問題があれば見直しをしていきましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要

 

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10月15日 連続する勤務や休憩時間に関するよくある質問

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労働時間や休憩時間に関する素朴な質問は多く、何日間連続で働かせても問題ないか等、現場から総務に質問が入ることもあるでしょう。そこで今回は、連続勤務や休憩時間に関するよくある質問についてとり上げます。

 

[1]連続勤務における留意点
 大型の受注対応や機械の故障等により、休日出勤をして対応することが必要となり、結果的に休みなく連続した勤務となることがあります。このようなときには、36協定と過重労働対策の両方に目を向ける必要があります。

  1. 36協定
     時間外労働をさせることができる時間数や休日出勤をさせることができる日数等は、36協定で定めており、休日出勤させる場合は、この協定で定めた範囲内とする必要があります。連続出勤の日数に上限はありませんが、36協定の「労働させることができる法定休日の日数」を超えて休日出勤させることはできません。
     また、特別条項における1ヶ月の時間数には、時間外労働の時間のみでなく、休日労働の時間数等が含まれるため、休日労働の時間数の管理も必要です。
  2. 過重労働対策
     36協定の範囲内であれば、理論的に休日を与えることなく連続で勤務させることができますが、36協定の範囲内であっても、過重労働対策は必須です。連続した勤務では、休みが取れないことで、徐々に疲労が蓄積し、健康障害に繋がるリスクが高まります。36協定の内容に関わらず、少なくとも週に1日の休日は確保することが望まれます。

[2]休憩時間
 就業規則等では休憩時間を60分と定めているものの、業務の都合等で休憩を取らせることができず、また、短い時間しか取れないこともあります。
 休憩時間は、労働時間の途中に取らせる必要がありますが、一括して取らせなければならないという定めはありません。そのため、例えば60分の休憩を午前に10分、お昼に40分、午後に10分といったように分割することもできます。一方で、休憩時間は食事の時間や疲労の回復を目的としているため、細かく分割しすぎるとその目的を達成することが難しくなり、従業員の不満にもつながります。休憩の時間帯や長さは、休憩の目的も考えた上での設定が求められます。
 また、休憩時間は事業場全体で一斉に取ることが原則ですが、労使協定を締結することにより、交替で取るようにすることもできます。休憩の時間が確保しづらいようなときには、交替制で取ることができないかという検討も考えられます。

 

 後になって実は労働基準法の違反であったことが発覚することもあるため、事前に現場の管理者から総務に相談してもらえるような体制をつくっていきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「時間外労働の上限規制
厚生労働省「休憩時間を分割する場合どのようなことに注意が必要でしょうか。

 

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10月8日 協会けんぽの被扶養者資格の再確認

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全国健康保険協会(以下、「協会けんぽ」という)では、健康保険の被扶養者になっている人について、毎年一定の時期に被扶養者の要件に該当しているかの確認(以下、「再確認」という)を行っています。今年度は、10月下旬から11月上旬にかけて確認のための被扶養者状況リストが各事業所に送付されることになっていることから、今回は、再確認の実施状況とその際の注意点をとり上げます。

[1]再確認の目的と2023年度実施の状況
 健康保険の被扶養者は、健康保険料を支払うことなく、一定の保険給付が受けられます。そのため、要件に該当しない被扶養者が被扶養者となっていることで、医療費が増加し、さらには高齢者納付金も不当に高くなり、その結果、保険料が増加することとなります。被扶養者資格の再確認は、それを防止する目的で実施されています。
 昨年度(2023年度)実施の際には、被扶養者から削除となった人は約7.1万人(2024年3月31日現在)となっており、結果、10億円程度の前期高齢者納付金の負担削減効果が見込まれたと公表されています。被扶養者から削除となった主な理由としては、「就職して健康保険の資格を取得したものの、被扶養者から解除する届出を年金事務所へ提出していない」というものが多くを占めています。

[2]再確認時の注意点
 再確認は協会けんぽから会社に送付されてくる状況リストに従い、再確認時点で加入している被扶養者について、その要件を満たしているかを、書面や口頭で、各被保険者(従業員)に対して行います。
 再確認時の注意点として、被保険者と別居している被扶養者がいるケースでは、仕送りの事実と仕送り額の確認できる書類を提出する必要があります(※)。具体的には、振込の場合は預金通帳の写し、送金の場合は現金書留控えの写しを提出する必要があります。預金通帳の写しを提出する場合で、仕送りとは関係のない箇所が見られたくないときはマスキング(黒く塗りつぶす等)をして差し支えありません。
 ※学生の場合はこの提出を省略できます。

 また、昨年11月に厚生労働省より「年収の壁・支援強化パッケージ」が示され、人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、迅速な被扶養者認定を可能とする方針が示されました。今回の書類の提出にあたって、被扶養者の収入確認を行った際に、年収が130万円(被扶養者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害を有する者の場合は180万円)以上の場合で、人手不足による労働時間の延長等に伴い、一時的に収入が増加していることが確認できた場合は、被扶養者が勤務する会社で一時的な収入変動である旨の証明を発行してもらい、併せて提出することが必要です。

 提出期限は2024年11月29日ですが、従業員に被扶養者の要件を満たしていることが確認できる書類を準備してもらうケースがあるため、早めに依頼しましょう。

 

■参考リンク
協会けんぽ「事業主・加入者のみなさまへ「令和6年度被扶養者資格再確認について」
協会けんぽ「事業主・加入者のみなさまへ「令和5年度被扶養者資格の再確認にご協力いただきありがとうございました

 

 

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10月1日 30.1%まで上昇した男性の育児休業取得率

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近年、国として男性の育児休業の取得を促進しており、実際に多くの企業で育児休業を取得する男性従業員が増加しています。そこで、厚生労働省が先日公表した「令和5年度雇用均等基本調査」(以下、「調査」という)の中から、最新の男性の育児休業取得率と育児休業の取得期間、そして今後対象企業の拡大が予定される育児休業等の取得率の公表についてとり上げます。

[1]男性の育児休業取得率と育児休業の取得期間
 男性の育児休業の取得率は長年低迷していましたが、社会の変化や政策の後押しもあり、ここ数年、急速に取得率が上昇しており、2023年度は30.1%となりました。前年度(17.13%)から13.0ポイントの大幅上昇となり、調査以来、過去最高となりました。
 男性の育児休業はこれまで数日間など、非常に短いものが多いとされてきましたが、2023年度の育児休業の取得期間(2022年4月1日から2023年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、復職した男性の育児休業期間)は長期化の傾向が見られ、「1ヶ月~3ヶ月未満」が最多となりました。育児休業の取得期間の割合を2018年度、2021年度と比較してみると、下表のようになります(※表はクリックで拡大されます)。2週間以上取得する人の割合が増えていることがわかります。

[2]男性の育児休業等の取得率の公表
 今回の男性の育児休業取得率の上昇の背景には、2022年10月に出生後育児休業が創設されたこともありますが、育児・介護休業法により従業員数1,000人を超える企業に対して、男性の育児休業等の取得率の公表が義務付けられたことが関係していると言われます。この公表義務の対象となる企業が、2025年4月より従業員数300人を超える企業に拡大されます。

 この公表の義務対象企業の拡大により、来年度以降、更なる男性の育児休業等の取得が進むことになるでしょう。男性も育児休業を取得するのは当たり前という雰囲気が社会的に醸成されることにより、公表義務のない中小企業においても男性からの育児休業等取得の申し出は増加するはずです。そのようなときに業務が混乱するようなことがないよう、いまから体制整備を行っておきたいものです。

■参考リンク
厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査
厚生労働省「育児・介護休業法について

 

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9月24日 マイナ保険証への一本化 健康保険証の廃止とその後の対応

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2024年12月2日から、現在の健康保険証の新規発行が廃止され、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録した「マイナ保険証」の本格的な利用が始まります。
そこで、マイナ保険証の本格的な利用に合わせて確認しておきたい内容についてとり上げます。

[1]健康保険証の廃止
 従業員が健康保険の被保険者となり、また従業員の家族が健康保険の被扶養者となったときには、協会けんぽ等の健康保険の保険者から健康保険証が発行されます。
この健康保険証の新規発行が、2024年12月2日以降、行われなくなります。なお、2024年12月1日までに発行された健康保険証は、経過措置として2025年12月1日まで使用できます。
2025 年12月1日までに従業員が退職すること等で使用できなくなった健康保険証は、これまで通り、会社で回収する必要がありますが、2025年12月2日以降、使用できなくなった健康保険証は、従業員自身で破棄することが認められます。

 

[2]資格情報のお知らせ
 マイナ保険証の本格的な利用に伴い、2024年9月以降、協会けんぽから、会社を経由して、加入している被保険者および被扶養者の全員に「資格情報のお知らせ」が届く予定となっています。このお知らせには、被保険者資格等の基本情報が記載されており、マイナ保険証を安心して利用できるようにするとともに、協会けんぽに加入している人自身が、健康保険の資格情報を簡易に把握できるようにするために行われるものです。
お知らせの中には、医療保険のデータベースに登録されているマイナンバーの下4 桁も表示されることになっており、データベースにマイナンバーが登録されているかの確認もできます。
なお、マイナンバーを協会けんぽに提出していない場合は、当然記載されていません。マイナンバー提出のための申出書が同封されるため、この機会に提出し、マイナ保険証の利用を促し
たいところです。

 

[3]資格確認書
 マイナンバーカードを作っていない人や、マイナ保険証の利用登録をしていない人もいます。
このような人は、協会けんぽから交付される資格確認書を提示することにより、これまで通りの保険診療を受けられるようになります。ただし、資格確認書を用いるときには、マイナ保険
証を利用することで受けられるメリットを受けることができません。
協会けんぽの資格確認書は、従来の健康保険証と同じプラスチックカード型のもので、色が黄色となるとのことです。4~5年の有効期限が設けられるため、4 ~5年に1度の差し替え
が必要になります。

 健康保険証の廃止とその後の対応は、従業員やその家族に大きな影響があります。会社としても従業員に早めに周知し、マイナンバーカードの作成や、マイナ保険証の利用登録を勧めることを検討したいところです。

 

■参考リンク
厚生労働省「マイナンバーカードの保険証利用について(被保険者証利用について)」

 

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9月17日 企業に求められる過労死等防止のための対策

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2014年6月に過労死等防止対策推進法が成立してから10年が経過しました。これまで同法に基づき策定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下、「大綱」という)において、様々な取り組みが定められ、推進されてきましたが、この大綱が2024年8月に変更されました。そこで以下では、今回の変更箇所の中から主要な事項についてとり上げます。

 

[1]時間外労働の上限規制の遵守徹底
 今年4月より、すべての事業所で時間外労働の上限規制が適用されています。これを受けて、労働基準監督署において、その遵守徹底を図ることとしています。
 また、商慣行・勤務環境等を踏まえた取組みとして、以下のように業種等の分野ごとの取組事項が示されました。

【例:トラック運送業】

  • 緊急増員したトラックGメンによる是正指導の大幅強化や「標準的運賃」の8%引き上げ改定により、取引環境の適正化に向けた取組を推進する。
  • 2024年4月に、構造的な対策として、物流効率化や賃上げ原資確保のための適正な運賃導入を進める法律が成立したことを受け、同法の施行に向けて政省令等の整備を進める。
  • 2024年通常国会に、処遇改善に向けた賃金原資の確保と下請事業者までの行き渡り、資材価格転嫁の円滑化による労務費へのしわ寄せ防止、更には、働き方改革や現場の生産性向上を図ることを内容とする法律が成立したことを受け、それに基づく取組を推進する。 

[2]過労死等を発生させた企業に対する再発防止対策
 過労死等を発生させた事業場に対しては、監督指導または個別指導を実施し、企業本社における全社的な再発防止対策の策定を求める指導を実施するとしています。
 また、一定期間内に複数の過労死等を発生させた企業に対しては、企業の本社を管轄する都道府県労働局長から「過労死等の防止に向けた改善計画」の策定が求められ、同計画に基づく取組を企業全体に定着させるための助言・指導(過労死等防止計画指導)を実施するとしています。

 

[3]多様な働き方への対応
 テレワーク、副業・兼業、フリーランスといった多様な働き方について、それぞれの労働環境の状況に応じた取組みが推進されます。特にフリーランスについては今年11月に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」が施行されることから、この周知と施行後の履行確保に向けた取組みが行われます。

 

[4]過労死等防止対策の数値目標
 労働時間、勤務間インターバル制度、年次有給休暇、メンタルヘルス対策について、数値目標が設定されています。
 この中で労働時間については、2028年までに週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下(2023年8.4%)とすることが掲げられています。年次有給休暇については、2028年までに取得率を70%以上にすることが掲げられています。

 慢性的な人手不足に陥っている企業が増加しており、そうした企業においては残業や休日出勤によってサービスレベルを維持しているというケースも少なくありません。過重労働は従業員の命や健康を脅かす危険性がありますが、それ以前に従業員の離職の原因にもなります。安定的な人材確保のためにも、業務改善を通じた過重労働の防止を進めましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更が本日、閣議決定されました

 

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9月10日 2023年度の労基署監督指導における賃金不払事案件数は21,349件

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

先月、厚生労働省は「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)」を公表しました。これは2023年1月から2023年12月までに、全国の労働基準監督署が、賃金不払が疑われる事業場に対して実施した監督指導の結果を取りまとめたものです。以下ではその結果と実際の監督指導の事例をとり上げます。

 

[1]監督指導状況
 2023年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数、対象労働者数及び金額は以下のとおりです。

 件数 21,349件(前年比 818件増)
 対象労働者数 181,903人(同 2,260人増)
 金額 101億9,353万円(同 19億2,963万円減)

 これらの賃金不払事案のうち、令和5年中に会社が賃金を支払い、解決した最大の事案の支払金額は2.3億円でした。一方、この件数を業種別にみてみると、商業の4,407件が一番多く全体の21%を占め、製造業4,174件、保健衛生業3,261件、接客娯楽業2,685件、建設業2,047件と続いています。

 

[2]監督指導の対象となった事案
 本結果の中では「監督指導による是正事例」が紹介されています。自社の労働時間管理の在り方を見直す際の参考となりますので、ここでは労働時間の適正な把握に関する指導事例をとり上げます。

[概要]
 過重労働による労災請求がなされたことを受け、労働基準監督署が立入調査を実施。

  • 労働時間は、勤怠システムにより管理を行っているが、当該システムに搭載された端数処理機能を用いて、日ごとの始業・終業時刻のうち15分未満は切り捨て、休憩時間のうち15分未満は15分に切り上げる処理が行われていた。
  • 着用が義務付けられている制服への着替えの時間を、労働時間としていなかった。

[労働基準監督署の指導]

  1. 労働時間を適正に把握するための具体的方策を検討・実施すること。
  2. 過去に遡って、労働時間の状況について労働者に事実関係の聞き取りを行うなど、実態調査を行い、実際の支払額との差額の割増賃金の支払いが必要になる場合は、追加で支払うこと。

 その後の対応として、会社は、正しい労働時間数を把握し、再計算の上、差額の割増賃金を支払ったようです。また、勤怠システムの設定を見直し、始業・終業時刻の切り捨て、休憩時間の切り上げ処理をやめ、1分単位で労働時間を管理することとし、制服への着替えの時間についても労働時間とすることとしました。

 労働時間管理は労務管理の基本となります。過重労働を防止すると共に、賃金不払残業を発生させないよう、労働時間の適正把握、管理を徹底していきましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)を公表します

 

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9月3日 無用な解雇トラブルを防止するために知っておきたい解雇予告の注意点

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

従業員が重大な問題を起こしたり、勤務成績や業務の能率が著しく不良で会社が何度も指導を行っていたにも関わらず、改善が見られないといった理由により、従業員を解雇せざるを得ないケースがあります。解雇は従業員の働く場を奪うことになり、大きなトラブルに発展することも少なくありません。そこで、今回は解雇を行う際に求められる手続きについて解説します。

 

[1]解雇と解雇予告
 そもそも解雇とは、会社から一方的に労働契約を終了させることですが、解雇するときには少なくとも30日前までに予告をするか(解雇予告)、30日前までに予告せず解雇する場合には30日分以上の平均賃金を支払う(解雇予告手当)必要があります。なお、解雇予告と解雇予告手当の支払いを併用することも可能であり、解雇予告手当を支払った日数について、解雇予告の日数を短縮する(例えば10日前に解雇の予告を行い、併せて20日分の平均賃金を支払う)ことも認められています。

[2]解雇予告を行う際の注意点
 解雇予告は、会社からの解雇する意思が従業員に伝わったところで効力が発生することから、いつの時点で伝わったかを確認しておく必要があります。通知方法には口頭によるものと文書によるものがあり、口頭の場合は申渡しがなされたとき、文書の場合は従業員にその文書が届き、その内容を知り得る状態におかれたときとなります。なお、口頭の場合は後々、「言った、言わない」などのトラブルに発展しやすいため、口頭で申渡した上で、文書を交付することが望ましいでしょう。

 

[3]解雇予告手当を支払う際の注意点
 事前に解雇予告を行わず、即時解雇を行う場合には解雇予告手当として30日分以上の平均賃金の支払いが必要となりますが、この解雇予告手当の支払いは、解雇の申渡しと同時に行うことになっています。なお、解雇予告と解雇予告手当の支払いを併用するときには、解雇日までに解雇予告手当を支払うことになっています。

 解雇を行う際の手続きはこのようになっていますが、そもそも解雇は会社が自由に行うことができるものではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効となります。つまり、解雇事由の内容や程度がその有効性判断のポイントとなり、雇用を継続することができないという状況に至ってはじめて解雇を行うことが認められます。そのため、会社としては、問題行動が見られた際や勤務成績や業務の能率に問題があるときには、その都度注意・指導を行い、その際の対応記録を残しておくことが重要になります。解雇を行う際の手続きを守れば解雇ができるわけではない点に十分注意しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)に関する法令・ルール

 

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