2月20日 【第3回】働き方改革関連法案特集③勤務間インターバル制度

博多駅から徒歩5分のはかた駅前社会保険労務士法人(福岡助成金支援センター)です。
今回は「勤務間インターバル制度」についての記事を掲載します。

※前回までの記事はこちら
【第1回】働き方改革関連法案特集①残業時間の上限規制
【第2回】働き方改革関連法案特集②有給取得の義務化

「勤務間インターバル」は大手企業が導入を始めていたりニュースなどで目にされたりと、近頃ますます注目が集まってきています。
この制度は、勤務終了後から一定時間以上の休息時間を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保するものです。
2019年4月1日より、事業主の努力義務として施行されることになりました。

勤務間インターバル制度を導入しない通常の勤務形態の場合は、図のように勤務終了時刻・始業時刻はシフトで定められた通りになっており、勤務終了時間が遅くなると次の始業時間までの間(インターバル)が短くなり、食事や睡眠などの生活・休息時間が短くなります。
勤務間インターバル制度を導入した場合、勤務終了後から次の勤務開始まで一定の休息時間を確保するために、勤務終了時間が遅くなった場合は図のように始業時間が繰り下げられます。


また、勤務間インターバル制度の導入に際しては、就業規則で定める形になります。
厚生労働省からも、勤務間インターバル制度を導入するための就業規則例が公表されていますのでご参照ください。
(参考:厚生労働省「就業規則規定例」
勤務間インターバル制度において勤務終了後から次の勤務開始までに一定の休息時間を定めた場合、勤務の終了時間が遅くなると休息時間の満了時刻が次の始業時刻以降になるケースが出てきます。
その場合は、①休息時間と次の所定労働時間が重なる部分を労働したものとみなす②始業時刻を繰り下げる旨のどちらかを就業規則に定めます。
勤務間インターバルを導入した上で守れなかった場合でも、罰則が規定されているわけではありません。

勤務間インターバル制度については、平成30年12月3日が計画申請期限ではありましたが「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」という厚生労働省からの助成金制度も設けられていました。
一定の条件を満たした中小企業が勤務間インターバル制度の新規導入・適用拡大を目指して支給対象となる取組みを定められた期間内で行った場合、成果目標の達成状況に応じて取組みの実施にかかった経費の一部を助成する、というものになります。
来年度以降も同じような助成金制度が設けられる場合もありますので、厚生労働省より公表されましたらこちらの記事でもお知らせしていきたいと思います!

助成金には、勤務間インターバル制度に関するものだけではなく、育休支援・介護離職防止支援に関するものや非正規雇用の労働者に対して職業訓練等を実施する場合に支給されるものもございます。
詳しい支給要件等もご説明いたしますので、ご興味ございましたらはかた駅前社会保険労務士法人までお気軽にお問合せください!

●お問合せ:福岡助成金支援センター

《参考》
・厚生労働省「勤務間インターバル制度
・厚生労働省「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル制度導入コース)

2月13日 【第2回】働き方改革関連法案特集②有給取得の義務化

博多駅から徒歩5分のはかた駅前社会保険労務士法人です。
今回は「有給取得の義務化」について書いていきたいと思います。

※前回の記事はこちら⇒【第1回】働き方改革関連法案特集①残業時間の上限規制

巷では「有給取得の義務化」と呼ばれていますが、厚生労働省のリーフレット等では「年次有給休暇の時季指定義務」と示されています。
法改正の内容としては、2019年4月以降に年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年5日は時季を指定して取得させる義務があるというものです。
「使用者は年5日は時季を指定して取得させる義務がある」ということから、「年5日は有給休暇を取得する必要がある(有給取得の義務)」と言われています。

日本は他国と比べ有給休暇の取得率が低い現状から労働基準法の改正を行った経緯があり、政府は2020年までに有給休暇の取得率を70%まで上げることを目標にしています。
2019年4月よりすべての企業が年次有給休暇時季指定義務の対象となりますので、皆様が新聞などで目にされる機会も増えていると思います。

この年次有給休暇の時季指定については、年10日以上の有給が付与される方に対して年5日は時季指定をする義務がありますが、労働者が自分から請求して有給を取得した場合は、その5日から労働者が自ら取得した日数分を引くことができます。
例えば、2019年4月1日に11日分の年次有給休暇を付与された労働者が3日間自分から請求して有給休暇を取得していた場合、2020年3月31日までに残り2日間を時季指定にて取得してもらえれば1年間の間に合計5日間となって日数を達成できます。
年次有給休暇については、労働者ごとに管理簿を作成し3年間保管しなければなりません。
(必要な時に出力できる仕組みであれば、システム上での管理も可能です)

この年次有給休暇の時季指定義務についてですが、様々な企業が働き方改革の一環として取り組んでいる事例がありますので、ご紹介します。

●P社(製造業・従業員数170名)
・「記念日休暇」制度を導入、従業員の誕生日などの記念日に有給休暇を取得してもらうように働きかけ
・お子様が生まれる男性社員に対し「3日間の出産立会休暇(特別休暇として有給休暇には含まず)」を付与、出産・育児において全社員が有給休暇を取得することへの心理的ハードルが下がるよう制度を設計
⇒結果:年次有給休暇の取得日数が2016年度:8.16日→2017年度:9.10日

●Q社(福祉業・従業員数56名)
・時間単位での年次有給休暇取得制度を導入し、上司から率先して取得することで従業員の有給休暇取得率をアップ
・リフレッシュ休暇など年次有給休暇を活用した各種休暇制度の導入
⇒結果:年次有給休暇の取得率が34.8%→52.7%

年次有給休暇を活用した休暇制度の導入や従業員への周知・意識付けを行うことで有給休暇の取得日数・取得率をアップさせる結果につながっているようです。
厚生労働省からは時間単位での年次有給休暇取得計画的付与制度の活用も提示されており、就業規則の改定や労使協定の締結により導入することが可能になっています。

「有給休暇の管理方法を知りたい」「年次有給休暇の計画的付与制度を導入したい」等、ご相談からお手続きまで承っております。
お気軽にお問い合わせください!

●お問合せ⇒福岡助成金支援センター

《参考》
厚生労働省「年次有給休暇取得促進特設サイト・仕事休もっ化計画」
厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」

2月6日 【第1回】働き方改革関連法案特集①残業時間の上限規制

博多駅から徒歩5分のはかた駅前社会保険労務士法人です。

働き方改革関連法案特集第1回は「残業時間の上限規制」についてお伝えします。
「残業時間の上限規制」では、原則として月45時間・年360時間が時間外労働の上限となり、「臨時的な特別の事情」がなければこれを超えることができなくなります。


臨時的な特別の事情があって労使が合意した場合は、下記の条件となります。
・時間外労働は年間720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
・月100時間未満(休日労働を含む)
・原則である月45時間を超えてよいのは年間6か月まで

「臨時的な特別の事情」については具体的に定める必要があり、「業務の都合上必要な場合」などの理由では恒常的な長時間労働を招く恐れがあるとされ認められません。
また、臨時的な特別の事情により限度時間を超える場合でも、できるかぎり限度時間に近づける必要があります。
臨時的な特別の事情において限度時間を超える残業をする場合には、新しい様式で三六協定を締結しなければなりません。

施行については、大企業が2019年4月から、中小企業が2020年4月からになります。
これまでは「厚生労働大臣の告示」という形で示されていた時間外労働の限度が法律で定められた形です。
大企業に関しては今年4月から適用されるということもあり、すでに対策を進めている企業もかなり多いようです。
中小企業は2020年4月からの適用になりますが、すでに所定外労働削減に取り組んでいる企業もありますので、事例をご紹介します。

◇A社(介護施設)
・所定外労働時間の削減を図るため、まずは原因を分析
・残業の原因となっている引継ぎ業務をスムーズに進めるため、数年かけて試行錯誤をしながらシフトパターンを15分刻みで複数作成
・各職員の業務を洗い出し、資格・免許が不要な業務については全員が取り組めるような体制を整える
⇒平成28年度の月平均時間外労働が0.1時間まで削減

◇B社(運送業)
・IT化により、伝票や配送の管理を一元管理
・取引先ごとに1台配備していたトラックを地域ごとの必要数で配備を行い効率的な配送を実現
・営業所長が各スタッフの労働時間累計を把握、労働時間が多くなってきているスタッフがいる場合は業務量を調整
⇒平成29年月平均時間外労働50時間から平成30年月平均時間外労働38時間まで削減

時間外労働の削減を進めていくには、ただ「早く帰る」というだけではなく、現状の分析や効率的な業務の仕組みづくりも進めていく必要があるようです。
厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、様々な企業の取組みを業種別に探すこともできますので、参考にされてみてはいかがでしょうか。

また、当法人では三六協定の届出や就業規則の改定なども承っております。
「まずは働き方改革の内容について聞きたい」など、お気軽にご相談ください!

お問合せ:福岡助成金支援センター

《参考》
厚生労働省「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について」
厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」

1月30日 【全7回】働き方改革関連法案特集を掲載します

博多駅から徒歩5分のはかた駅前社会保険労務士法人です。
来月2月6日(水)から、毎週水曜日・全7回に渡って働き方改革関連法案についての記事を掲載いたします。
掲載予定は下記の通りです。
 【第1回】残業時間の上限規制
 【第2回】有給取得の義務化
 【第3回】勤務間インターバル制度
 【第4回】割増賃金率の猶予措置廃止
 【第5回】産業医の機能強化
 【第6回】同一労働同一賃金
 【第7回】高度プロフェッショナル制度の創設
有給取得の義務化につきましては以前も記事を掲載しましたが、様々な企業の働き方改革も交えて再度詳しくお話しします。
(参照:12月26日 年次有給休暇の取得義務が来年4月から始まります!)
働き方改革関連法案においてはそれぞれの施行時期が異なりますので、すでに行われている取り組み事例や過去の判例もまじえて書かせて頂きます。
また、「一足先に有給取得について知りたい!」などのお問合せもお待ちしております! 労務管理のプロがアドバイスさせて頂きます。 ●お問合せ:はかた駅前社会保険労務士法人

1月16日 同一労働同一賃金ガイドラインが公表されました


博多駅より徒歩5分のはかた駅前社会保険労務士法人です。

今も話題になっている「働き方改革」ですが、同一労働同一賃金の実現に向けた法改正については2020年4月1日より施行・適用されます。
※中小企業は2021年4月1日からの適用となります

同一労働同一賃金の概要を簡単にお伝えしますと、職務内容などが正社員と同じ場合に非正社員においても同じ待遇が求められるというものです。
例えば、運送会社A社で働く正社員Xさんと契約社員Yさんがドライバーとして責任の程度も含め同じ職務についている場合、正社員に支給している食事手当等を契約社員にも支給しなければなりません。
この同一労働同一賃金については、契約社員の手当に関する過去の判例もございます。(ハマキョウレックス事件
ハマキョウレックス事件においては、契約社員には支給されていなかった通勤手当・給食手当・住宅手当等6種の手当の支払いを求めて訴訟が起こされ、2018年6月1日の最高裁判決では6種類のうち4種類の支払いを会社側が命じられました。
(一部の手当については高裁に差し戻されて審議が行われました)

また、同一労働同一賃金ガイドラインが厚生労働省より公表されました。
下記のサイトにてガイドラインの概要をはじめ、掲載されている文書には基本給や手当、賞与について問題となる例・問題とならない例が詳しく記載されています。(同一労働同一賃金ガイドライン
正社員等と同じ労働時間で働く非正社員だけではなく、短時間労働者、派遣労働者についても言及されているため、今後の施行・適用に向けてご参照頂ければと思います。

賃金規定や諸手当制度の共通化や正社員化など、非正規雇用労働者の待遇改善を行う事業主の方を対象とするキャリアアップ助成金もございますので、活用されてみてはいかがでしょうか。
助成金のご相談につきましては、ぜひはかた駅前社会保険労務士法人へお気軽にご連絡ください!

●はかた駅前社会保険労務士法人:お問合せ

12月28日 今年も1年間お世話になりました!

福岡博多駅前の『はかた駅前社会保険労務士法人』でございます。

本年1年間は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。

さて、誠に勝手ではこざいますが、当事務所の年末年始につきまして
下記の通り休業とさせていただきますので、ご案内申し上げます。

●年末年始休業 2018年12月29日(土)~2019年1月3日(木)まで

来年もこれまで通りのお引き立てを賜ります様お願い申し上げます。

12月26日 年次有給休暇の取得義務が来年4月から始まります!

博多駅から徒歩5分のはかた駅前社会保険労務士法人です。

最近話題になっている『働き方改革関連法案』の1つに、年次有給休暇の取得義務がございます。

2019年4月1日以降に年10日以上の有給休暇を付与される労働者には、年5日は有給休暇を取得してもらう義務が発生します。
※その他の働き方改革に関してはこちらの概要記事もご覧ください⇒『働き方改革関連法案』が成立しました!

年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが必要になりました。
※ただし、労働者がすでに取得した年次有給休暇の日数分は時季否定の必要はございません

来年2019年の4月1日より、すべての企業がその対象となります。
その際に利用される制度が年次有給休暇の計画的付与制度で、導入される際は就業規則による規定等が必要となります。

創業されたばかりでまだ就業規則を作成していない、あるいは就業規則の改定や有給管理の方法などを検討されている方は、はかた駅前社会保険労務士法人へぜひお気軽にご連絡ください。
有給管理に関するご相談なども承っております!

お電話・フォーム⇒お問合せ・申込み

キャリアアップ助成金 平成30年4月以降、要件が大きく変更されます!

福岡博多駅前の福岡助成金支援センターです。

非正規社員(契約社員等)を正規社員(正社員等)に転換することで支給される「キャリアアップ助成金」の要件が平成30年4月1日から大きく変わります。
平成30年4月1日以降に転換する場合、「転換前6ヶ月の賃金と、転換後6ヶ月の賃金を比較して5%増加していること」という要件が追加されました。

これまでは契約形態(契約期間等)を変更するだけで良かったのですが、変更後は賃金の5%アップが必要となります。
この賃金の中には、時間外手当や休日手当、歩合手当、通勤手当等は含まれませんので、注意が必要です。(基本的には固定的賃金に限られます)
賞与に関する取り扱いについては、まだ詳細が固まっていない様です。

平成30年4月1日以降に正社員化による「キャリアアップ助成金」を検討されている企業様は、賃金設計も考慮に入れる必要があります。

助成金についてのご用命お問い合わせは、博多駅から徒歩5分の福岡助成金支援センターにお気軽に連絡ください。
福岡助成金支援センターHP(https://hakata-joseikin.com/)