4月7日 2026年度から引下げとなる雇用保険料率と今後施行される適用拡大

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

 

雇用保険料率は、毎年度、財政状況を踏まえて見直されており、先日、2026年度の雇用保険料率が決まりました。以下では、2026年度の雇用保険料率と、2028年10月に施行される被保険者の適用拡大について確認します。

 

[1]2026年度の雇用保険料率
 雇用保険料率は、失業等給付の受給者数や保険料の積立金等の財政状況を踏まえて、安定的な財政運営と保険料負担軽減の両立を図りながら慎重に決定されています。2026年度については、2026年度以降の財政運営の試算結果を踏まえて下表の料率とすることが決まりました。

表 2026年度の雇用保険料率

 

事業の種類 負担者
(1) 労働者負担 (2) 事業主負担 雇用保険料率
(1)+(2)
一般の事業 5/1,000 8.5/1,000 13.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業 6/1,000 9.5/1,000 15.5/1,000
建設の事業 6/1,000 10.5/1,000 16.5/1,000

 

[2]2028年10月に施行される被保険者の適用拡大
 現在、雇用保険では、以下の2つの要件を満たす従業員が被保険者となります。
 ※昼間学生等一部除外あり。

  • 週の所定労働時間が20時間以上である
  • 31日以上の雇用見込みがある

 この被保険者となる要件は、2024年に改正された雇用保険法により、2028年10月から以下のように変更となります。

  • 週の所定労働時間が10 時間以上である
  • 31日以上の雇用見込みがある

 この被保険者の適用拡大により、労働者の大多数が雇用保険に加入することになるとされています。

 

[3]適用拡大に伴う変更点
 現状、雇用保険被保険者離職証明書(離職票)を作成する際、被保険者期間の算定基準については「賃金の支払の基礎となった日数が11日以上」または「賃金の支払の基礎となった労働時間数が80時間以上」の場合に1ヶ月とカウントしています。この被保険者期間の算定基準について、2028年10月以降は「賃金の支払の基礎となった日数が6日以上」または「賃金の支払の基礎となった労働時間数が40時間以上」の場合に1ヶ月とカウントすることになります。この他にも適用拡大に伴い、細かな点が変更されることとなっています。

 雇用保険料率は毎年度見直され、2026年度は引下げとなりますが、労災保険率は3年に1度の見直しとされていることから、2026年度の見直しは行われません。給与計算や年度更新の際に、保険料率を誤らないように注意しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「用保険料率について
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要

 

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3月31日 2026年10月1日施行のカスハラ・就活セクハラ防止対策

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

2025年の通常国会で改正法が成立したことにより、新たにカスタマーハラスメント(いわゆる「カスハラ」)の防止対策と、求職者等に対するセクシュアルハラスメント(いわゆる「就活セクハラ」)の防止対策が企業の義務となり、その施行日が2026年10月1日に決まりました。以下では、今後、職場において求められるハラスメント防止対策について確認します。

 

[1]企業のハラスメント防止対策
社会一般的には、職場のみならず、様々な場面で多くの「〇〇ハラスメント」が存在し、日常的に見聞きするようになりました。このような中で、現在、法令で企業にハラスメントの防止対策として義務付けられているものが、「セクシュアルハラスメント」、「パワーハラスメント」、「妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント」の3つになります。カスハラと就活セクハラはこれらに加えて防止対策が義務化されます。

[2]カスハラ防止対策
カスハラとは、職場において行われる(1)顧客等の言動であって、(2)その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものを指します。
防止対策としては、カスハラに遭った従業員からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等を構築することが求められます。
また、この体制の整備等とともに自社の従業員が他社の従業員に対し、カスハラをしないように注意を払うような研修を実施することなどの配慮も求められます。

 

[3]就活セクハラ防止対策
就活セクハラは、会社が雇用する従業員の性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されるものを指します。
防止対策としては、カスハラと同様に、就活セクハラに遭った人からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等を構築することが求められることになります。


現在、法令で企業に防止対策が義務付けられているハラスメントについては、自社の従業員が被害に遭わないようにし、また、遭ったときに適切に対応できるようにすることをベースにしていますが、就活セクハラでは、雇用関係のない人に対する相談窓口を設置するなど、適切な対応が必要になってくる点に大きな違いがあります。

今後、就業規則や相談体制の整備等が必要になってきます。10月1日の施行日まで、期間がありますが、早めに対応を検討して進めておきましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について

 

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3月24日 定年退職者と無期転換申込権の発生

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

人手不足を背景に、年齢に関わらず優秀な人材を雇用する動きがみられます。その中で、他社で定年となり退職した人を採用し、有期労働契約で雇用しているケースもみられ、4月に入社してくる企業もあるでしょう。このような従業員については、無期転換の取扱いと労働条件通知書の作成時に注意が必要であることから、その内容を確認します。

 

[1]無期転換ルール
 無期転換ルールとは、同一の会社との間で、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えた場合、従業員からの申込により、次の契約から無期労働契約に転換できるというものです。
 下図のように労働契約期間が1年の場合、5回目の更新後に無期転換申込権が発生します。※図はクリックで拡大されます。

 

[2]無期転換申込権の例外
 自社で定年後に継続雇用として、有期労働契約を締結するケースがありますが、この有期労働契約も、通算5年を超えると無期転換申込権が発生します。
 例えば、60 歳の定年退職後に継続雇用となり、有期労働契約を更新し、65 歳以降も雇用することが考えられます。この場合、有期労働契約が通算 5 年を超えると、無期転換申込権が発生します。

 ただし、この定年後に継続雇用した従業員については、適切な雇用管理に関する計画を作成し、労働局に申請して会社として認定を受けることにより、「有期労働契約が通算5 年を超えたとしても、無期転換申込権が発生しない」という特例があります。この特例は、あくまでも自社で定年を迎えて継続雇用した従業員が対象であり、他社で定年を迎えて、その後、採用した従業員(自社で定年を迎えていない従業員)は対象外です。

 

[3]労働条件通知書への記載
 無期転換に関する事項については、有期労働契約を締結・更新するにあたり、労働条件通知書に記載が必要です。
 無期転換の申込ができる従業員には、無期転換の申込ができること等を明示し、無期転換後の労働条件が異なるのであれば、その内容を記載する必要があります。また、労働局の認定を受けたことに伴い、無期転換申込権が発生しない特例の対象となる従業員には、その旨を記載しておくことが必要です。

 定年年齢を超えた有期契約労働者は、無期転換申込権が発生していない人(有期労働契約が通算5 年以下の人)、無期転換申込権が発生している人(有期労働契約が通算 5 年を超えた人)、無期転換申込権が発生しない人(特例が認められている場合の対象者)の3つに分けることができます。取扱いを混同しないように、内容を整理しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「無期転換ルールについて

 

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3月17日 雇入時の健康診断に関するよくある誤解

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4月に新入社員や中途社員が入社してくる会社も多いと思いますが、入社の際に実施する雇入時の健康診断については、誤った取扱いをしているケースが見られます。以下では、雇入時の健康診断に関するよくある誤解を確認します。

 

[1]雇入時の健康診断の実施目的
 雇入時の健康診断は、雇入後、従業員を配属する際に健康上の配慮が必要であるかどうかを確認したり、入社後の健康管理の基礎資料としたりするために行うものです。これに対し、定期健康診断は従業員の健康状態を定期的に把握し、その結果によって就業上の必要な措置を行い、脳・心臓疾患の発生の防止、生活習慣病等の増悪防止を図るために行うものです。
 入社後すぐに定期健康診断の実施があるため、この雇入時の健康診断を実施せず、定期健康診断を実施すればよいと誤解しているケースが見られます。実施目的に違いがあるため、入社後すぐに定期健康診断を実施するからということで、雇入時の健康診断の実施を省略することはできません。なお、雇入時の健康診断を受けた従業員については、健康診断の実施日から1年間は定期健康診断の実施項目に相当するものを省略することが可能です。

[2]雇入時の健康診断の実施時期
 雇入時の健康診断は、法令等においては「雇入れるとき」に実施すると規定されています。厳密な日数についての定めはないものの、実施目的と照らし合わせると、雇入れの直前または直後で、できるだけすみやかに実施することが求められます。
 また、この雇入時の健康診断は、3ヶ月以内に医師による健康診断を受けており、その結果を証明する書類を提出したときに省略することができます。雇入時の健康診断において実施すべき項目は労働安全衛生規則で定められているため、従業員から提出された書類で、実施項目が網羅されていることの確認が必要です。実施すべき項目が網羅されていないときには、その項目について実施する必要があります。

 

[3]対象となる労働者
 雇入時の健康診断の実施について、パートタイマーやアルバイト等(以下、「パートタイマー等」という)を対象にしていないというケースが見られます。対象となる労働者は、常時使用する労働者であり、パート等の雇用形態を問わず、以下のいずれも満たす人をいいます。

  1. 期間の定めのない労働契約により使用される人であること(※)
  2. 1週間の労働時間数がその事業場において同種の業務に従事する正社員の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること

※有期雇用契約の場合は、契約期間が1年以上である場合、契約更新により1年以上使用されることが予定されている場合および1年以上引き続き使用されている場合

 この機会に誤った取扱いをしていないか確認し、問題があれば対応しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう

 

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3月10日 女性活躍推進法と2026年4月からの変更内容

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は2015年9月に制定され、2016年4月1日より全面施行されました。当初2026年3月31日までの時限立法でしたが、10年間、期間が延長となりました。以下では、女性活躍推進法の内容と2026年4月からの変更内容を確認します。

 

[1]女性活躍推進法制定の背景
 近年、女性の就業率(15歳~64歳)は上昇しているものの、就業を希望しながらも働いていない女性がまだ多く存在し、また管理職の女性(課長級以上)の働く場面において女性の力が十分に発揮できているとはいえない状況にあることから、女性が職業生活において、その希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できる環境を整備するために、この女性活躍推進法が制定されました。

[2]義務付けられている内容
 女性活躍推進法では、労働者数が一定数以上の企業に対し、行動計画を策定すること等を義務付けています。具体的には、行動計画を策定する上では、以下の4つのSTEPを実施し、STEP4からSTEP1へのPDCAを回す形となっています。

 [STEP1] 自社の女性の活躍状況の把握・課題分析
 [STEP2] 一般事業主行動計画の策定・社内周知・公表
 [STEP3] 一般事業主行動計画を策定した旨の届出
 [STEP4] 取組の実施・効果測定

 そして、この労働者数が一定数以上の企業は、自社の女性の活躍に関する状況について、求職者等が簡単に閲覧できるように公表する義務があります。

 

[3]2026年4月施行の改正内容
 すでに労働者数101人以上の企業では、情報の公表が義務付けられていますが、2026 年4月1日からは、労働者数101人以上300人以下の企業は、公表する情報に「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」が追加され、労働者数301人以上の企業は「女性管理職比率」が追加されます。

 新しく追加される情報の公表は、2026年4月1日以後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3ヶ月以内に行うことになります。例えば、2026年12月末に事業年度が終了する企業は、おおむね2027年3月31日までに公表が必要です。この公表は、おおむね1年に1 回以上、最新の数値を算出し、更新する必要があります。

 今回の情報公表について、労働者数100人以下の企業は努力義務になりますが、自社の課題を把握したい場合には、例えばSTEP1にある「自社の女性の活躍状況の把握・課題分析」を行ってみることで客観的に自社の状況が把握できます。その際、厚生労働省のリーフレットに掲載されている課題分析の方法例や課題に対する取組例を参考に、必要な取り組みを推進することが考えられます。

 

■参考リンク
厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)
厚生労働省「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!

 

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3月3日 年次有給休暇の付与にまつわる実務上間違いやすい留意点

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年次有給休暇(以下、「年休」という)については、実務上、取扱いに迷うことが多くあります。そこで、以下では、年休の付与に関して、よく問題となる事例をとり上げて内容を整理します。

 

[1]年休付与の原則
 そもそも年休は、法令で雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して付与することになっています。そして、以後、継続勤務年数が1年長くなるごとに、全労働日の8割以上出勤した場合、継続勤務年数に応じた年休が付与されます。この「全労働日」とは労働義務が課せられている日のことで休日を除いた日を指し、「出勤」とは実際に出勤した日(年休を取得した日等を含む)となります。そのため、たとえ遅刻した日があった場合であっても、その日は出勤した日として取扱います。

[2]定年後再雇用者に対する年休付与
 定年退職後に日を空けずに再雇用した人に対して、年休を付与する場合、勤続年数は定年前の入社日から計算します。これは通達で、定年後再雇用者は、実態として定年前から継続して勤務していることから、継続勤務の要件を満たしているとされているためです。また、定年前に取得しなかった年休の残日数についても、繰り越しとなることに留意が必要です。

 

[3]育児休業者に対する年休付与
 育児休業者は育児休業期間中、一時的に労働義務はなくなります。ただし、継続勤務をしていることに変わりはなく、全労働日の8割以上出勤しているかの判断において、業務災害による負傷や疾病により療養のために休業した期間、産前産後のために休業した期間、育児休業や介護休業をした期間については出勤したものとみなすことになっているため、育児休業期間中であっても新たに付与されます。

 

[4]所定労働日数が変更となった際の年休の付与日数
 パートタイマーの年休の付与日数は、週所定労働時間、週所定労働日数および継続勤務年数に応じて、決まります(比例付与)。この比例付与による年休の付与日数は、付与する基準日時点の労働契約の内容に基づき決定されます。そのため、例えば、入社時は週所定労働日数が2日であった契約を、6ヶ月後の契約更新の際に4日にするような場合には、過去6ヶ月の週所定労働日数に関わらず、週所定労働日数4日として付与日数が決まります。

 

 年休については、半日単位や時間単位での取得もあり、さまざまな問題が生じやすくなっています。年休に関してお困りごとがございましたら、当事務所までご連絡ください。

■参考リンク
厚生労働省「年次有給休暇取得促進特設サイト

 

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2月24日 パートタイマーや契約社員に対して求められる正社員転換推進措置

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パートタイマー、アルバイト、契約社員等、いわゆる非正規で働く人の割合が全労働者の35%を超える状況が続いています。非正規で働く人材を活用している企業では、同一労働同一賃金をはじめとしたパートタイム・有期雇用労働法の遵守が大きな課題となっています。以下では、パートタイム・有期雇用労働法で規定されている正社員転換推進措置について確認します。

 

[1]非正規雇用労働者の定義
 非正規雇用労働者とは、正社員(通常の労働者)と比較して1週間の所定労働時間が短い労働者と、期間の定めがある労働契約(有期契約)で働く労働者のことを指します。これらの労働者は、パートタイム・有期雇用労働法が適用され、正社員とは異なる対応が求められています。

[2]正社員転換推進措置
 労働者と企業が結ぶ雇用契約の内容は、原則として、労働者と企業に委ねられています。ただし、企業は、非正規労働者を雇用する場合には、正社員への転換を推進する措置を講じることが求められており、その内容は、次のいずれかとされています。

  1. 正社員を募集する場合、その募集内容を既に雇っている非正規雇用労働者に周知する。
  2. 正社員のポストを社内公募する場合、既に雇っている非正規雇用労働者にも応募する機会を与える。
  3. 非正規雇用労働者が正社員へ転換するための試験制度を設ける。
  4. その他正社員への転換を推進するための措置を講ずる

[3]制度運用時の留意点
 正社員への転換には、転換の要件として、勤続年数などの一定の要件を課すこともできるとされています。この要件については、企業の実態に応じたものであれば問題ないものの、必要以上に厳しい要件を課している場合には、正社員への転換を推進する措置を講じたとは判断されないこともあります。なお、企業に求められていることは正社員への転換を推進する措置を講じることであって、正社員に転換することまでを求めるものではありません。

 若年層の人口が減少する中、正社員を中心とした事業活動の運営では、十分に人材確保ができず、働く日数や時間に制限のある非正規雇用労働者を活用する場面が多くなっている企業もあるかと思います。その際には法令で求められている対応が適切にできるように進める必要があります。

 

■参考リンク
厚生労働省「非正規雇用労働者(有期・パート)の雇用

 

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2月17日 年次有給休暇の平均取得率は66.9%で過去最高

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年次有給休暇(以下、「年休」という)の取りやすさは、従業員の関心事のひとつで、採用にも影響が出てくるものです。この年休の取得率ですが、先日、厚生労働省から公表された「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」によると、年休の平均取得率は66.9%で過去最高となりました。以下では、その詳細や計画的付与制度の状況を見てみましょう。

 

[1]年休の取得状況
 年休の取得状況について、2024年の1年間に企業が付与した年休の日数(繰越日数は除く)は、労働者1人平均18.1日(前年調査16.9日)となりました。そのうち労働者が取得した日数は12.1日(同11.0日)であり、取得率は66.9%となり、1984年以降、過去最高となりました。この取得率は、産業別に集計されており、主な産業をみると以下のようになっています。

  • 建設業 60.7%
  • 製造業 72.8%
  • 電気・ガス・熱供給・水道業 75.2%
  • 卸売業、小売業 59.9%
  • 宿泊業、飲食サービス業 50.7%
  • 医療、福祉 68.4%

[2]計画的付与制度
 計画的付与制度とは、労使協定を締結することで、1年に5日を超える年休について計画的に取得日を指定することができる制度です。具体的な方法は、企業全体等で一斉に付与する方法、班・グループ別に交替制で付与する方法、計画表を作成し従業員ごとに付与する方法があります。
 この計画的付与制度を利用している企業の割合は40.8%(同40.1%)となっています。計画的付与日数を階級別に見てみると、「5~6日」が71.6%ともっとも多く、年休の1年に5日の取得義務を確実に実施するために活用されていると考えられます。

 

[3]特別休暇
 多くの企業では、年休や子の看護等休暇等の法定休暇以外の休暇として、特別休暇を設けていることがあります。今回の調査では、特別休暇制度がある企業割合は60.3%(同59.9%)で、設けている休暇とその割合は以下の通りです(複数回答)。

  • 夏季休暇 41.5%
  • 病気休暇 28.4%
  • リフレッシュ休暇 15.4%
  • ボランティア休暇 7.3%
  • 教育訓練休暇 5.4%
  • 上記以外の1週間以上の長期休暇 16.7%

 年休の年5日の取得義務については、管理監督者も対象です。取得すべき1年の終了間際になって、5日の取得ができていないというケースが見られることから、早めに取得されているかのチェックを行い、確実に取得できているようにしましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況

 

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2月10日 民間企業の障害者実雇用率は前年と同じ2.41%

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2026年7月より、民間企業の障害者に係る法定雇用率が2.5%から2.7%に引上げられ、今後は従業員数37.5人以上規模の企業において障害者を1人以上雇用することが義務となります。そこで今回は、先月、厚生労働省から公表された「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(以下、「集計結果」という)の中から、最新の障害者の雇用状況について確認しましょう。

 

[1]障害者雇用数と種別
  障害者の雇用義務のある40.0人以上規模の民間企業で雇用されている障害者の数は704,610.0人で、前年より27,148.5人増加し、22年連続で過去最高を更新しました。障害種別にみると、以下のようにいずれの種別でも増加していますが、精神障害者の雇用数が大幅に伸びており、知的障害者の雇用数を上回りました。

  • 身体障害者 373,914.5人(対前年比1.3%増)
  • 知的障害者 162,153.5人(同2.8%増)
  • 精神障害者 168,542.0人(同11.8%増)

[2]実雇用率
 実雇用率を企業規模別にみると、40.0人~100人未満については1.94%(前年は1.96%)、100人~300人未満が2.18%(同2.19%)、300人~500人未満が2.27%(同2.29%)、500人~1,000人未満が2.41%(同2.48%)、1,000人以上が2.69%(同2.64%)となっており、1,000人未満の企業において前年より実雇用率が低下しています。

 

[3]障害者雇用率達成の指導状況
 実雇用率が低い企業に対しては、障害者雇用率の達成に向けたハローワークによる指導が、以下の流れで行われます。

 

障害者雇用状況報告(毎年6月1日の状況)

障害者雇入れ計画作成命令(2年計画)

障害者雇入れ計画の適正実施勧告

特別指導

企業名の公表

 この指導について、2024年度の実績は以下のとおりです。

  • 障害者雇入れ計画作成命令の発出 446社
  • 障害者雇入れ計画の適正実施勧告 62社
  • 特別指導の実施 37社

 また、障害者雇入れ計画を実施中の企業は、338社となっています。

 障害者雇用人数が不足している企業や今後不足することが予想される企業においては、法定雇用率の達成に向け、継続的に採用と定着の取り組みを進める必要があります。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果
厚生労働省「障害者を雇い入れた場合などの助成

 

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2月3日 65歳以上定年企業は全体の34.9%

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

少子化により若年労働者の採用が困難になる中、人材確保の観点から、定年の引上げなどを行う動きが見られます。先月、厚生労働省から公表された2025年の「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果(以下、「集計結果」という)では、定年制の状況と70歳までの就業確保措置(努力義務)に対応した企業の状況等を確認することができます。以下ではこの内容をとり上げます。

 

[1]定年制の状況
 企業における定年制の状況については、65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は全体の34.9%(前年32.6%)となりました。これを年齢区分でみると以下のようになっています。前年からの変化としては、定年「60歳」の割合が減少し、「65歳」の割合が増加しています。

年齢区分 割合
 60歳 62.2%(前年64.4%)
 61~64歳 2.9%(変動なし)
 65歳 27.2%(前年25.2%)
66~69歳 1.2%(前年1.1%)
70歳以上 2.5%(前年2.4%)
定年制の廃止 3.9%(変動なし)

 また、65歳定年の割合を企業規模別にみてみると、中小企業では全体の27.7%(前年25.7%)、大企業では全体の21.5%(前年18.9%)となっています。
※この集計では従業員21人以上300人以下の規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」としています。

 

[2]70歳までの就業確保措置の実施状況

 70歳までの就業確保措置として、以下の1~5のいずれかの措置を講ずることが企業の努力義務とされています。65歳までの雇用確保措置と異なり、雇用だけでなく、業務委託契約など直接雇用をしない形で、70歳まで就業できる機会を与えることも措置に含まれています。

  1. 70歳までの定年引上げ
  2. 定年制の廃止
  3. 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
     ※特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む
  4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  5. 70歳まで継続的に以下の社会貢献事業に従事できる制度の導入
    1. 事業主が自ら実施する社会貢献事業
    2. 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

 今回の集計結果では、報告した全企業の中で就業確保措置が実施済みである企業が全体の34.8%(前年31.9%)となり、この割合は年々増えています。企業規模別では、中小企業では35.2%、大企業では29.5%となっています。また、就業確保措置の内訳を全体でみると、70歳までの定年引上げが2.5%、定年制の廃止が3.9%、継続雇用制度の導入が28.3%、創業支援等措置の導入が0.1%となっています。
 高齢者の活用について、検討がまだの企業は、今後、どのように対応していくのか、具体的な検討を進めていくことが求められています。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和7年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します

 

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