3月11日 勤務中の事故に関する損害賠償について

こんにちは、福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)です。
先月、勤務中の事故に関する損害賠償を巡る裁判で最高裁の判決が出されました。

事件は、運送会社の運転手として勤務する従業員が仕事中に起こした事故について、従業員自身が被害者へ損害賠償を行い、その損害賠償分の支払いを従業員から会社側にも求めたというものです。
この運送会社では自動車保険等に加入しておらず、従業員が自身で負担する「自家保険政策」をとっていました。
民法上、会社側が被害者に賠償を行った後で従業員に損害賠償額の負担を求める「求償権」はありますが、今回争われたのは従業員が賠償を行った後で会社側にも負担を求める「逆求償権」が有効であるかどうか、という点です。
一審の地方裁判決では逆求償権が認められ、会社側の支払いを命じていましたが、二審では認められませんでした。

今回の最高裁判決では、民法715条を取り上げ、「会社の従業員等が仕事で第三者に損害を与えた場合、使用者も損害賠償の責任を負う『使用者責任』がある」として、会社側にも損害賠償の費用を負担を命ずる判決を下しました。
また、判決に対し、「運送会社はトラック等での運送を行う以上事故等のリスクはあり、自動車保険等に加入して万一の従業員等の負担を抑えることで、結果的に人手の確保にもつながるだろう」という趣旨の補足も出されています。

今後、勤務中の事故等に関する損害賠償の負担をめぐる裁判に関しては、この判例を参考に審議が進む可能性があります。
運送業等、業務の種類上従業員が事故を起こすリスクのある企業については、事前に損害賠償保険に加入し、企業や従業員の負担を少しでも減らすことも大きなトラブルを避ける有効な手段になると考えられます。

福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)では、労務管理や労働災害等に関するご相談等承っております。
小さなご相談もぜひ一度ご連絡ください。

3月9日 新型コロナウイルス流行に伴う特例措置について

こんにちは、福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)です。
現在、新型コロナウイルスが世界的に流行し、日本も経済に大きな影響を受けています。
今回は、これまで発表されている政府の特例措置についてまとめたいと思います。

■雇用調整助成金の条件緩和
そもそも雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を一時的に休業等をさせる措置をとることで雇用の維持を図った場合に、その休業手当や賃金等の一部を助成するものです。
今回の新型コロナウイルスの流行に伴う特例措置として、条件の緩和等が図られています。
・休業等計画届の事後提出が可能(本来は計画申請⇒計画に基づく休業等⇒支給申請の流れをとります)
・生産指標の確認期間(昨年に比べて売上が下がったこと等を確認するもの)が3か月⇒1か月に
・事業所設置後1年未満の事業主も対象
・新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主が対象
・緊急事態宣言を出されている地域(現在は北海道のみ)については、助成率を拡大
※現在も条件の緩和等の検討が続いている状況です。上記は2020年3月6日時点の情報です。

■小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援
小学校等の臨時休業に伴いその保護者である従業員が休職した場合、法定の有給休暇とは別途の有給休暇を取得させた場合に、企業に対して賃金相当額の助成金を行うものです。
・対象となる従業員:新型コロナウイルス感染拡大防止策として臨時休業した小学校等に通う子、もしくは風邪症状等新型コロナウイルスに感染したおそれのある小学校等に通う子の世話を行うことが必要になった従業員
※「小学校等」には、小学校、高校までの特別支援学校、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等も含まれます。
・適用となる期間:2020年2月27日~2020年3月31日の間に取得した休暇

■その他
・経済産業省より、セーフティネット保証5号対象業種の追加指定を行うことが決定しています。(追加の融資枠を保証する制度)
福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)でも、随時情報を確認しております。
小さなご相談もお気軽にお問い合わせください。

《参考》
・厚生労働省「雇用調整助成金
・厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援について
・経済産業省「新型コロナウイルス感染症に係る中小企業者対策を講じます

2月19日 同一労働同一賃金と訴訟

こんにちは、福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)です。
先週、日本郵便の契約社員が正社員との手当の格差をめぐり、会社を相手取り全国で集団提訴を起こしました。

原告は賞与や住居手当、年末年始勤務手当等について正社員との格差が不合理であるとして訴えており、その支払いを会社側に求めています。
これまでも正社員-契約社員間での給与の格差をめぐる訴訟があり、近年では不合理な格差と認めて労働者側が勝訴するケースも出てきています。
原告が重視しているのは「同一労働同一賃金」で、同じ職務(業務の内容や責任の重さ)に対しては同等の賃金を支払うという考え方です。

働き方改革が広がる中で「同一労働同一賃金」という言葉を耳にされる方も多いかと思いますが、今年の4月から、一定規模以上の企業については、同一労働同一賃金の対応が求められることとなります。
参考⇒【第6回】働き方改革関連法案特集⑥同一労働同一賃金

なお、中小企業に関しては2021年4月からの適用となります。

同一労働同一賃金の対応にあたっては、現在の職務内容や支給している給与・手当の内容についての整理から始めていきます。
例えば、正社員とパートの従業員を雇っている場合、それぞれが担当している仕事の内容や責任の程度、転勤等配置転換の可能性に応じた給与の設定をしているかどうか、通勤手当等職務内容に関係のない手当については正社員・パート従業員ともに同程度支給しているかどうかのチェックを行います。

福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)では、同一労働同一賃金に関するご相談から人事評価制度の構築、就業規則の変更等も承っております。
小さなご相談もお気軽にお問合せください!

2月7日 36協定新様式について

こんにちは、はかた駅前社会保険労務士法人です。
働き方改革の法整備が進み、今年の4月1日から中小企業にも残業時間の上限規制が適用されます。

その適用に伴い、4月1日から有効期間が始まる時間外労働・休日労働に関する協定届(通称36協定)については、新しい様式での提出が求められるようになります。
※事業や業種により、様式が異なる場合があります。
「残業時間の上限規制」に関しては、原則として月45時間・年360時間が時間外労働の上限となり、「臨時的な特別の事情」がなければこれを超えることができなくなります。
また、「臨時的な特別の事情」があって労使が合意した場合は、条件が下記の通りとなります。(通称特別条項)
・時間外労働は年間720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
・月100時間未満(休日労働を含む)
・原則である月45時間を超えてよいのは年間6か月まで

なお、特別条項で届出を行う場合、限度時間を超えて従業員に勤務してもらうための手続きや勤務する従業員への健康・福祉確保措置の申告も必要となります。

はかた駅前社会保険労務士法人では、36協定の届出や労働条件の整備、社会保険等の諸手続き等も承っております。
「36協定をどの様式で出すべきか知りたい」「就業規則を見直したい」等小さなご相談もぜひお問合せください!

1月31日 男性の育児休業取得について

こんにちは、福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)です。
先日、「小泉進次郎環境相が育休を取得した」というニュースが話題になりました。

家庭と仕事の両立を支援するために、国は女性だけではなく男性の育児休業取得も進めています。
最近では、男性の国家公務員に1ヶ月以上の育児休業取得を促進する方針が決定されています。

育児休業制度を定める育児・介護休業法には、「パパ・ママ育休プラス」といった制度も定められており、条件を満たした場合、両親がともに育児休業を取得する場合、原則子が1歳までの休業可能期間が、子どもが1歳2か月に達するまで(2か月分はパパ(ママ)のプラス分)に延長されます。
この時、育児休業給付金についても子どもが1歳2か月に達するまで受けられるケースがあります。

企業で従業員の両立支援に取り組む場合、まず短い期間の育児休業取得から進めてみる、さらには時短での勤務や看護休暇の制度を設けるといった方法が考えられます。
また、厚生労働省の「両立支援助成金」では、男性社員が育児休業を取得して一定の条件を満たした場合に、最大57万円の助成金を受けられる場合がございます。
助成金で支援を受けながら、制度の整備を進めていくことも有効な手段の一つです。

福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)では、育児休業の制度整備に関するご相談から両立支援助成金をはじめとする助成金の申請代行等幅広く承っております。
小さなご相談もぜひ一度お問合せください。

1月24日 70歳雇用について

こんにちは、福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)です。

先日、日経新聞の郵送世論調査で、「70歳を超えても働く」と回答した人が過半数に上ることが明らかになりました。
調査では「老後の経済面に不安を感じている」方が多く、生活基盤を整えるために働き続けたいと考える人が増えていると思われます。

厚生労働省は、高齢者が希望すれば70歳まで働き続けられる制度の整備を、2021年4月から企業の努力義務とする方針を決定しています。
施行された場合、定年の引上げ・廃止や継続雇用制度の設置等で雇用継続の確保が求められることになります。
雇用継続の確保措置として、既に勤務している高年齢者等が希望する場合、本人が定年後事業を立ち上げた場合に業務委託契約等で仕事を提供できるよう働きかけるといった選択肢も挙げられています。

施行に向けて対応を進めていこうと検討されている場合、「特定求職者雇用開発助成金」を活用できる可能性があります。
特定求職者雇用開発助成金の生涯現役コースは、65歳以上の方をハローワーク等の紹介で採用し、一定期間働き続けた場合、フルタイムの方で合計70万円の支給を受けることが可能な制度です。
※申請を行うには、様々な支給要件がございます。

福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)では、パートタイムや業務委託等従業員の働き方に関するご相談から就業規則の作成、助成金の申請代行も承っております。
小さなご相談もお気軽にお問合せください。

12月27日 今年も一年間お世話になりました!

福岡市博多駅前の『福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)』でございます。

本年1年間は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。

さて、誠に勝手ではこざいますが、当事務所の年末年始につきまして
下記の通り休業とさせていただきますので、ご案内申し上げます。

〇年末年始休業 2019年12月28日(土)~2020年1月5日(日)まで〇

来年もこれまで通りのお引き立てを賜ります様お願い申し上げます。

12月4日 高齢者の雇用について

こんにちは、福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)です。
先月、厚生労働省より高年齢者の雇用状況に関する集計結果が公表されました。
対象は従業員数が31人以上の企業約16万社で、31~300人以下を中小企業・301人以上を大企業として集計しています。

現在、65歳までの安定した雇用を確保するため、企業は「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」いずれかを行うよう義務付けられています。
今後国は70歳までの雇用継続を目指し、企業に対して70歳までの雇用を努力義務とする方針です。

今回の調査結果を見ると、雇用確保の措置として継続雇用制度を導入している企業が大半ですが、定年の引き上げを行っている企業の割合が昨年より増加しています。
また、70歳雇用の努力義務を見据えて、定年制の廃止や66歳以上働ける制度を設ける企業もわずかですが増加の傾向が見られます。
日本では年々健康寿命が延びており、人手不足が深刻化する中で高齢者の方に活躍してもらう企業も増加しています。

厚生労働省から出される助成金の中で、高年齢者の方をハローワーク等からの紹介で雇った場合に一定の条件を満たすことで支給される特定求職者雇用開発助成金というものがあります。
高年齢の従業員にも活躍してもらいやすいよう働く環境を整備するにあたり、こうした助成金を活用することもおすすめです。

福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)では、定年制度に関するご相談から就業規則の作成・変更等のお手続まで幅広く承っております。
小さなご相談もぜひ一度お寄せください。

《参考》
・厚生労働省「令和元年『高年齢者の雇用状況』の集計結果

11月27日 パワハラ防止の指針案について

こんにちは、福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)です。
急に気温が下がり、本格的な冬の訪れを感じるようになりました。

先週の11月20日に、厚生労働省でパワーハラスメント防止の指針案がまとめられ、労働政策審議会(諮問機関)が了承しました。
これまでパワハラの防止義務化を見据えて防止の指針案に関する議論が進められてきましたが、今後はまとめた指針をもとにパンフレット等が作られ、企業への周知が進められていきます。

指針で示されるパワハラの定義・具体的基準は下記の通りです。
【パワハラの定義】
①優越的な関係を背景とした言動で(例:上司/部下など)
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③労働者の就業環境が害されるもの
※上記3項目をすべて満たした場合にパワハラに該当するとしています。
【パワハラの具体例】
①身体的な攻撃
②精神的な攻撃
③人間関係からの切り離し(例:別室での隔離を長時間強制する)
④過大な要求(例:新人に達成できない過度な業績目標を課して厳しく叱責)
⑤過小な要求(例:管理職を退職に追い込む目的で誰にでもできる簡単な仕事しか与えない)
⑥個の侵害(例:従業員を職場外でも継続的に監視する)

今後「従業員からパワハラの相談を受けた」といった場合は、関係者へ慎重にヒアリングを行い、定義や具体例に照らして検証を進めることが解決への一手となりそうです。
福岡助成金支援センター(はかた駅前社会保険労務士法人)では、従業員の労務トラブルに関するご相談から再発防止の研修等幅広く承っております。
小さなご相談もぜひ一度お待ちしております。

《参考》
日本経済新聞「パワハラ指針案、労政審が了承 具体例や企業責務明示