5月7日 給与が「〇〇pay」等のデジタルで受け取れるようになる賃金のデジタル払い

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

2025年4月4日に、〇〇payといったデジタル払いで受け取れる「賃金のデジタル払い(給与のデジタル払い)」が認められる資金移動業者として、4つ目の業者が厚生労働省の指定を受けました。これで、以前から厚生労働省に対し申請を行っていたすべての業者が指定を受けたことになります。これにより今後、賃金のデジタル払いの普及が予想されますので、その概要についてとり上げます。

 

[1]賃金のデジタル払いとは
 会社が従業員に支払う給与は「通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と労働基準法で規定されています。その例外として、従業員から個別に同意を得て、従業員が指定する本人名義の預貯金口座や証券総合口座に振り込むことが認められています。
 2023年4月よりこれに加えて、会社が従業員の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金の支払い(賃金のデジタル払い)が可能となりました。2025年4月4日時点で、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者は、PayPay株式会社(PayPay給与受取)、株式会社リクルートMUFGビジネス(COIN+(スタンダード))、楽天Edy株式会社(楽天ペイ給与受取)、auペイメント株式会社(au PAY 給与受取)の4社です。

[2]必要な手続き
 賃金のデジタル払いを行うためには、以下の6つの手続きがあります。

  1. 指定資金移動業者の確認
  2. 導入する指定資金移動業者のサービスの検討
  3. 労使協定の締結等
  4. 従業員への説明
  5. 従業員の個別の同意取得
  6. 賃金支払いの事務処理の確認・実施

 4.と5.については、賃金のデジタル払いを希望する従業員に対して、賃金のデジタル払いに関する必要事項を説明した上で、個別に同意を取ります。説明の際には、賃金の支払い方法に関する他の選択肢(現金、預貯金口座への振り込みまたは証券総合口座への払い込み)もあわせて提示することになっています。従業員の同意取得については、同意を得る際に、賃金のデジタル払いを行う口座に賃金を振り込むために必要な情報、受け取り希望額、指定代替口座等の情報も取得することになっています。

 厚生労働省はホームページ上の専用ページ「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」をリニューアルし、使用者、労働者、資金移動業者の3つに分けて、それぞれに向けた情報を発信しています。今後、賃金のデジタル払いを検討される際は、まずはこの専用ページを見てみるとよいでしょう。

■参考リンク
厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について
厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)における資金移動業者の指定

 

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4月28日 割増賃金の基礎となる賃金と最低賃金の対象となる賃金の違い

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

賃金の支払いにあたっては、法令により様々なルールが定められており、それに沿った支払いが求められます。そこで今回は、割増賃金を計算するときに基礎となる賃金と、最低賃金の対象となる賃金の範囲について確認していきましょう。

 

[1]割増賃金
 割増賃金の基礎となる賃金から除外できるものとして、以下の7つが定められています。割増賃金を計算するにあたっては、この除外賃金以外の賃金を基礎となる賃金として含める必要があります。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金
  7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

 また、1~5については、手当の名称ではなく、その内容によって割増賃金の基礎となる賃金から除外できるかを判断します。判断にあたっては厚生労働省が示している具体的な範囲を参考にするとよいでしょう。例えば住宅手当の場合、「住宅に要する費用に応じて算定される手当」は除外できるとし、除外できない例も含め、以下の具体例が示されています。

【除外できる例
 住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給するもので、例えば、賃貸住宅居住者には家賃の一定割合、持家居住者にはローン月額の一定割合を支給する場合。
【除外できない例】
 住宅の形態ごとに一律で支給するもので、例えば賃貸住宅居住者には2万円、持家居住者には1万円を支給する場合。

 

[2]最低賃金
 最低賃金の対象となる賃金については、毎月支払われる基本的な賃金とされており、具体的には実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(所定外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精勤手当、通勤手当および家族手当

[3]間違えやすい手当
 間違えやすい手当の一つとして、精皆勤手当があります。精皆勤手当は、割増賃金計算においては対象となりますが、最低賃金のチェックにおいては除外することになります。

 割増賃金の計算方法を誤っていた、最低賃金を下回っていたということがないように、改めて各手当の取り扱いを確認し、問題があれば早急に是正しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「割増賃金を計算する際の基礎とは?
厚生労働省「対象となる賃金は?

 

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4月22日 2025年4月より短縮された雇用保険の基本手当を受給できるまでの給付制限期間

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従業員が会社を退職し、収入が得られなくなったときに頼りにするものの一つが、雇用保険の基本手当です。基本手当は、退職理由や退職時の年齢、被保険者であった期間等により、受給できるまでの期間や受給できる額(所定給付日数)に違いが出てきます。以下では、受給できるまでの期間である給付制限期間について確認します。

 

[1]給付制限期間
 雇用保険の基本手当を受給にあたっては、退職理由に関わらず、受給資格が決定した日から7日間の「待期期間」が設けられています。その後、正当な理由がなく自己の都合により退職した人には、給付制限期間として、1~3ヶ月間の基本手当が支給されない期間が設定されます。
 この給付制限は、離職日が2020年10月1日以降の人について3ヶ月から2ヶ月に短縮されており、さらに、退職日が2025年4月1日以降の人については1ヶ月に短縮されました。ただし、退職日から遡って5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己の都合により都合退職し受給資格決定を受けた場合には、給付制限は3ヶ月となります。また、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇(重責解雇)された場合にも、給付制限は3ヶ月間となります。

[2]教育訓練受講による解除
 2025年4月以降は、リ・スキリングのために教育訓練等を受けている場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できるようになりました。
 対象となる教育訓練等とは、2025年4月1日以降に受講を開始したものであり、教育訓練給付金の対象となる教育訓練や、公共職業訓練等の一定範囲内のものに限ります。退職日以後に教育訓練等を受ける場合には、受講開始日以降給付制限を受けないほか、退職前1年以内に教育訓練等を受けたことがある場合には、給付制限が解除され、待期期間満了後からすぐに基本手当の支給対象となります。なお、退職理由が重責解雇の場合は、この給付制限の解除の対象外となります。

[3]解除の手続き
 給付制限の解除のためには、受講開始以降、受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合は、その受講開始日の直後の認定日)までに、ハローワークの窓口で申し出る必要があります。
 給付制限期間が2ヵ月以上で、初回認定日以降かつ給付制限期間中に教育訓練等の受講を開始する場合には、申し出の期限に注意が必要で、次のようになります。

  1. 受講開始日が「初回認定日」以降かつ「認定日の相当日」前の場合、受講開始日直後の「失業認定日に相当する日」までに申し出。
  2. 受講開始日が「認定日の相当日」以降かつ「給付制限期間満了後の失業認定日」前の場合、「給付制限期間満了後の失業認定日」までに申し出。

 申し出の際、訓練開始日が記載された領収書または訓練実施施設による訓練開始日の証明書といった添付書類の用意が必要になります。

 基本手当の受給については、従業員の退職後の対応になるため、本来であれば従業員自身で確認し、対応が必要なことにはなりますが、退職予定者からの質問も多い内容ですので、制度の概要は押さえておきたいものです。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます

 

 

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4月15日 支給対象者の範囲や助成額が大幅変更となるキャリアップ助成金

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非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、キャリアップ助成金が用意されています。この助成金は、正社員転換、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対し、助成金が支給される制度です。2025年4月より支給対象者や助成額が大きく変化することから、この内容をとり上げます。

[1]正社員化コース

 キャリアアップ助成金の正社員コースとは、有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換等した場合に助成金が支給されるものです。一律の額となっていた労働者について、2025年4月1日以降は、以下のように重点支援対象者とそれ以外に分けて助成されます。

【重点支援対象者】1人当たり
 有期→正規 80万円(60万円)
 無期→正規 40万円(30万円)
【重点支援対象者以外】1人当たり
 有期→正規 40万円(30万円)
 無期→正規 20万円(15万円)
 ※()内はいずれも大企業の助成額

 重点支援対象者とは、以下のa~cのいずれかに該当する労働者を指します。

  1. 雇入れから3年以上の有期雇用労働者
  2. 雇入れから3年未満で、次の(1)(2)いずれにも該当する有期雇用労働者
    (1)過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下
    (2)過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
  3. 派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者

 なお、雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者については無期雇用労働者とみなされます。

 

[2]賃金規定等改定コース
 賃金規定等改定コースでは、有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、適用させた場合に助成金が支給されるものです。増額幅が3%以上5%未満と、5%以上の2つに区分されていたものについて、下表のように変更が行われています。4%未満の改定については助成額が縮小した一方で、6%以上の改定について助成額が拡大しています。

賃金引き上げ率 助成額(1人当たり)
3%以上4%未満 4万円(2.6万円)
4%以上5%未満 5万円(3.3万円)
5%以上6%未満 6.5万円(4.3万円)
6%以上 7万円(4.6万円)

※()内はいずれも大企業の助成額 また、有期雇用労働者等の昇給制度を新たに設けた場合、1事業所当たり1回のみ20万円(大企業は15万円)を加算する措置が新設されます。

 キャリアップ助成金を利用する場合、各コースの取り組み実施日の前日までに管轄の労働局長にキャリアアップ計画書を提出し、認定を受ける必要がありましたが、2025年4月1日以降は、届け出のみになりました。活用を検討される場合は、最新情報を確認の上、キャリアアップ計画書の作成から進めましょう。

■参考リンク
厚生労働省「キャリアアップ助成金

 

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4月8日 2025年度の雇用保険料率と賃金の考え方

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雇用保険料率は財政状況に応じて毎年度、見直しが行われています。以下では、決定した2025年度の雇用保険料率と、雇用保険料の対象となる賃金等について確認します。

 

[1]2025年度の雇用保険料率
 雇用保険財政は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で一時的な悪化が見られたものの、財政状況の回復も見られることから、2025年度は下表のとおり、前年度から引下げとなります。

2025年度の雇用保険料率

 

従業員負担 会社負担 合計
一般の事業 5.5/1,000 9/1,000 14.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業 6.5/1,000 10/1,000 16.5/1,000
建設の事業 6.5/1,000 11/1,000 17.5/1,000

 

[2]雇用保険料の対象となる賃金
 雇用保険料の対象となる賃金とは、賃金、手当、賞与、その他名称を問わず労働の対償として会社が従業員に対し支払うすべてのものを指します。基本給や各種手当はもちろんのこと、非課税である通勤手当も対象となります。また、割増賃金の算定基礎には含まれない住宅手当や家族手当も対象となります。
 給与を通貨ではなく、現物給与として支給するときには、代金を徴収するものは、原則として賃金に該当しません。ただし、徴収する金額が実際の費用の3分の1を下回っている場合は、実際費用の3 分の1に相当する額と徴収する金額との差額部分が、賃金として取扱われます。実際の費用の3分の1を上回る代金を徴収しているものは現物給与として扱われません 。

※図はクリックで拡大されます。

 

[3]離職票等に記載する賃金
 雇用保険料の対象となる賃金のうち、「臨時に支払われる賃金」と「3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」を除いたものが離職証明書(いわゆる「離職票」)等に記載する賃金です。
 「臨時に支払われる賃金」とは、支給されることがまれであるか、不確実であるものをいいます。また、「3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは、毎月の定期給与以外の賃金のうち、年間を通じての支給回数が3 回以下のもので、いわゆる「賞与」を指します。
 そのため、就業規則等により年間を通じて4 回以上支給される場合は、3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金に該当しないこととなり、離職票等においては「賃金に関する特記事項 」として記載が必要です。

 雇用保険料の対象となる賃金や、離職票等に記載する賃金については、普段見返す機会があまりないかと思います。この機会に適正な処理をしているかを確認してみるとよいでしょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内
厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き

 

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4月1日 4月に創設される育児時短就業給付金

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いよいよ2025年4月1日より新たな雇用保険の給付金である「育児時短就業給付金」が創設されます。この給付金は、2歳未満の子どもを養育するために所定労働時間を短縮して就業し、賃金が低下したときなどに支給されるものです。以下では、この内容を解説します。

 

[1]支給要件
 育児時短就業給付金は以下の2つの要件を満たす雇用保険の被保険者に支給されるものです。

  1. 2歳未満の子どもを養育するために、育児時短就業すること
  2. 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて、育児時短就業を開始した、または、育児時短就業開始日前2年間に被保険者期間が12ヶ月あること

 なお、育児時短就業とは、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業することを指します。そのため、1日の所定労働時間は短縮していないものの、1週間の所定労働日数を減らすような場合も、上記1の要件を満たすことになります。
 また、正社員として育児時短就業をする場合のみでなく、例えばパートタイマーに雇用区分を変えることで1 週間当たりの所定労働時間が短縮される場合も含まれます。

 

[2]支給額
 育児時短就業給付金の支給額は、原則として育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相当額となっています(支給限度額あり)。ただし、育児時短就業開始時の賃金水準を超えないように調整されるため、育児時短就業時の賃金額が、育児時短就業開始時の賃金月額の90%を超える場合には、下表のように支給率が逓減します。

育児時短就業給付金の支給率早見表

賃金率 支給率 賃金率 支給率
100.00% 0.00% 95.00% 4.74%
99.50% 0.45% 94.50% 5.24%
99.00% 0.91% 94.00% 5.74%
98.50% 1.37% 93.50% 6.26%
98.00% 1.84% 93.00% 6.77%
97.50% 2.31% 92.50% 7.30%
97.00% 2.78% 92.00% 7.83%
96.50% 3.26% 91.50% 8.36%
96.00% 3.75% 91.00% 8.90%
95.50% 4.24% 90.50% 9.45%
90.00% 10.00%

 

[3]経過措置
 2025年4月1日より前から、2歳未満の子どもを養育するために育児時短就業に相当する短時間勤務をしている場合は、2025年4月1日から育児時短就業を開始したものとみなして、支給要件や育児時短就業前の賃金水準を確認することになっています。実際に、短時間勤務を開始したときにさかのぼるわけではない点に注意が必要です。

 支給申請は、原則として2ヶ月に1回、会社を通じて行うこととされていますが、従業員が希望する場合には、従業員自ら支給申請を行うことや、1ヶ月ごとに支給申請を行うこともできます。給付金の対象となる従業員をどのように把握して円滑な手続きを行うか、事前にその流れを検討しておきましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「育児休業等給付について

 

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3月25日 3月分以降の協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険料率および介護保険料率は、例年3月分(4月納付分)から見直しが行われています。以下では、2025年3月分から変更される都道府県支部毎の保険料率をお伝えします。

 

[1]2025年度の健康保険料率
 協会けんぽの健康保険料率は、都道府県支部毎に設定されますが、2025年3月分から適用される保険料率は下表のとおりとなりました。
 47都道府県のうち、前年度より健康保険料率が引上げとなったのが28、引下げとなったのが18、変更なしが1でした。そして、もっとも高い保険料率は佐賀県の10.78%、もっとも低い保険料率は沖縄県の9.44%となっており、佐賀県と沖縄県の保険料率の開きは大きなものになっています。

[2]引下げとなった介護保険料率
 介護保険料率は単年度で収支が均衡するよう毎年見直しが行われますが、2025 年3月分からは、1.60%から1.59%への引下げとなりました。※図はクリックで拡大されます。

2025年3月分からの健康保険料率(各都道府県支部毎)

↑:引上げ →:変更なし ↓:引下げ

 健康保険料率および介護保険料率は3月分から変更になるため、3月に賞与を支給する会社では、賞与にかかる保険料から新しい保険料率で計算して、賞与からの控除が必要となります。対象となる会社は、取扱いに注意しましょう。

 

■参考リンク
日本年金機構「令和7年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます

 

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3月18日 3歳未満の子を養育する従業員が利用できる年金額計算の特例

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少子化を背景に、様々な形で子ども・子育てへの支援が行われています。今回は、以前から設けられている厚生年金の年金額を計算するときの特例制度についてとり上げます。

 

[1]厚生年金保険の標準報酬月額
 厚生年金保険に加入する従業員は、支給される給与に基づき、標準報酬月額が決定されます。標準報酬月額は、従業員や会社が負担する厚生年金保険料の算出に用いられ、さらに、将来受け取ることになる年金額の計算の基礎となります。

[2]年金額の特例制度
 3歳未満の子どもを養育する従業員で、養育期間中の各月の標準報酬月額が、養育を始めた月の前月と比べて低下した期間については、将来受け取ることになる年金額の計算について特例が設けられています。これは、子どもを養育することで育児短時間勤務を行ったり、残業時間が減ったりすることで、養育期間の前よりも標準報酬月額が下がることがあるためです。
 この特例の適用を受けることで、子どもの養育を始めた月の前月の標準報酬月額が養育期間中の標準報酬月額とみなされ、子どもを養育する前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができます。厚生年金保険料は、養育後の標準報酬月額で負担することとなるため、特にデメリットはありません。

[3]添付書類の省略
 従業員がこの特例を受けるためには、会社を通じて「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を年金事務所等に提出することになります。
 提出にあたっては、原則として、以下の2つの書類を添付する必要があります。

  1. 戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書
  2. 住民票の写し(原本)

 上記の添付書類について、2024年11月と2025年1月に取扱いの変更がありました。具体的には、会社が戸籍謄(抄)本等で申出者と子どもの身分関係を確認し、申出書の「□確認済み」にチェックを入れた場合や、申出者と子どもの両方に日本の戸籍があり、申出者と子どものマイナンバーがどちらも申出書に記載されている場合には、上記1の添付を省略できます。また、従業員と子どものマイナンバーのいずれも申出書に記載する場合には、上記2の添付を省略できます。

 今回とり上げた特例制度は従業員の申し出に基づき、会社が手続きをすることになっていますが、対象になるような従業員がいる場合には、会社から制度の周知を行うことが望まれます。なお、子どもの養育を始める前に退職し、その後、養育期間内に再び働き始めた場合などは、子どもの養育を始めた月の前月より直近1年以内に被保険者となっていれば、最後に厚生年金保険の被保険者であった月の標準報酬月額が、養育前の標準報酬月額とされます。3歳未満の子どもを養育する従業員が転職してきたような場合には、対象になる可能性があることを伝えたいものです。

 

■参考リンク
日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置

 

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3月11日 36協定を締結する際の注意点

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

「時間外労働・休日労働に関する協定」(以下、「36協定」という)は、企業の労務管理においてもっとも重要な労使協定であり、この締結・届出がなされない中での時間外労働・休日労働、または協定内容を超えた時間外労働・休日労働は労働基準法違反となります。4月に向けて36協定の締結を行う企業が多いことから、以下では36協定締結において勘違いしやすい労働者数と休日労働に関する項目の意味について解説します。

[1]労働者数とは
 36協定の協定事項とされている労働者数とは、在籍している労働者の人数ではなく、時間外労働・休日労働を行わせることが想定される人数をいいます。この労働者数については、協定の有効期間中に、入社や退職により協定に記入した人数と実態が乖離することがあります。このような場合であっても、再度、36協定を締結して届け出る必要はなく、締結後に入社した労働者に対しても協定の範囲内で時間外労働や休日労働を命じることができます。

[2]休日労働に関する項目
 協定事項には「労働させることができる休日の日数」があり、36協定の協定届には「労働させることができる法定休日の日数」と「労働させることができる法定休日における始業及び終業の時刻」があります。
 「労働させることができる法定休日の日数」とは、法定休日に労働させる可能性のある日数をいいます。厚生労働省が公開しているリーフレット「36協定の適正な締結」にある36協定届の記載例では、「1か月に1日」という内容になっていますが、この場合、法定休日に労働させることができるのは1ヶ月に1日のみとなります。そのため、例えば繁忙期は法定休日のうち、2日は出勤してもらう可能性がある場合には、「1ヶ月に2日」と記載します。
 「労働させることができる法定休日における始業及び終業の時刻」とは、法定休日に労働させる場合の始業時刻と終業時刻をいいます。この時刻について、会社の通常の始業時刻と終業時刻を記載しているケースを見かけますが、この時刻が法定休日に労働させることのできる始業時刻と終業時刻となります。通常の始業時刻よりも早く出勤させる可能性がある場合などは、会社が想定する時刻を記載しましょう。

 36協定を締結する際、前年と同じ内容で、日付と人数だけ確認・修正しているケースが見受けられますが、実態に合わない36協定を運用することで直ちに法違反となる危険性があります。協定する内容や数字の意味を理解した上で、業務の実態を踏まえて適切な協定を結ぶようにしましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「労働時間・休日
厚生労働省「36協定の適正な締結

 

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3月4日 4月から始まる出生後休業支援給付金

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

育児休業を取得すると、一定の要件を満たした従業員(雇用保険の被保険者)は所得の補てんとして出生時育児休業給付金または育児休業給付金を受給することができます。ただし、通常、育児休業を取得する前と比較して手取額は低下することから、より高い補てんとすることを目的として、2025年4月から出生後休業支援給付金が創設されます。以下では、この内容をとり上げます。

 

[1]支給要件
 出生後休業支援給付金は、子どもの出生直後の一定期間に、両親ともに14日以上の育児休業を取得した場合に、最大28日間、支給されるものです。
 受給のためには以下の2つの要件を満たしていることが必要です。

  1. 従業員
    対象期間に、同一の子について、出生時育児休業給付金が支給される産後パパ育休または育児休業給付金が支給される育児休業を通算して14 日以上取得したこと。
  2. 従業員の配偶者
    「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8 週間を経過する日の翌日」までの期間に通算して14 日以上の育児休業を取得したこと、または、子の出生日の翌日において別途定められている「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当していること。

 ここでいう対象期間とは、以下のとおりです。

[従業員が産後休業をしていない場合(従業員が父親または子が養子の場合)]
 「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から、「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間

[従業員が産後休業した場合(従業員が母親かつ子が養子でない場合)]
 「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から、「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日」までの期間

 2025年4月1日より前から引き続いて育児休業を取得している場合は、下線部を2025年4月1日として読み替えて確認が行われます。

 

[2]支給額・申請手続
 支給額は、原則として育児休業を開始する前6ヶ月に支払われた賃金の13%相当額です。出生時育児休業給付金または育児休業給付金の給付率67%とあわせると、給付率が80%となり、手取りの10割相当額が支給される仕組みとなっています。
 支給申請手続は、原則として、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給申請と併せて、同一の支給申請書を用いて行うことになります。

 育児休業を取得する従業員の中には、配偶者が専業主婦(夫)であったり、ひとり親として育児をしていたりすることもあります。このように配偶者が育児休業を取得していない場合も、出生後休業支援給付金が支給されることがあります。その際には、配偶者の状況に応じた申告書や添付書類の提出が求められます。

 

■参考リンク
厚生労働省「育児休業等給付について

 

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