1月14日 今後数年のうちに施行される人事労務関連の法令改正

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

人事労務管理を行う中で、実務に関連する法令改正の動向を押さえておくことはとても重要です。特に近年、人事労務分野においては様々な法令改正が頻繁に行われています。そこで、今回は今後数年のうちに施行が予定される法令改正の動向を確認しておきます。

[1]主な法令改正
 現時点で施行が決定されている主な法令改正は下表のとおりです。2025年4月と10月に改正育児・介護休業法が段階的に施行され、規程等の見直しや制度運用ルールの整備が求められます。また、出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金が創設されることで男性の育児休業取得率の上昇や申請手続きの増加が予想されます。

表 今後の主な法令改正内容

施行時期 概要  根拠法・関連法
2025年1月1日 ・労働者死傷病報告、定期健康診断結果報告書等の電子申請の原則義務化 労働安全衛生規則
2025年3月31日 ・65歳までの継続雇用の経過措置終了
(定年廃止/65歳までの定年引き上げ/希望者全員65歳まで継続雇用 のいずれか導入)
高年齢者雇用安定法
2025年4月1日 ・高年齢雇用継続給付の給付率上限を15%から10%に引き下げ 雇用保険法
・障害者雇用における除外率の引き下げ 障害者雇用促進法
・育児休業給付金の延長時の確認書類の追加など審査の厳格化 雇用保険法施行規則
・出生後休業支援給付金として、両親ともに14日以上の育児休業取得で、28日を上限に給付率13%を上乗せ支給(給付率合計80%) 雇用保険法
・育児時短就業給付金として、2歳未満の子を養育する短時間勤務者に賃金の10%を上限として給付金を支給 雇用保険法
・所定外労働制限を小学校就学前までの子を養育する従業員に拡大
・子の看護休暇の目的拡充(感染症に伴う学級閉鎖等、入園式・入学式・卒園式を追加)
・子の看護休暇を小学校3年生修了まで拡大
・子の看護休暇の対象者に入社6ヶ月未満の従業員を追加(労使協定対象から除外)
・育児休業の取得状況の公表を従業員数1,000人超から300人超に拡大
育児・介護休業法
・介護休暇の対象者に入社6ヶ月未満の従業員を追加(労使協定対象から除外)
・介護に直面した申出があった場合に介護休業・介護両立支援制度等の個別周知・意向確認
・介護に直面する前の早い時期(40歳等)での介護休業・介護両立支援制度等の情報提供
・介護離職防止のための雇用環境整備
育児・介護休業法
・男性の育児休業取得率、時間外労働に関するPDCAサイクルの確立、数値目標の設定の義務付け 次世代育成支援対策推進法
2025年10月1日  ・3歳~小学校就学前まで子を養育する従業員を対象に、[始業時刻等の変更、テレワーク等、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇の付与、短時間勤務制度]の中から2つ以上を導入
 (従業員は一つを選択して利用)
・導入した措置の個別の周知・意向確認
育児・介護休業法
・妊娠・出産時、子が3歳になる前に、仕事と育児の両立に関する個別意向聴取・配慮  育児・介護休業法
2026年4月1日 ・健康保険料と合わせて子ども・子育て支援金を徴収 健康保険法
2026年7月1日 ・障害者法定雇用率を2.7%に引き上げ 障害者雇用促進法
2028年10月1日 ・雇用保険の被保険者の加入要件を週20時間以上から週10時間以上に引き下げ 雇用保険法

 

[2]今後の動き
 今後の動きとして出ているものとしては、「年収の壁」の引き上げ、社会保険の適用拡大の企業規模要件の撤廃、副業・兼業時の労働時通通算ルールの見直し、カスタマーハラスメント対策の措置の義務化、ストレスチェックの従業員規模の撤廃などが挙げられます。現状では、いずれも正式な決定は行われていませんが、特に「年収の壁」の引き上げについては、従業員の働く時間に関係することから、人材確保にも影響してきます。

 特に従業員の関心が高い内容については、質問が寄せられることが予想されます。そのため、情報をキャッチアップしていくことが求められます。

■参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について
厚生労働省「高年齢者の雇用
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法
厚生労働省「障害者雇用対策

 

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1月7日 2025年4月1日から支給率が低下する高年齢雇用継続給付

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

2025年4月1日から、雇用保険の高年齢雇用継続給付における支給率が変更になります。以下では、高年齢雇用継続給付のうちでも対象となる人が多い「高年齢雇用継続基本給付金」について、制度の概要と変更内容をとり上げます。

 

[1]高年齢雇用継続基本給付金
 高年齢雇用継続基本給付金とは、60 歳に達したとき等の賃金額に比べ、その後に支給される賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者に支給される給付金です。
 支給要件を満たした被保険者がハローワークへ申請することにより、支給対象となる各月に支払われた賃金の最大15%の給付金が支給されます。

 

[2]給付金の支給対象者
 高年齢雇用継続基本給付金の支給対象となる人は、60歳以上65歳未満の一般被保険者であることに加え、被保険者であった期間が通算して5年以上あることが必要です。そのため、例えば57歳で退職してから基本手当等を受給し、58歳で再就職をした後に60歳に達したとしても、被保険者期間が5年未満の間は支給されません。

 

[3]支給率の引き下げ
 2025年4月1日以降は、現在の支給率の上限が引き下げられ、賃金の低下率が75%以上のときは支給されず、64%以下のときは10%となります。64%超75%未満のときには、0%~10%の間で賃金の低下率に応じた率が計算式により算出されます。


[4]引き下げの対象者
 支給率が引き下げとなる人は、2025年4月1日以降に60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない人はその期間が5年を満たすこととなった日)を迎えた人です。2025年3月31日までに受給資格が発生した人は、変更前の支給率が引き続き適用されます。

 

 高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以降の賃金額が低下している従業員の生活に影響を与えるものでもあるため、特に今回の支給率の引き下げの対象となる従業員に対して、事前に制度の内容を説明しておきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します

 

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■年始のご挨拶■

あけましておめでとうございます。
福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

新しい年が始まりました。

2025年は・・・

4月から高年齢雇用継続給付の見直し、障碍者雇用の除外率引き下げ、育児中の労働者に対する「所定外労働の制限(残業免除)」の対象を拡大、子の看護休暇の見直し、自己都合離職者の給付制限の見直し、育児休業給付の給付率引き上げ、育児時短就業給付の創設があります。

10月から教育訓練中の生活を支えるための給付の創設があります。

今年も法改正を含め、お役に立てる情報をお届けして参りますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

■年末年始のご案内■

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

弊事務所では、下記の期間を年末年始休業とさせていただきますので、ご案内申し上げます。

年末年始休業 2024年12月28日(土)~2025年1月5日(日)まで

2025年1月6日(月)午前9時より通常通り営業いたします。
来年も変わらぬお引き立てのほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

12月17日 長時間労働者への実施が求められる医師の面接指導

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

長時間労働者に対する医師の面接指導は、過重労働対策として重要な取り組みです。実際に、この面接指導を実施するにあたり、制度の内容、面接指導の実施後に行うべき対応について押さえておく必要があります。以下では、この内容を確認します。

 

[1]医師による面接指導制度とは
 労働時間の管理は長時間労働にならないように対応することが最も重要ですが、対応を進めていても、状況によっては長時間労働が発生することがあります。そのため、長時間労働が発生した後には、医師による面接指導の確実な実施が重要となります。
 この面接指導は、長時間の労働により疲労が蓄積し健康障害発症のリスクが高まった労働者に対し、行われるものです。医師が面接をすることにより、その労働者の健康の状況を把握し、これに応じて本人に対する指導を行うとともに、その結果を踏まえた措置を講じることになります。
 面接指導の実施が求められる者は、以下の通りです。

  1. 労働者(裁量労働制、管理監督者含む)
    • 1ヶ月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労蓄積があり面接を申し出た人
  2. 研究開発業務従事者
    • 1の基準に該当する人または、1ヶ月100時間超の時間外・休日労働を行った人
  3. 高度プロフェッショナル制度適用者
    • 1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合のその超えた時間について1ヶ月100時間を超えて行った人

 対象となる人を確実に洗い出し、医師による面接指導を実施していく必要があります。

 

[2]事後措置の実施
 面接指導の実施後、企業は実施した医師から事後措置に関する意見を受領し、就業場所の変更や作業の転換、労働時間の短縮や深夜業の回数の減少等、必要な措置を講じます。
 また、面接指導により労働者のメンタルヘルス不調を把握した場合は、必要に応じて精神科医等と連携をしつつ対応を図ることが求められます。

 働き方改革において、産業医の位置付けが大きくなり、産業医を選任した事業所では、時間外・休日労働時間が1ヶ月80時間を超えた労働者の氏名やその労働者の1ヶ月80時間を超えた時間に関する情報等を、産業医に提供する必要があります。この機会に、面接指導の実施や情報提供の流れが適切にできているか、確認してみるとよいでしょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「過重労働による健康障害を防ぐために

 

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12月10日 36協定の限度時間を超えて時間外労働をさせる際の注意点

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

年末や年度末に向けて、業務が繁忙となり、「時間外労働・休日労働に関する協定」(以下、「36協定」という)に定める限度時間を超えて時間外労働を行わざるを得ないケースが発生しがちです。そこで今回は、そうした場合に求められる手続きや注意点をとり上げます。

 

[1]特別条項の有無と手続きの確認
 そもそも従業員に36協定に定める限度時間(月45時間など)を超えて時間外労働をさせるためには、36協定に特別条項を設ける必要があります。よってまずは締結している36協定に特別条項を設けられているかの確認をします。特別条項には、限度時間を超えて労働をさせる際の手続きが定められているため、その手続きを取った上で時間外労働を命じることとなります。例えば、「過半数代表者への申し入れ」とされている場合には、事前に会社が従業員の過半数代表者へ限度時間を超えた時間外労働を命じる旨を書面等で申し入れ、その記録を残しておくことが求められます。

 

[2]特別条項を適用する際の注意点
 実際に特別条項を適用し、時間外労働を命じる際には、「1箇月(時間外労働及び休日労働を合算した時間数。100時時間未満に限る。)」の項目で定めた以下の2点について特に注意が必要です。

  1. 限度時間を超えて労働させることができる回数
  2. 延長することができる時間数及び休日労働の時間数

 例えば限度時間を超えて労働させることができる回数を6回と定めている場合、36協定で定めた1年のうち6回(6ヶ月)までしか特別条項を適用することができません。そのため、従業員ごとに適用した回数をカウントし、6回以下となるように管理が必要です。
 また、この特別条項を設ける場合の前提条件として、法令で上回ることができない労働時間数等の基準が設けられています。具体的には、以下の1から4のすべてを満たす必要があります。

  1. 時間外労働が年720時間以内
  2. 時間外労働と法定休日労働の合計が月100時間未満
  3. 時間外労働と法定休日労働の合計について、2ヶ月平均、3ヶ月平均、4ヶ月平均、5ヶ月平均、6ヶ月平均(以下、「2~6ヶ月平均」という)がすべて1ヶ月当たり80時間以内
  4. 時間外労働が月45時間(※)を超えることができるのは年6ヶ月まで
    ※3ヶ月を超える1年単位の変形労働時間制の場合は月42時間

 そのため、1ヶ月の時間外労働時間数の上限を90時間と協定しているケースにおいて、その月の時間外労働時間数が90時間で協定の範囲に収まっていたとしても、上記3のとおり2~6ヶ月平均で月80時間以内という基準を満たすためには、その翌月は70時間以内に収める必要があります。単月の管理のみではなく、複数月の時間数の管理も必要になります。

 また、特別条項を適用した従業員に対して、会社は36協定に定めた従業員の健康および福祉を確保する措置を実施し、この実施状況に関する記録を36協定の有効期間中および有効期間の満了後3年間保存する必要があります。実施した際には必ず記録を残しておきましょう。

 

 

■参考リンク
厚生労働省「時間外労働の上限規制
厚生労働省「時間外労働の上限規制わかりやすい解説

 

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12月3日 次世代法における一般事業主行動計画の策定等と改正

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

急激な少子化の進行に対応して、次代の社会を担う子どもの健全な育成を支援するため、2005年に次世代育成支援対策推進法(以下、「次世代法」という)が施行されました。2025年3月末までの時限立法でしたが、2024年の通常国会で2035年3月末まで延長され、また一部の内容が改正されたことから、法律のポイントと改正点を確認します。

 

[1]行動計画の策定・変更
 次世代法では、次世代育成支援のための一般事業主行動計画(以下、「行動計画」という)の策定・届出、公表・周知を、従業員数100人超の企業に義務付けています。
 行動計画では、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たり、以下の項目を定めるものです。

[行動計画に定める項目]

  1. 計画期間
  2. 目標
  3. 目標達成のための対策およびその実施時期

 企業によって、仕事と子育ての状況に違いがあります。そのため、どのような行動計画を策定するかは、企業の判断に委ねられています。ただし、今回の改正では、行動計画に育児休業取得の状況(男性の育児休業等取得率)や労働時間の状況(フルタイム労働者の各月の時間外・休日労働時間数等)に関する数値目標を設定することが義務付けられました。

[2]自社の状況の把握・分析
 行動計画を効果的なものにするためには、自社の現状の課題に沿った内容を策定する必要があります。そのため、今回の改正では、行動計画策定・変更時に、自社の育児休業の取得状況や労働時間の状況を把握することも企業に義務付けています。改正法施行後に新たに策定する行動計画は、改善すべき事情を分析した上で、分析結果を勘案して策定をすることとなります。

 

[3]育休取得率の公表義務拡大
 育児・介護休業法の改正により、現在、従業員数1,000人超の企業を対象に義務付けられている育児休業の取得状況の公表が、2025年4月以降、従業員数300人超の企業に拡大されます。
 若年層の採用においては、育児休業の取得状況に着目する者も多くいることを念頭に置くと、自社の状況を把握・分析し、効果的な対応を取っていくことは人材採用の観点からも重要となります。

 改正次世代法の施行は、2025年4月1日であり、施行日以降に開始または内容を変更する行動計画から義務の対象となります。自社の状況の把握には時間を要することもありますので、特に行動計画の策定等が義務とされている企業では、現在の行動計画の内容を確認し、早めの取組みを進めましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法

 

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11月26日 改めて確認したい労働時間の取り扱い

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

9月に厚生労働省から労働時間の適正把握に関するリーフレット「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」(以下、「リーフレット」という)が公開されました。以下では、このリーフレットの内容と労働時間を取り扱う際の注意点についてとり上げます。

 

[1]労働基準法違反とされる取り扱い
 本リーフレットの内容の多くは「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の重要箇所となっていますが、今回は労働時間の端数処理に関して、以下の取り扱いが労働基準法違反となることが示されています。
 (1) 勤怠管理システムの端数処理機能を使って労働時間を切り捨てている
 (2) 一定時間以上でしか残業申請を認めない
 (3) 始業前の作業を労働時間と認めていない
 この中で、「(1)勤怠管理システムの端数処理機能を使って労働時間を切り捨てている」という項目については、勤怠管理システムの端数処理機能を設定し、例えば日々の時間外労働時間のうち15分に満たない時間を一律に切り捨て(丸め処理)をしている例が違反事例として挙げられています。一番のポイントは、労働時間であるにも関わらず切り捨てられていることです。この機会に、自社の勤怠管理システムの端数処理機能の設定を確認し、取り扱いに問題があれば対応を検討しましょう。

[2]労働時間を取り扱う際の注意点
 適正な労働時間管理を行うためには、そもそも労働時間の定義を確認しておくことが重要です。労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを言い、使用者の明示または黙示の指示によって、労働者が業務に従事する時間は労働時間となります。
 具体例を挙げるとすれば、通勤ラッシュの回避等の理由で、労働者が自発的に始業時刻より前に会社に到着するようなケースがあります。このケースにおいては、始業時刻までの間、業務に従事しておらず、業務の指示も受けていないような場合には、労働時間に該当しませんが、業務を行っている場合は、黙示の指示があったとされる可能性があります。そのため、始業時刻までの時間に業務を行う必要がなければ、始業時刻になってから業務を開始するよう労働者に周知・徹底することが求められます。会社としては、後になって労働時間だとの指摘を受けないように対応しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

 

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11月19日 12月2日から変わる社会保険の資格取得手続き

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

2024年12月2日以降、現行の健康保険証が発行されなくなり、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録する「マイナ保険証」の本格運用が開始されます。これに伴い、従業員が入社したときの社会保険の手続き等が一部変更になるため、その内容を確認しておきましょう。

 

[1]現行の健康保険証の発行
 現行の健康保険証は、2024年12月2日以降は、発行されなくなります。これは、新たに資格取得をする従業員はもちろんのこと、家族が被扶養者として認定を受けるときも同様です。また、婚姻等で氏名変更となる場合や現行の健康保険証を紛失した場合に関しても、再発行は行われません。
 なお、現行の健康保険証が発行されるタイミングは、交付年月日を基準とすることになっており、資格取得日や扶養の異動の認定日が基準となるわけではありません。

[2]12月2日以降の手続き
 2024年12月2日以降は、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」および「被扶養者(異動)届」に新たに「資格確認書発行要否」欄が設けられます。
 マイナンバーカードを作っていない人や、健康保険証として利用登録を行っていない人等(以下、「マイナ保険証を利用できない人」という)の手続きを行う際には、資格確認書の発行が必要かを確認の上、発行が必要なときには要否欄の「□発行が必要」にチェックを入れることになります。これにより、資格確認書が発行され、医療機関等の窓口で提示することにより保険診療での受診ができるようになります。
 なお、要否欄にチェックが入っていない場合でも、マイナ保険証を利用できない人には、資格確認書が発行されることになっています。ただし、その場合は資格確認書の発行までに時間がかかるとされています。

 

[3]手続きに必要な情報の確認
 今後、資格取得届や被扶養者異動届の作成をする際には、マイナ保険証を利用できない人か否かを確認する必要があります。そのため、従業員の入社が決まった際などには、以下の情報を入手しておくとスムースな運用になります。
 1.マイナンバーカードを作っているか
 2.マイナ保険証の利用登録状況
特に、2.については自らが登録したか否かを把握していない人も見受けられます。入社後等に確認していると、手続きに時間を要することにもなりかねません。

 健康保険証の利用登録状況は、マイナポータルのログイン後のトップ画面で確認できます。具体的には、「証明書」エリアから開くことのできる「健康保険証」ページにて確認ができます。登録が完了している場合は、健康保険証としての登録状況に「登録済」と表示されます。必要な情報を確認する際には、このような案内を加えてもよいでしょう。

■参考リンク
日本年金機構「令和6年12月2日以降は健康保険証が発行されなくなります
マイナポータル「健康保険証の登録が出来ているか確認する方法はありますか。

 

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11月12日 自転車の危険運転に対する罰則の創設とその対応

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

自転車を通勤や業務のために利用しているケースが見られますが、自転車の事故のリスクは高く、しばしば問題になります。また2024年11月から自転車運転に関して改正道路交通法が施行されたこともあり、以下では、この改正内容と自転車関連事故件数の状況をとり上げます。

 

[1]2024年11月施行の改正道路交通法の内容
 2024年11月1日より改正道路交通法が施行され、自転車の危険な運転に対して新しく罰則が適用されることになりました。内容は、「運転中のながらスマホ」と「酒気帯び運転および幇助」の2つがあり、詳細は以下のとおりです。

  1. 運転中のながらスマホ
     スマートフォンなどを手で保持して、自転車に乗りながら通話する行為、画面を注視する行為が新たに禁止され、以下の罰則の対象となりました。

    • 違反者:6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金
    • 交通の危険を生じさせた場合:1年以下の懲役または30万円以下の罰金
       
  2. 酒気帯び運転および幇助
     自転車の酒気帯び運転のほか、酒類の提供や同乗・自転車の提供に対して以下の通り、新たに罰則が整備されました。

    • 違反者:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
    • 自転車の提供者:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
    • 酒類の提供者・同乗者:2年以下の懲役または30万円以下の罰金

[2]自転車関連事故件数の状況と保険加入の義務化
 2023年中の自転車関連事故(自転車が第1当事者又は第2当事者となった交通事故をいう。)の件数は、72,339件で前年より2,354件増加しています。また、全交通事故に占める構成比は23.5%で、約4件に1件の割合となっています。

 自転車事故が原因で、加害者が高額な損害賠償を請求されるケースが出てきています。そのため、条例により自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化する動きが広がっています。2024年4月1日現在、34都府県において条例により自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化し、10道県において努力義務化する条例が制定されています(下表参照。表はクリックで拡大できます。)。  

 このように自転車による事故はかなりの件数に上ることから、自転車通勤をしている従業員に対しては、自転車損害賠償保険等への加入を促すことが有効です。

 今回の施行された改正道路交通法の内容については、参考リンクにある警察庁のホームページからポスターやリーフレットをダウンロードすることができます。事故防止の観点からも、社内にポスター等を掲示するなどして、従業員に対して注意喚起をしていきましょう。

 

■参考リンク
警察庁「自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~
国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について

 

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