5月19日 労働保険の年度更新における注意点

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

労働保険の年度更新では、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を計算し、申告・納付する仕組みになっています。今年度も、6月1日から7月10日までの間に申告・納付が必要になることから、そのポイントを確認しておきましょう。

 

[1]申告書の送付
 労働保険料の計算にあたっては、例年、5月末から6月頭に送付される労働保険の申告書(※)に従い、申告・納付をします。
年度更新では、前年度に従業員へ支払った賃金総額をもとに確定保険料を算定するとともに、新年度分の概算保険料についても申告・納付を行う必要があります。

申告書が届いた際には、事業所名や労働保険番号に誤りがないかを確認し、賃金集計資料や給与データを早めに準備しておくことが重要です。特に、パート・アルバイトを含めた賃金の集計漏れや、対象期間の誤りには注意が必要となります。

また、近年は電子申請の利用も広がっており、一部の事業所では紙の申告書ではなく、電子申請用の案内書類が送付されるケースもあります。封筒の種類や送付物の内容が従来と異なる場合がありますので、見落としのないようご注意ください。

年度更新は毎年必要となる重要な手続きです。申告・納付期限間際は混雑も予想されるため、余裕をもった準備と対応をおすすめします。

※労働保険 概算・増加概算・確定保険料・石綿健康被害救済法一般拠出金申告書。

[2]保険料の変更
 確定保険料および概算保険料を計算する際には、保険料率の変更に留意する必要があります。今年度の保険料率を確認すると、
 [労災保険率]
 2024年4月1日より改定され、それ以降、変更なし。
 [一般拠出金率]
 2018年度から変更なし。
 [雇用保険料率]
 2026年4月1日より改定。
 以上のことから、特に雇用保険料を算出するときの保険料率を誤らないようにしましょう。

 

[3]口座振替の利用
 労働保険料は、事前に手続きをすることで、口座振替により納付することもできるようになっています。すでに2026年度全期・第1期の口座振替開始に係る手続きの期限は終了していますが、2026年度第2期の口座振替の申込は8月14日まで可能です。口座振替を利用することで、下表のように納付までの期間に猶予ができます。なお、労働保険事務組合に委託しているときには、労働保険事務組合の指定する期限に従う必要があります。

 

納期(2026年度) 第1期 第2期 第3期 第4期
口座振替納付日 9/7 11/16 2/15 3/31
口座振替を利用しない場合の納期限 7/10 11/2 2/1 3/31

 

 口座振替については、2025年から、インターネット専業銀行である「GMOあおぞらネット銀行」も口座振替の対象となりました。このように、徐々に利便性も向上しています。

■参考リンク
厚生労働省「労働保険年度更新に係るお知らせ

 

 

福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)では、就業規則の制定及び変更、制度設計、労務相談、各種助成金に関するご相談、申請代行等も承っております。
小さなご相談もぜひ一度お問い合わせください。(お問い合わせはこちらから)

5月12日 活用が広がるマイナンバーカード

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

マイナンバーカードの保有状況は、2026年4月26日時点で82.1%となっており、社会のインフラとしての活用が進められる段階に入っています。以下では、拡大するマイナンバーカードの活用場面を見ていきます。

[1]マイナ保険証
 医療機関や薬局で保険診療を受ける際は、健康保険証の利用登録がされたマイナンバーカード(マイナ保険証)を利用するか、資格確認書を利用することになっています。また、マイナ保険証をスマートフォンで利用できるようになっており、2025年9月19日からは、機器の準備が整った医療機関・薬局から順次、この「スマホ保険証」が利用できるようになっています。
 このマイナ保険証を利用するメリットとしては、手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除されること、マイナポータルで確定申告時に医療費控除が簡単にできることなどがあります。

 

[2]マイナ免許証
 2025年3月24日より、マイナンバーカードを運転免許証として利用できるようになりました。以前は、マイナ免許証にしたとしても、運転免許証を携帯することが求められていましたが、今では運転免許証またはマイナ免許証のいずれかを携帯することが可能になりました。そのため、運転免許証の携帯方法として、免許証のみ、マイナ免許証のみ、免許証とマイナ免許証の両方、という3つの選択肢が設けられています。

 従業員に社有車の利用やマイカー通勤を許可する場面において、運転免許証のコピーを提出してもらうケースがありますが、マイナ免許証しか保有していないという状況が出てきます。マイナ免許証のみの場合に、「マイナ免許証読み取りアプリ」を用いて確認するといった社内の手続き方法を検討しておくことが求められます。

 マイナンバーカードを保有している場合、マイナポータル経由で、離職票を受け取ることができるサービスが2025年1月20日から開始されています。従業員から退職の申し出があった際、通常、離職票の発行を希望するか否かを確認しますが、この時に、マイナポータルから離職票を受け取ることができることを説明し、希望する場合は事前にマイナポータルを設定しておくように促すことも考えられます。

 

■参考リンク
総務省「マイナンバーカード交付状況について
マイナンバーカード総合サイト「マイナンバーカードでできること
厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について
警察庁「マイナンバーカードと運転免許証の一体化・オンライン更新時講習

 

福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)では、就業規則の制定及び変更、制度設計、労務相談、各種助成金に関するご相談、申請代行等も承っております。
小さなご相談もぜひ一度お問い合わせください。(お問い合わせはこちらから)

5月7日 女性の健康支援に取り組む企業への新たな認定制度

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

厚生労働省では、企業の取組みに対して様々な認定制度を設けています。例えば仕事と子育ての両立を支援する取組みに関するものとして「くるみん」が挙げられます。今回は、女性活躍推進に関する認定制度として設けられている「えるぼし」を取り上げます。

 

[1]「えるぼし」認定
 「えるぼし」とは、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・届出を行った企業のうち、取組みの実施状況が優良である等の一定の要件を満たした場合に受けることができる認定です。
 その上位認定として「プラチナえるぼし認定」が設けられており、これは、えるぼし認定企業のうち、一般事業主行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取組みの実施状況が特に優良である等の一定の要件を満たした場合に受けることができる認定です。

[2]2026年4月に創設された「えるぼしプラス」認定
 2026年4月より、女性活躍推進に関する取組みの実施状況が優良な企業が、職場における女性の健康支援に関する認定基準も満たす場合に、「えるぼし」や「プラチナえるぼし」に「プラス」認定がされることになりました。これは、2026年4月1日施行の女性活躍推進法の中で、女性の健康上の特性(以下、「女性特有の健康」という)に留意して行われるべき旨が明確化されたことが背景にあります。認定基準については、以下のすべてに該当することが必要です。

  1. 「女性特有の健康に配慮した休暇制度」、「女性特有の健康への配慮のために利用することができる半日単位・時間単位の年次有給休暇等の一定の制度」の設置
  2. 女性特有の健康に配慮する方針を示し、1.に掲げる制度の内容とともに従業員に周知させるための取組みの実施
  3. 女性特有の健康に配慮する研修その他の女性特有の健康に配慮する従業員の理解を促進するための取組みの実施
  4. 従業員からの女性特有の健康に配慮する業務を担当する者の選任。従業員からの女性特有の健康に関する相談に応じさせる措置と従業員への周知の措置

 取組みについては、男女の性差を踏まえ、特に職場における女性特有の健康にかかわる取組みが行われることが望ましいとされています。この際、健康に関してはプライバシー保護が特に求められることに留意しましょう。

 厚生労働省では、「働く女性の心とからだの応援サイト」を設けており、この中で企業の取組みが掲載されています。今後、企業で女性の健康支援への取組みを検討する際には、このような情報も活用していきましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)
厚生労働省「職場における女性の健康支援に取り組み新たな認定を目指しませんか?えるぼしプラス・プラチナえるぼしプラス
厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト 

 

 

福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)では、就業規則の制定及び変更、制度設計、労務相談、各種助成金に関するご相談、申請代行等も承っております。
小さなご相談もぜひ一度お問い合わせください。(お問い合わせはこちらから)

4月28日 36協定を遵守するための実務上の注意点

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

「時間外労働・休日労働に関する協定」(以下、「36協定」という)を年度単位で締結されている企業が多くあるかと思います。毎年、36協定の締結・届出をしていても、その運用に問題があるケースが少なくありません。そこで、以下では36協定を遵守するための実務上の注意点を解説します。

[1]日常的なチェックポイント
 36協定で協定した内容を遵守するため、日常的に、以下の2点をチェックする必要があります。

  1. 「1日」「1ヶ月」「1年」のそれぞれの時間外労働が、36協定で定めた時間を超えないこと
  2. 法定休日労働の回数・時間が、36協定で定めた回数・時間を超えないこと

 1.については、「1日」「1ヶ月」「1年」のそれぞれの時間外労働の時間数を管理する必要があります。特に「1年」は、例えば9ヶ月目に1年の時間外労働の上限に達することで、それ以降の時間外労働が全くできない、といった事態にならないように、起算日からトータルで集計し、管理する必要があります。
 次に2.については、36協定で協定した内容で収まるようにする必要があります。例えば、法定休日労働の回数が2回とされているのであれば、その範囲に収まるような休日の確保をすることが必要です。

 

[2]特別条項を適用した場合のチェックポイント
 36協定に特別条項を付け、実際に適用する際には、以下の3点について注意が必要です。

  1. 36協定で協定した特別条項を適用する場合の手続きを確実に行うこと
  2. 特別条項を適用する回数が36協定で協定した回数を超えないこと
  3. 1ヶ月の時間外労働と法定休日労働の時間数の合計(以下、「合計時間数」という)が、単月で100時間未満、2~6ヶ月の平均をとって1ヶ月当たり80時間以下であること

 1.については、特別条項を適用するごとに、36協定で定めた手続きを行う必要があります。例えば、「過半数代表者に対する事前申し入れ」とした場合には、特別条項を適用するごとに申し入れる必要があります。
 2.については、例えば36協定で「6回」と定めた場合、従業員ごとに6回を超えないように管理することが求められます。なお、特別条項の回数は最大6回とされています。
 3.については、例えば合計時間数について1ヶ月90時間と締結した場合、まず、1ヶ月目は90時間以下とする必要があります。これに加え、1ヶ月目以降を起算とした2~6ヶ月の平均の時間数は、1ヶ月あたり80時間以下とする必要があります(絶対的上限規制)。そのため、1ヶ月目の合計時間数が90時間であった場合、2ヶ月目は70時間以下としなければなりません。この2~6ヶ月の平均は、36協定の有効期間にしばられることなく、前後の36協定の期間をまたいで適用されます。

 

 特別条項を適用した従業員に対して、会社は36協定で定めるいわゆる「健康福祉確保措置」を実施し、この実施状況に関する記録を36協定の有効期間中および有効期間の満了後3年間保存する必要があります。対象になったときは必ず実施するとともに、記録を残しておきましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

 

 

福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)では、就業規則の制定及び変更、制度設計、労務相談、各種助成金に関するご相談、申請代行等も承っております。
小さなご相談もぜひ一度お問い合わせください。(お問い合わせはこちらから)

4月21日 改めて確認したい賃金台帳の備え付け義務とは

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

 

労働基準監督署の調査において、賃金台帳は確認がされる資料のひとつになりますが、業務の効率化やデジタル化を進める中で、紙ではなく、データで保存している会社も多いように思います。以下では、賃金台帳の記載項目を確認した上で、その備え付け義務について解説します。

 

[1]記載項目
 賃金台帳に記載すべき項目は法令で定められており、以下のとおりです。

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 時間外労働時間数・休日労働時間数・深夜労働時間数
  7. 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額
  8. 労使協定により賃金の一部を控除した場合についてはその額

 この中で、記載漏れが多い項目としては、3の「賃金計算期間」と、6の「時間外労働時間数・休日労働時間数・深夜労働時間数」です。この機会に、記載項目が網羅されているかを確認し、不備があれば項目を追加しましょう。

 

[2]賃金台帳の備え付け義務とは
 賃金台帳は、事業場ごとに備え付ける義務があります。本社で、支店や営業所等の他の事業場の給与計算を一括して行っている場合でも、事業場ごとに賃金台帳を備え付ける義務があり、労働基準監督署の調査において、是正指導を受けることがあります。
 また、近年は賃金台帳を紙で出力し保管するのではなく、給与計算システム等にデータとして保管しているケースが増えていますが、その場合の注意点が通達で示されています。その注意点は以下の2つです。

  1. 賃金台帳に法定記載事項を具備し、かつ、各事業場ごとにそれぞれ賃金台帳を画面に表示し、及び印字するための装置を備えつける等の措置が講じられていること。
  2. 労働基準監督官の臨検時等労働者名簿、賃金台帳の閲覧、提出等が必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっていること。

 賃金台帳のペーパーレス化を進める際にはこうした点に注意し、管理方法を定めるようにしましょう。

■参考リンク
厚生労働省「賃金台帳をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか。

 

 

福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)では、就業規則の制定及び変更、制度設計、労務相談、各種助成金に関するご相談、申請代行等も承っております。
小さなご相談もぜひ一度お問い合わせください。(お問い合わせはこちらから)

4月14日 変更となる健康保険の被扶養者の認定基準とその判断

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

家族を健康保険の被扶養者とするには、いくつかある被扶養者としての要件を満たし、認定を受ける必要がありますが、要件のうち家族の年間収入は大きなポイントとなります。2026年4月1日から、その年間収入の考え方の一部が変更されたことから、実務的な内容について確認します。

 

[1]2026年4月1日以降の認定
 2026年4月1日以降は、被扶養者となる家族の収入が給与収入のみである場合、労働条件通知書等(以下、「通知書等」という)に記載されている給与から年間収入を判定することになりました。判定する給与について、労働契約に明確な規定がなく労働契約段階では見込みにくい時間外労働(残業等)に対するものは、年間収入には含まないとされています。

 

[2]判定ができないときの対応
 労働契約を結ぶときには、所定労働日や所定労働時間を決めることが原則です。ただし、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1ヶ月など)ごとに作成される勤務シフトなどで、初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような、いわゆる「シフト制」を用いることがあります。
 このように、労働契約内容により年間収入が判定できない場合には、2026年3月31日までの方法である給与明細書、課税(非課税)証明書等により年間収入を判定することになっています。
 なお、シフト制のほかにも、パートタイマー等で、1年に満たない有期契約を締結することがありますが、この場合も年間収入が判定できないため、同様の取扱いとなります。

[3]実績としての残業等
 労働契約を結ぶ段階では残業等の見込みがないとして被扶養者と認定されたものの、実態としては残業等があったことにより、被扶養者としての認定を受けられる年間収入を上回ることがあります。
 このときであっても、被扶養者としての認定が適切にされていたのであれば、認定された当初に遡って認定が取り消されるのではなく、被扶養者の要件を満たさなくなった時点以降で、被扶養者が削除されることとなります。
 ただし、被扶養者として認定された当初において、年間収入に係る誤りがあった場合等は、認定されたときに遡って、被扶養者の認定が取り消されます。

 認定基準が変更されたものの、要件となる年間収入の額が拡大されたわけではありません。従業員とその家族には、被扶養者として認定される要件を理解してもらう必要があります。

 

■参考リンク
日本年金機構「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取り扱いについて

 

 

福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)では、就業規則の制定及び変更、制度設計、労務相談、各種助成金に関するご相談、申請代行等も承っております。
小さなご相談もぜひ一度お問い合わせください。(お問い合わせはこちらから)

4月7日 2026年度から引下げとなる雇用保険料率と今後施行される適用拡大

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

 

雇用保険料率は、毎年度、財政状況を踏まえて見直されており、先日、2026年度の雇用保険料率が決まりました。以下では、2026年度の雇用保険料率と、2028年10月に施行される被保険者の適用拡大について確認します。

 

[1]2026年度の雇用保険料率
 雇用保険料率は、失業等給付の受給者数や保険料の積立金等の財政状況を踏まえて、安定的な財政運営と保険料負担軽減の両立を図りながら慎重に決定されています。2026年度については、2026年度以降の財政運営の試算結果を踏まえて下表の料率とすることが決まりました。

表 2026年度の雇用保険料率

 

事業の種類 負担者
(1) 労働者負担 (2) 事業主負担 雇用保険料率
(1)+(2)
一般の事業 5/1,000 8.5/1,000 13.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業 6/1,000 9.5/1,000 15.5/1,000
建設の事業 6/1,000 10.5/1,000 16.5/1,000

 

[2]2028年10月に施行される被保険者の適用拡大
 現在、雇用保険では、以下の2つの要件を満たす従業員が被保険者となります。
 ※昼間学生等一部除外あり。

  • 週の所定労働時間が20時間以上である
  • 31日以上の雇用見込みがある

 この被保険者となる要件は、2024年に改正された雇用保険法により、2028年10月から以下のように変更となります。

  • 週の所定労働時間が10 時間以上である
  • 31日以上の雇用見込みがある

 この被保険者の適用拡大により、労働者の大多数が雇用保険に加入することになるとされています。

 

[3]適用拡大に伴う変更点
 現状、雇用保険被保険者離職証明書(離職票)を作成する際、被保険者期間の算定基準については「賃金の支払の基礎となった日数が11日以上」または「賃金の支払の基礎となった労働時間数が80時間以上」の場合に1ヶ月とカウントしています。この被保険者期間の算定基準について、2028年10月以降は「賃金の支払の基礎となった日数が6日以上」または「賃金の支払の基礎となった労働時間数が40時間以上」の場合に1ヶ月とカウントすることになります。この他にも適用拡大に伴い、細かな点が変更されることとなっています。

 雇用保険料率は毎年度見直され、2026年度は引下げとなりますが、労災保険率は3年に1度の見直しとされていることから、2026年度の見直しは行われません。給与計算や年度更新の際に、保険料率を誤らないように注意しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「用保険料率について
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要

 

福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)では、就業規則の制定及び変更、制度設計、労務相談、各種助成金に関するご相談、申請代行等も承っております。
小さなご相談もぜひ一度お問い合わせください。(お問い合わせはこちらから)

3月31日 2026年10月1日施行のカスハラ・就活セクハラ防止対策

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

2025年の通常国会で改正法が成立したことにより、新たにカスタマーハラスメント(いわゆる「カスハラ」)の防止対策と、求職者等に対するセクシュアルハラスメント(いわゆる「就活セクハラ」)の防止対策が企業の義務となり、その施行日が2026年10月1日に決まりました。以下では、今後、職場において求められるハラスメント防止対策について確認します。

 

[1]企業のハラスメント防止対策
社会一般的には、職場のみならず、様々な場面で多くの「〇〇ハラスメント」が存在し、日常的に見聞きするようになりました。このような中で、現在、法令で企業にハラスメントの防止対策として義務付けられているものが、「セクシュアルハラスメント」、「パワーハラスメント」、「妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント」の3つになります。カスハラと就活セクハラはこれらに加えて防止対策が義務化されます。

[2]カスハラ防止対策
カスハラとは、職場において行われる(1)顧客等の言動であって、(2)その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものを指します。
防止対策としては、カスハラに遭った従業員からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等を構築することが求められます。
また、この体制の整備等とともに自社の従業員が他社の従業員に対し、カスハラをしないように注意を払うような研修を実施することなどの配慮も求められます。

 

[3]就活セクハラ防止対策
就活セクハラは、会社が雇用する従業員の性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されるものを指します。
防止対策としては、カスハラと同様に、就活セクハラに遭った人からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等を構築することが求められることになります。


現在、法令で企業に防止対策が義務付けられているハラスメントについては、自社の従業員が被害に遭わないようにし、また、遭ったときに適切に対応できるようにすることをベースにしていますが、就活セクハラでは、雇用関係のない人に対する相談窓口を設置するなど、適切な対応が必要になってくる点に大きな違いがあります。

今後、就業規則や相談体制の整備等が必要になってきます。10月1日の施行日まで、期間がありますが、早めに対応を検討して進めておきましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について

 

福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)では、就業規則の制定及び変更、制度設計、労務相談、各種助成金に関するご相談、申請代行等も承っております。
小さなご相談もぜひ一度お問い合わせください。(お問い合わせはこちらから)

3月24日 定年退職者と無期転換申込権の発生

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

人手不足を背景に、年齢に関わらず優秀な人材を雇用する動きがみられます。その中で、他社で定年となり退職した人を採用し、有期労働契約で雇用しているケースもみられ、4月に入社してくる企業もあるでしょう。このような従業員については、無期転換の取扱いと労働条件通知書の作成時に注意が必要であることから、その内容を確認します。

 

[1]無期転換ルール
 無期転換ルールとは、同一の会社との間で、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えた場合、従業員からの申込により、次の契約から無期労働契約に転換できるというものです。
 下図のように労働契約期間が1年の場合、5回目の更新後に無期転換申込権が発生します。※図はクリックで拡大されます。

 

[2]無期転換申込権の例外
 自社で定年後に継続雇用として、有期労働契約を締結するケースがありますが、この有期労働契約も、通算5年を超えると無期転換申込権が発生します。
 例えば、60 歳の定年退職後に継続雇用となり、有期労働契約を更新し、65 歳以降も雇用することが考えられます。この場合、有期労働契約が通算 5 年を超えると、無期転換申込権が発生します。

 ただし、この定年後に継続雇用した従業員については、適切な雇用管理に関する計画を作成し、労働局に申請して会社として認定を受けることにより、「有期労働契約が通算5 年を超えたとしても、無期転換申込権が発生しない」という特例があります。この特例は、あくまでも自社で定年を迎えて継続雇用した従業員が対象であり、他社で定年を迎えて、その後、採用した従業員(自社で定年を迎えていない従業員)は対象外です。

 

[3]労働条件通知書への記載
 無期転換に関する事項については、有期労働契約を締結・更新するにあたり、労働条件通知書に記載が必要です。
 無期転換の申込ができる従業員には、無期転換の申込ができること等を明示し、無期転換後の労働条件が異なるのであれば、その内容を記載する必要があります。また、労働局の認定を受けたことに伴い、無期転換申込権が発生しない特例の対象となる従業員には、その旨を記載しておくことが必要です。

 定年年齢を超えた有期契約労働者は、無期転換申込権が発生していない人(有期労働契約が通算5 年以下の人)、無期転換申込権が発生している人(有期労働契約が通算 5 年を超えた人)、無期転換申込権が発生しない人(特例が認められている場合の対象者)の3つに分けることができます。取扱いを混同しないように、内容を整理しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「無期転換ルールについて

 

福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)では、就業規則の制定及び変更、制度設計、労務相談、各種助成金に関するご相談、申請代行等も承っております。
小さなご相談もぜひ一度お問い合わせください。(お問い合わせはこちらから)

3月17日 雇入時の健康診断に関するよくある誤解

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

4月に新入社員や中途社員が入社してくる会社も多いと思いますが、入社の際に実施する雇入時の健康診断については、誤った取扱いをしているケースが見られます。以下では、雇入時の健康診断に関するよくある誤解を確認します。

 

[1]雇入時の健康診断の実施目的
 雇入時の健康診断は、雇入後、従業員を配属する際に健康上の配慮が必要であるかどうかを確認したり、入社後の健康管理の基礎資料としたりするために行うものです。これに対し、定期健康診断は従業員の健康状態を定期的に把握し、その結果によって就業上の必要な措置を行い、脳・心臓疾患の発生の防止、生活習慣病等の増悪防止を図るために行うものです。
 入社後すぐに定期健康診断の実施があるため、この雇入時の健康診断を実施せず、定期健康診断を実施すればよいと誤解しているケースが見られます。実施目的に違いがあるため、入社後すぐに定期健康診断を実施するからということで、雇入時の健康診断の実施を省略することはできません。なお、雇入時の健康診断を受けた従業員については、健康診断の実施日から1年間は定期健康診断の実施項目に相当するものを省略することが可能です。

[2]雇入時の健康診断の実施時期
 雇入時の健康診断は、法令等においては「雇入れるとき」に実施すると規定されています。厳密な日数についての定めはないものの、実施目的と照らし合わせると、雇入れの直前または直後で、できるだけすみやかに実施することが求められます。
 また、この雇入時の健康診断は、3ヶ月以内に医師による健康診断を受けており、その結果を証明する書類を提出したときに省略することができます。雇入時の健康診断において実施すべき項目は労働安全衛生規則で定められているため、従業員から提出された書類で、実施項目が網羅されていることの確認が必要です。実施すべき項目が網羅されていないときには、その項目について実施する必要があります。

 

[3]対象となる労働者
 雇入時の健康診断の実施について、パートタイマーやアルバイト等(以下、「パートタイマー等」という)を対象にしていないというケースが見られます。対象となる労働者は、常時使用する労働者であり、パート等の雇用形態を問わず、以下のいずれも満たす人をいいます。

  1. 期間の定めのない労働契約により使用される人であること(※)
  2. 1週間の労働時間数がその事業場において同種の業務に従事する正社員の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること

※有期雇用契約の場合は、契約期間が1年以上である場合、契約更新により1年以上使用されることが予定されている場合および1年以上引き続き使用されている場合

 この機会に誤った取扱いをしていないか確認し、問題があれば対応しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう

 

福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)では、就業規則の制定及び変更、制度設計、労務相談、各種助成金に関するご相談、申請代行等も承っております。
小さなご相談もぜひ一度お問い合わせください。(お問い合わせはこちらから)