5月9日 2024年4月施行が検討される主な法令等の改正

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

人事労務関連の法令等の改正は年度に合わせて施行されることが多くなっています。その関係もあり、2024年4月施行の法令等の改正が検討されています。以下では、多くの企業で対応が必要となることが予想されるトピックスを紹介しましょう。

【1】有期労働契約期間・上限に関する変更
期間を定めて従業員を雇用すること(有期労働契約)がありますが、この場合には「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」 に従った対応が求められます。今回、この基準の改正により、有期労働契約の変更または更新の際、通算契約期間や有期労働契約の更新回数について、上限を定めたり、引き下げようとしたりするときは、あらかじめ、その理由を従業員に説明しなければならないことになる予定です。例えば、従来は通算契約期間を定めていなかったものを5 年までと定める場合や、更新回数を4回までとしていたものを2 回までにする場合が該当します。

【2】無期転換申込権発生時の対応  
有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、従業員の申し込みにより、無期労働契約に転換できるルールがあります。
この無期転換の申込ができるようになる(無期転換申込権が発生する)契約更新時の労働条件の明示事項に、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件が追加される予定です。現在は、無期転換申込権の発生について、会社が従業員に周知する義務まではありませんが、この改正により、労働条件通知書等により周知する必要が出てきます。また、無期転換後は、有期労働契約のときとは異なる労働条件を設定することもあります が、その内容についても、無期転換申込権が発生する契約更新の際に明示が必要になる予定です。

【3】労働条件の明示事項の追加  
労働契約を締結するときには、法令により定められた労働条件を明示する必要があります。この労働条件の明示事項に、就業場所・業務の変更の範囲が追加される予定です。  

また、有期労働契約の場合には、これらに加え、通算契約期間または有期労働契約の更新回数の上限も追加される予定です。  
現在の明示事項である、「就業場所」と「従事すべき業務の内容」の欄は、雇入れ直後のものを記載することで足りるとされていますが、改正されることにより、将来の見込みも踏まえて明示が必要になります。

2024年10月には 51人以上の従業員規模に対して社会保険の適用拡大が行われ、2025年4月には高年齢雇用継続給付の給付率の上限が15%から10%に縮小されます。従業員の働き方に大きく影響するものもあるため、施行される影響の範囲を考えながら人事施策を検討していきましょう

■参考リンク
厚生労働省
「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」
230330労働条件明示改正リーフレット (mhlw.go.jp)
「モデル労働条件通知書」
モデル労働条件通知書 (mhlw.go.jp)


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5月2日 採用と年齢制限

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

企業がどのような人材を採用するかは、原則として会社が任意に決めることができます。ただし、 従業員の募集や採用に当たって、年齢制限を設けることはできません。厚生労働省は、企業に年齢にとらわれない人物本位、能力本位の募集・採用を求めていることから、募集・採用時におけ る年齢制限について確認します。

[1]年齢制限を設けた募集・採用
日本では、一定の年齢に達したことにより、雇用を終了させるという定年の仕組みがあります(定年が満65歳未満の場合、65 歳までの継続雇用義務あり)。このような年齢による雇用の区別を認めているものの、雇用対策法の規定により従業員の募集・採用においては、例外 事由に該当しない限り、年齢を不問としなければならないことになっています。これはハローワークで求人をするときはもち ろんのこと、民間の職業紹介事業者、求人広告などを通じて募集・採用する場合や、企業が自 社のホームページなどで直接募集・採用する場合も含まれます。さらには、形式的に求人票を「年齢不問」と すれば良いわけではなく、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定したりすることも禁止されています。また、応募者の年齢を理由に雇用形態や職種などの求人条件を変えることもできません。

[2]年齢制限の例外事由
例外的に年齢制限を行うことができる事由 としては以下の6つが定められています。年齢制限を設けた募集・採用を考える際には該当する事由がないかを確認しましょう。

  1. 定年年齢を上限として、その上限年齢未満 の労働者を無期契約の対象として募集・採用する場合
  2. 労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
  3. 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を無期契約の対象として募集・ 採用する場合
  4. 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の 職種において労働者数が相当程度少ない 特定の年齢層に限定し、かつ、無期契約の対象として募集・採用する場合
  5. 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
  6. 60 歳以上の高年齢者、就職氷河期世代(昭和43年4月2日から昭和63年4月1日ま でに生まれた人)または特定の年齢層の雇 用を促進する施策(国の施策を活用しよう とする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

実務上、年齢制限を行うケースとしては、例外事由の 3 を用いることがあるかと思いますが、この例外事由では、「対象者の職業経験について不問とすること」および「新卒者以外の者について、新卒者と同等の処遇にすること」の二つが必要です。人材不足により、採用活動が厳しくなる中で、年齢を含め、どのような人材を採用していくのか、人材採用戦略の明確化が求められます。

■参考リンク
厚生労働省「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」

000708105.pdf (mhlw.go.jp)

厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」
000708081.pdf (mhlw.go.jp)

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4月25日 2024年4月から適用となるトラック運転者の時間外労働の上限と改善基準告示

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いよいよ2024年4月1日より、自動車運転業務、建設事業、医師について、時間外労働の上限規制が適用となります。これに併せて自動者運転業務に従事するトラック運転者、バス運転者、タクシー・ハイヤー運転者の改善基準告示が2022年12月23日に改正されました。以下では、2024年4月1日より施行されるトラック運転者に関する改正内容について解説します。

【1】時間外労働の上限
トラック運転者について、特別条項付き36協定を締結する場合、年間の時間外労働の上限が年960時間となります。なお、この960時間には法定休日労働の時間数は含みません。ただし、一般企業等ですでに適用されている以下の2つについては適用されません。

  1. 時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2〜6ヶ月平均80時間以内
  2. 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月まで

そのため、1ヶ月の上限については規定がありませんが、例えばある月の時間外労働が100時間となった場合、他の月の時間外労働を削減すること等により、年960時間を超えないようにする必要があります。

【2】改善基準告示
トラック運転者の改善基準告示が改正され、以下のようになります。

  • 1年の拘束時間

3,516時間 ⇒ 原則:3,300時間(最大:3,400時間)

  • 1ヶ月の拘束時間

原則:293時間(最大:320時間)⇒ 原則:284時間(最大:310時間)

  • 1日の休息期間

継続8時間 ⇒ 継続11時間を基本とし、継続9時間を下回らない

この他、改正はありませんが、1日の拘束時間や運転時間など様々な基準が設けられています。

【3】労働局に編成された「荷主対策チーム」
厚生労働省では、上記の改善基準告示を広く周知するために、「荷主特別対策チーム」が編成されています。この「荷主特別対策チーム」の活動として、トラック運転者の長時間労働の是正のため、発着荷主等に対して、長時間の荷待ちを発生させないことなどについての要請と、その改善に向けた働きかけが行われることになっています。
そのため、長時間の荷待ちに関する情報収集として、厚生労働省ホームページに、以下のような「長時間の荷待ちに関する情報メール窓口」が新設されており、発着荷主等が長時間の荷待ちを発生させていると疑われる事案などの情報を収集し、その情報を基に、労働基準監督署が要請等を行うとしています。

[長時間の荷待ちに関する情報メール窓口]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/nimachi.html

2024年4月1日の施行まで1年足らずです。自動車運転者を雇用するトラック運送業等は、時間外労働時間の削減に向けた取組を行うとともに、荷主の企業もトラック運送業に対する対応が適切なものになっているか考える必要があります。

■参考リンク
厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html
厚生労働省「改善基準告示の改正に伴い「荷主特別対策チーム」を編成しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29877.html

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4月18日 大幅な引上げとなる障害者の法定雇用率

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

企業は障害者雇用促進法に基づき、一定人数の障害者を雇用する義務があります。雇用すべき人数は、全労働者に対する対象障害者である労働者の割合を基準として算出する法定雇用率に基づき決まります。法定雇用率は、少なくとも5年毎に、この割合の推移を勘案して設定することとされていますが、2023年4月より新しい法定雇用率に見直されました。以下では、今後の法定雇用率の動き等についてとり上げます。

【1】法定雇用率

民間企業における法定雇用率は、2023年4月より7%に引き上げられましたが、引上げ幅が大きいこともあり、雇入れに係る計画的な対応ができるよう、2023年4月から1年間は2.3%で据え置きとなりました。そして、2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%と段階的に引上げとなります。

法定雇用率が2.5%となった場合、1人以上の障害者を雇用すべき企業の範囲が、現行の従業員数43.5人以上から40.0人以上になり、法定雇用率が2.7%となった場合は37.5人以上に広がります。

【2】除外率の引下げ

障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種(建設業、道路貨物運送業、医療業など)について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除(障害者の雇用義務を軽減)する制度があります。この除外率は、2004年4月以降、廃止に向けて段階的に引下げ・縮小が行われており、2025年4月からは10%引き下げられます。

この引下げにより、除外率が5~10%となっている非鉄金属製造業(非鉄金属第一次製錬精製業を除く)、倉庫業、航空運輸業、窯業原料用鉱物鉱業(耐火物・陶磁器・ガラス・セメント原料用に限る。)等の計9業種については除外率の適用対象外となります。その一方で、警備業、介護老人保健施設、介護医療院の3業種が新たに加えられます。

[3] 短時間労働者の実雇用率に算定する特例

現行、法定雇用率の算定に含めることのできる労働者は、週の所定労働時間が20時間以上の人だけですが、2024年4月より、週の所定労働時間10時間以上20時間未満の重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者について、就労機会の拡大のため、実雇用率において算定できるようになります。

法定雇用率の引上げに伴い、自社において障害者の雇用義務が発生するのか、発生する場合には何人の雇用が必要なのかを確認の上、採用等の対応を進めましょう。

■参考リンク
厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について

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4月11日 2023年度の雇用保険料率と雇用保険の給付概要

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

雇用保険料率は財政状況に応じて毎年度、見直しが行われています。2023年度の雇用保険料率は、2022年度の下期から引き上げられることになりました。今回は、その内容と従業員が雇用保険から受けられる各種給付について確認しましょう。

[1]2023年度の雇用保険料率
 2022年度はコロナ禍で雇用保険料率を引き上げることに対する労使の負担感が考慮され、上期と下期の2段階での引上げとなりました。2023年度は2022年度の下期の雇用保険料率から従業員負担・会社負担ともに1/1,000引き上げられ、下表のとおりとなります。

平成29年度雇用保険料率引き下げ決定です | 色はいろいろ

[2]雇用保険の給付
 雇用保険の給付を確認すると、まず「育児休業給付」と「失業等給付」に分かれます。前者の育児休業給付は、育児・介護休業法における育児休業および出生時育児休業を取得した際に行われる給付です。
 後者の失業等給付は、労働者が失業した場合や会社が従業員を継続して雇用することが難しくなるような事由が生じた場合に、従業員(退職者を含む)に必要な給付を行うとともに、その生活及び雇用の安定を図るための給付です。大きく分けて、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の4 種類から構成されています。

[3]失業等給付における各給付の概要
 各給付の概要は以下の通りです。

  1. 求職者給付
    従業員が退職した場合に支給される基本手当を中心に、失業者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にすることを目的として支給されるもの。
  2. 就職促進給付
    失業者が早期に再就職した際に支給される再就職手当等、失業者が再就職するのを援助、促進することが主目的とされるもの。
  3. 教育訓練給付
    労働者の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を目的とするもの。
  4. 雇用継続給付
    労働者の職業生活の円滑な継続を援助、促進することを目的とするもの。

 なお、従業員が負担する雇用保険料は育児休業給付および失業等給付に対する給付の財源として充てられています。

 雇用保険料率が引き上げられ、従業員の負担感が増すタイミングであることから、雇用保険にどのような給付が設けられているか従業員にも周知すると良いでしょう。その際、教育訓練給付を利用することで、働きながらスキルアップできる仕組みがあることを伝えることができます。

■参考リンク
厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内
ハローワークインターネットサービス「雇用保険制度の概要

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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4月4日 STOP!熱中症 クールワークキャンペーン

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
厚生労働省は、職場における熱中症予防対策を徹底するため、労働災害防止団体などと連携し、5月から9月まで、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します。

昨年1年間の職場における熱中症の発生状況は、死亡を含む休業4日以上の死傷者 805 人、うち死亡者は 28 人となっています。
業種別にみると、死傷者数については、建設業 172 件、製造業 144 件となっており、全体の約4割がこれら2つの業種で発生しており、また、死亡者数は、建設業、警備業の順に多くなっております。

熱中症といえば屋外の作業を思いがちですが、屋内でも熱中症のリスクは十分にあります。
熱中症と疑われる症状が発生したら、速やかに応急処置を行いましょう。

熱中症かな?と思ったら。。。


※参考:厚生労働省「職場で起こる熱中症
※参考:環境省「熱中症予防情報サイト

暑さが厳しくなる前に、熱中症に対する認識を深めておきましょう!

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3月28日 定期健康診断を実施しましょう!

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
4月から新しい年度になり、定期健康診断を考えている御会社も多いのではないでしょうか?
定期健康診断は、年に一度の実施が労働安全衛生法で定められています。
常時使用する労働者が1名でもいれば、その時点で健康診断の実施義務は発生します。
今回は、定期健康診断の実施にあたり、よくある質問にお答えします!

Q1.定期健康診断の費用は誰が負担するべきですか。
A.事業主が負担することとなります。
健康診断実施は、労働安全衛生法で事業者の義務とされていますので、費用は事業主が負担することになります。

Q2.定期健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか。
A.一般健康診断の実施に要した時間に対する賃金は労使間の協議によって定めるべきものになります。
ただし、円滑な受診を考えれば、受診に要した時間の賃金を事業主が支払うことが望ましいとされています。

Q3.定期健康診断の結果は労働者個人に通知しなければなりませんか。
A. 通知は必要となります。
労働安全衛生法に基づく健康診断の結果は、労働者自ら健康管理ができるようにその結果を労働者に通知することが義務づけられています。

Q4.経費節減のため、定期健康診断の項目の一部を省略することができると聞きましたが、問題ありませんか。
A.事業主の判断で省略はできません。
定期健康診断の項目は、労働安全衛生法で定められていますので、事業主の判断で省略はできませんが、医師の判断( 医師が必要でないと認めるとき)により健診項目の一部を省略できます。

Q5. 個人的に人間ドッグ等を受けた労働者に対しても健康診断を実施する必要がありますか。
A. 健診の必要はありません。
ただし、人間ドックの結果の写し等を会社に提出してもらう必要があります。
また、これと同様に市町村で実施している健康診断を受診した場合も、会社にその結果を提出してもらう必要があります。ただし、市町村が実施する健康診断の中には労働安全衛生法で定められている健康診断の項目を全て実施していないものがありますので、健診機関等で不足する項目を受診した結果を会社に提出してもらう必要があります。

Q6. 産休で休業している労働者がいます。定期健康診断の時期が来たのですが、定期健康診断を受診させなければなりませんか。
A.定期健康診断を受診させなくとも差し支えありません。
会社は、定期健康診断を実施すべき時期に、労働者が、育児休業、療養等により休業中の場合には、定期健康診断を実施しなくても差し支えありません。
ただし、休業終了後、速やかに、定期健康診断を実施しなければなりません。

■■健康診断費用には「協会けんぽ」から補助があります■■
令和5年度から自己負担額(会社負担額)が下がりました!

※参考:厚生労働省「生活習慣病予防検診のご案内
※参考:厚生労働省「健康診断を実施しましょう

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3月22日 従業員を雇うときのルール

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
寒さも少し和らぎ、季節も春に向かっているのを感じるようになりました。
4月から新入社員を迎える御会社も多いのではないでしょうか?
今回は新入社員を迎えるにあたり、「雇用契約」と「労働契約」についてお話します。

「雇用契約」と「労働契約」どう違うのか? と、ご質問を受けることがあります。

「雇用契約」は、民法第623条で定めている「雇用」に関する契約のことをいいます。
雇用とは、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力が生じます。
 一方、「労働契約」は、労働契約法により、「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意すること」と規定されています。

この2つの大きな違いは、その対象としている「労働者」です。
労働契約法でいう「労働者」は「同居の親族のみを使用する業務」の場合は労働者から除外されており、「労働に従事する」すべての人を労働者と定義する民法とでは、労働者の範囲に違いがあります。
一般的に会社が従業員と締結する契約は「労働契約」になります。
労働契約には一定のルールがあります。

(1)労働条件の明示
労働契約を結ぶときには、使用者が労働者に労働条件を明示することが必要です。 さらに、特に重要な次の項目については、口約束だけではなく、きちんと書面を交付する必要があります。

これら以外の労働契約の内容についても、労働者と使用者はできる限り書面で確認する必要があると定められています。

(2)労働契約の禁止事項
労働法では、労働者が不当に会社に拘束されることのないように、労働契約を結ぶときに、会社が契約に盛り込んではならないことも定められています。

※参考:厚生労働省「従業員を雇う場合のルールと支援策

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3月14日 管理監督者、正しく理解していますか?

こんにちは、福岡助成金支援センター(社会保険労務士法人サムライズです。
「管理監督者」とは、どのような人をいうのでしょうか?
「店長」「工場長」「課長」「リーダー」等、肩書のある人を思い浮かべることでしょう。

管理監督者といっても取締役のような役員とはちがい、労働者であることに変わりはありません。
しかし、管理監督者は経営者に代わって同じ立場で仕事をする必要があり、その重要性や特殊性から労働時間等の制限を受けないこととなっています。

じつは管理監督者は、労働基準法に明確に定められているのです。
「管理職だから残業手当は必要ない」 よく聞くお話ですが、会社内で管理職としての地位にある従業員でも、労働基準法上の「管理監督者」に当てはまらないことがあります。
また、管理監督者であっても健康を害することのないように勤怠管理は必要とされています。

今回は、広くとらえられがちな「管理監督者」の範囲と定義についてお話いたします


これらにあてはまらない人は、社内で管理職とされていても、残業手当や休日出勤手当が必要です!

■■経営者と一体的な立場で仕事をしている■■
経営者と一体的な立場で仕事をするためには、経営者から管理監督、指揮命令にかかる一定の権限を委ねられている必要があります。
具体的には「採用」「解雇」「人事考課」「労働時間の管理」などです。
これらが自らの裁量で行使できる権限が少なく、多くの事案について上司に決裁を仰ぐ必要があったり、上司の命令を部下に伝達するに過ぎないような場合は認められません。

■■出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない■■
管理監督者は、時を選ばず経営上の判断や対応を求められることがあり、労務管理においても一般の従業員と異なる立場に立つ必要があります。このような事情から、管理監督者の出退勤時間を厳密に決めることはできません。また、勤務時間の制限がない以上、出退勤時間も自らの裁量に任されていることが必要です。遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となります。

また、営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等の人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならないなどにより長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないと認められる場合には、管理監督者性を否定する要素の1つとなります。

■■その地位にふさわしい待遇がなされている■■
管理監督者はその職務の重要性から、地位、給料その他の待遇において一般の従業員と比較して相応の待遇がなされていなければいけません。
基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、該当の労働者の保護に欠けるおそれがあると認められるときは、管理監督者性を否定する要素の1つとなります。

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3月7日 2023年4月より出産育児一時金の金額が50万円に増額されます!

こんにちは、福岡助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
健康保険法施行令の改正により、2023年4月より出産育児一時金の金額が改定されることが決まりました。

出産育児一時金とは、健康保険法等に基づく保険給付として、健康保険や国民健康保険などの被保険者またはその被扶養者が出産したとき、出産に要する経済的負担を軽減するため、一定の金額が支給される制度です。

今般、社会保障審議会医療保険部会において、「出産育児一時金の額は、令和4年度の全施設の出産費用の平均額の推計等を勘案し、令和5年4月から全国一律で 50 万円に引き上げるべき」とされたことを踏まえ、現行の 40.8 万円から 48.8 万円に引き上げられます。

これにより、産科医療補償制度の加算対象となる出産に係る出産育児一時金の支給額は、以下のとおりとなります。

出産育児一時金の給付額は、多胎出産(双子、三つ子など)の場合、多児数に応じて支給額が決定されますので、2023年4月より、双子の場合は「50万円×2=100万円」となります(産科医療補償制度の加算対象の場合)。

■■支給を受ける要件■■
被保険者または家族(被扶養者)が、妊娠4か月(85日)以上で出産をしたこと。(早産、死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)も支給対象として含まれます。)

■■出産育児一時金の支給方法■■
出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、出産育児一時金を医療機関等に直接支払う仕組み(直接支払制度)があります。
その場合、出産費用としてまとまった額を事前に用意する必要はありません。

なお、直接、医療機関等に出産育児一時金が支払われることを希望しない方は、出産後に被保険者の方が申請することにより、出産育児一時金を受給する方法を選択することも可能です。

※参考:全国健康保険協会「子どもが生まれた時

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