7月18日 解雇を実施する際の留意点

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

雇用契約の終了には、定年や自己都合退職の他、解雇や雇止めがあります。この中でも、解雇を行う際には様々な注意点があり、トラブルとならないようにする必要があります。
以下では、普通解雇・整理解雇を実施する際の留意点についてとり上げます。

 1]普通解雇
解雇とは、使用者(会社)からの申出による一方的な雇用契約の終了のことをいいます。使用者はいつでも自由に解雇を行えるというものではなく、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、解雇をしても無効となります。
また、一定の場合については法律で解雇が禁止されています。主なものは以下のとおりです。

[労働基準法]

  • 業務上の傷病による休業期間とその後 30日間の解雇
  • 産前産後の休業期間とその後 30 日間の解雇
  • 労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇

[男女雇用機会均等法]

  • 労働者の性別を理由とする解雇
  • 婚姻・妊娠・出産・産前産後の休業をしたこと等を理由とする解雇

[育児・介護休業法]

  • 労働者が育児・介護休業等の申出等をしたこと、育児・介護休業等を取得したことを理由とする解雇

 解雇をするときは、合理的な理由があったとしても、原則として少なくともその30 日前に解雇の予告をすることが求められます。予告を行わない場合には、30 日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。なお、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)において、契約期間の途中で労働者を解雇することは、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断されます。

2]整理解雇
解雇の一種に整理解雇があります。これは、使用者が不況や経営不振などの理由により、解雇せざるを得ない場合に人員削減のために行う解雇を指します。以下の4つの要素に照らして整理解雇が有効か厳しく判断されます。

  1. 人員削減の必要性
    人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいているか
  2. 解雇回避の努力
    配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のための努力をしているか
  3. 人選の合理性
    整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であるか
  4. 解雇手続の妥当性
    労働者等に対して、解雇の必要性とその時期、規模、方法について納得を得るために説明を行っているか

雇用契約の終了の一つで解雇に似ているものとして「退職勧奨」がありますが、これは使用者が労働者に対して退職を勧めることをいいます。労働者が自由意思によりその勧奨に応じる場合は問題となりませんが、使用者が労働者の自由な意思による決定を妨げる勧奨は、違法な権利侵害に当たると判断される場合があります。トラブルを避けるためには、対象となる労働者としっかり向き合い、丁寧に説明することが求められます。

 

■参考リンク
厚生労働省「労働契約の終了に関するルール

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7月11日 ハローワークを通じた障害者の就職件数 コロナ禍以前と近い水準に

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民間企業における法定雇用率については、2023年4月から1年間は2.3%で据え置きとなりましたが、2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%と段階的な引上げが行われることになっています。
こうした状況を受け、今後更なる障害者雇用を計画されている企業も多いと思われますので、今回は厚生労働省より公表された令和4年度のハローワークを通じた障害者の職業紹介状況について確認します。

[1]新規求職申込件数・就職件数
ハローワークへの新規求職申込件数は233,434件(前年度223,985件)となっており、対前年度に比べ4.2%増加しています。
次に、障害者の就職件数は102,537件(前年度96,180件)となっており、対前年度に比べ6.6%増加しています。この就職件数の内訳をみると、身体障害者が21,914件、知的障害者が20,573件、精神障害者が54,074件、その他の障害者が5,976件となっています。2013年度以降、精神障害者の就職件数が身体障害者の就職件数を上回っています。この10年間で、身体障害者の就職件数は減少傾向にあり、知的障害者の就職件数は横ばい、精神障害者の就職件数は増加傾向にあることが分かります(下図参照)。

 

[2]産業別・職業別の就職状況
産業別に就職状況を見てみると、就職件数全体(102,537件)のうち「医療、福祉」が 39,122件と全体の約3分の1を占めており、「製造業」12,765件、「卸売業、小売業」11,222件、「サービス業」10,723件と続いています。
また職業別に就職状況を見てみると、「運搬・清掃・包装等の職業」が33,097件と全体の約3分の1を占めており、「事務的職業」24,383件、「サービスの職業」12,877 件、「生産工程の職業」11,977 件と続いています。障害種別の就職状況では、身体障害者については「事務的職業」、知的障害者および精神障害者については「運搬・清掃・包装等の職業」の割合が、職業別の中で一番高くなっています。

障害者の採用にあたっては、企業はハローワークに障害者専用求人を出すことができますが、2022年度の専用求人数は240,486人で、前年度(213,416人)より12.7%増加しています。障害者法定雇用率の引き上げを受け、多くの企業が障害者雇用に力を入れている状況ですので、安定した雇用の確保のためには、早めの対応が求められます。

 

■参考リンク
厚生労働省
令和4年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめを公表します」 
ハローワークインターネットサービス
障害者の方の雇用に向けて

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7月4日 年次有給休暇の平均取得率 50%~75%未満が4割

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休暇の取りやすさは、働きやすさという点で従業員が企業に期待する大きな要素の一つに数えられます。年次有給休暇(以下、「年休」という)については、働き方改革関連法の中で1年に10日以上の年休が付与される従業員について、少なくとも1年に5日を取得させなければならないというルールが設けられました。
今回は厚生労働省の「令和4年度 仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 仕事と育児等の両立支援に関するアンケート調査報告書」(以下、「調査」という)の中から、年休の平均取得率について取り上げます。

 

[1]従業員規模別の年休の平均取得率
この調査は、従業員数50人以上の企業等を対象としたもので、2022年12月から2023年1月にかけて行われました。それによれば、正社員・職員の年休の平均取得率(令和3年度実績)は、「50%以上~75%未満」が 41.3%でもっとも回答割合が高く、次いで「25%以上~50%未満」が33.3%、「75%以上」が16.8%となっています。これを従業員規模別に見てみると、従業員規模が大きくなるにつれて、「50%以上~75%未満」と「75%以上」の占める割合が高くなっています(図1参照)。 

 

[2]業種別の年休の平均取得率
業種別の年休の平均取得率を見ると、業種によって大きな開きがあることが分かります。中でも、宿泊業、飲食サービス業では年休の平均取得率が他の業種よりも低くなっており、「0%超~25%未満」が42.0%、「25%以上~50%未満」が31.3%、「50%以上~75%未満」が8.5%、「75%以上」が18.4%となっています。

深刻な人手不足が続いており、年休の取得が進まないという企業も少なくありませんが、人材の採用・定着を考えた場合、年休取得率の引き上げは重要なテーマとなります。

 

■参考リンク
厚生労働省「仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業

 

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6月27日 治療と仕事の両立支援を検討する際のポイント

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労働者の約3人に1人が何らかの疾病を抱えながら働いているとされます。また職場において労働力の高齢化が進むことに伴い、今後、労働者が治療と仕事を両立していくことのできる環境の整備がより一層求められることになります。
そこで、今回は治療と仕事の両立支援を検討する際のポイントをとり上げます。

 

 1]両立支援の現状
厚生労働省が公表している「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」によると、傷病(がん、糖尿病等の私傷病)を抱えた何らかの配慮を必要とする労働者に対して、治療と仕事を両立できるような取組みが行われている事業所の割合は41.1%となっています。
その取組内容(複数回答)をみると、「通院や体調等の状況に合わせた配慮、措置の検討(柔軟な労働時間の設定、仕事内容の調整等)」が91.1%、「両立支援に関する制度の整備(年次有給休暇以外の休暇制度、勤務制度等)」が36.0%、「相談窓口等の明確化」が32.1%と続いています。

 

2]勤務制度・休暇制度を検討する際の選択肢
このように両立支援の取組としては、柔軟な勤務制度や特別休暇などの制度の導入が多く行われています。以下では、これらの具体的な選択肢について見ていきましょう。

  1. 勤務制度
    • 時差出勤制度
      通院のためや通勤による身体の負担を軽減するために始業・終業時刻を変更することです。時差出勤の場合、1日の所定労働時間に変更がないため、短時間勤務制度と異なり、給与が減額とならないというメリットがあります。
    • 短時間勤務制度
      フルタイム勤務が難しい場合、所定労働時間を短くして引き続き働くことができるようにするものです。
    • テレワーク
      通勤による身体の負担を軽減し、在宅勤務などリモートで働いてもらうというものです。

  1. 休暇制度
    • 時間単位の年次有給休暇
      年次有給休暇は1日単位で取得することを原則としていますが、労使協定を締結することで、年5日を上限として、1時間単位で取得することができるようになります。これにより、通院等で必要な時間を年次有給休暇で活用することができます。
    • 積立年次有給休暇
      年次有給休暇は付与日から2年が経過すると請求権がなくなりますが、この請求権がなくなった年次有給休暇を積み立てておき、病気治療による通院などの場合に利用できる制度を会社独自に設けておくものです。
    • 病気休暇
      会社独自の制度として、入院治療や通院のために利用できる休暇制度を設けておくものです。

こうした勤務制度や休暇制度については、運用方法と併せて管理職が制度を理解するための研修も必要になります。実際に運用していくまでには時間がかかることから、早めに検討を始めるとよいでしょう。

■参考リンク
厚生労働省「治療と仕事の両立について
厚生労働省「調査の概要

 

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6月20日 今後の最低賃金引き上げの方向性

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近年、最低賃金は大幅な引上げが行われており、企業経営に大きな影響を与えています。
今年10月の最低賃金引き上げはどうなるのか、更にはその後も現在のような高水準での引上げが継続されるのかについて強い関心をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、2023年4月12日に、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局が公表した「三位一体労働市場改革の論点案」の中から最低賃金に関する今後の論点について見ていきましょう。

[1]「三位一体労働市場改革の論点案」
最低賃金に関して「三位一体労働市場改革の論点案」の中に記載されている内容をまとめると、以下のとおりとなります。

  1. 今年は、全国加重平均1,000円を達成することを含めて、公労使三者構成の最低賃金審議会で、しっかりと議論してもらう。
  2. 地域間格差の是正を図るため、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げることも必要。
  3. 今夏以降は、1,000円達成後の最低賃金引上げの方針についても(新しい資本主義実現会議で)議論を行う。

これはあくまでも今後の議論の方向性ということで、実際には今後の議論が待たれるところではありますが、今年も例年相当、もしくはそれ以上の最低賃金引上げの可能性が出てきています。

 

[2]最低賃金の地域間格差縮小への動き
[1]の2.でも最低賃金の地域間格差是正が論点となっていますが、この点については既に具体的な動きが見られます。最低賃金は、中央最低賃金審議会から示される引上げ額の目安を参考にしながら、各都道府県の地方最低賃金審議会で地域の実情を踏まえた審議・答申を得た後、異議申出に関する手続きを経て、都道府県労働局長により決定される仕組みとなっています。

この目安については、従来A~Dの4区分が設けられており、東京・大阪などの都市部と地方では目安額に差が設けられることが通例となっていました。今回、この区分がA~Cの3区分へ再編されることとなり、最低賃金の地域間格差の縮小が図られることとなっています。

諸外国との賃金格差の縮小が大きな課題となる中、最低賃金に関しても、今後、大きな動きが予想されます。人手不足による採用難もあり、賃金は上昇傾向にありますので、今後の賃上げに備えた生産性の向上がまずは求められます。

 

■参考リンク
内閣官房新しい資本主義実現本部事務局
三位一体労働市場改革の論点案」 
厚生労働省
第65回中央最低賃金審議会 資料

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6月13日 高年齢者・障害者雇用状況報告を行う際の確認事項

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一定数以上の従業員を雇用している企業は、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況と障害者の雇用状況を報告する義務があり、2023年7月18日までにそれぞれの雇用状況報告書を提出する必要があります。

以下では、今年より変更となる高年齢者雇用状況等報告書の様式の内容と、障害者雇用状況報告の際に求められる注意点についてとり上げます。

[1]様式が変更となった高年齢者雇用状況等報告書
高年齢者雇用状況等報告書の様式は昨年から変更が行われており、例えば、もともと「過去1年間の定年到達者等の状況(65歳未満)」と表現されていた欄が、「65歳まで働ける制度の過去1年間の適用状況」に変更されています。高年齢者雇用状況等報告書および障害者雇用状況報告書の記入要領には、今回変更となった欄に関して、記入にあたっての考え方が記載されていますので、記入する際に目を通すことをお勧めします。
また、高年齢者雇用状況等報告の記入方法については、現在、厚生労働省のYouTubeで解説動画が公開されています。このような解説動画も活用しながら、準備を進めましょう。

[2]障害者雇用状況報告の際に求められる注意点
障害者雇用状況の報告にあたり、障害者の把握を行うことがありますが、プライバシーに配慮した障害者の把握・確認が求められます。そのため、原則として、すべての従業員に対して画一的な手段で申告を呼びかける必要があります。その呼びかけを行う方法としては、以下のようなものがあります。

  • 従業員全員が社内 LAN を使用できる環境を整備し、社内 LAN の掲示板に掲載する。
  • 従業員者全員に対して一斉にメールを配信する。
  • 従業員全員に対して、チラシ、社内報等を配布する。
  • 従業員全員に対する回覧板に記載する。
  • 従業員全員が定期的に見ると想定される事業所内の掲示板に掲示する。

呼びかけの際に利用目的として、障害者雇用状況の報告のために用いる旨を明示することが必要です。併せて、この呼びかけに対して回答することが業務命令ではないことを明らかにすることが望まれます。

この高年齢者雇用状況等報告と障害者雇用状況報告は、e-Govを使用する電子申請による方法のほか、郵送またはハローワークに出向くことにより提出ができます。電子申請にも対応していますが、今年から電子証明またはGビズIDが必要になりました。これからGビズIDの発行を検討される場合、発行に時間を要することから早めにデジタル庁のホームページを確認しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和5年高年齢者・障害者雇用状況報告の提出について
厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告書及び記入要領等
厚生労働省「障害者雇用状況報告書及び記入要領等
デジタル庁

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6月6日 常時雇用労働者の定義・カウント方法

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就業規則の届出については常時使用する労働者の数が10人以上の事業場、衛生委員会の開催は常時使用する労働者の数が50人以上の事業場といったように、労働者の人数を基準に法令上の義務が定められているものがあります。そこで今回は、常時雇用する労働者の定義・カウント方法を確認します。

[1]労働基準法
 まず「労働者」の定義を確認すると、労働基準法では第9条で、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいう、としています。ここには日雇労働者やパートタイマー等も含まれます。
 これを踏まえ「常時使用する」については、企業の通常の状況により判断するとされており、臨時的に雇い入れた場合や臨時的に欠員を生じた場合は労働者の数に変動が生じたものとして取り扱う必要はないものの、パートタイマー・アルバイトであっても臨時的な雇入れでなければ、常時使用する労働者数に含める必要があるとされています。

[2]労働安全衛生法
 労働安全衛生法の対象となる労働者は、原則、労働基準法と同じですが、労働安全衛生法が、職場で働くすべての労働者の安全を守る法律であることから、派遣労働者を受け入れている事業場は、派遣労働者も含めて常時雇用する労働者数を算出します。例えば事業場の労働者の数が45人で、派遣労働者が5人いる場合、合計50人となり、衛生管理者の選任等が必要になります。

[3]障害者雇用
 現在、常時雇用する労働者が43.5人以上の事業主(企業)は、障害者を1人以上雇用することが義務付けられています。この常時雇用する労働者は、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者であって、1年を超えて雇用される人(見込みを含む)が対象となります。
 計算方法は、週所定労働時間が30時間以上の労働者については1人としてカウントし、20時間以上30時間未満の労働者については1人を0.5人としてカウントします。

[4]次世代育成支援対策推進法等
 次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法では、常時雇用する労働者が101人以上の事業主(企業)に対して、一般事業主行動計画の策定・届出を義務付けています。
 この常時雇用する労働者には、期間の定めなく雇用される人、過去1年間に引き続き雇用されている人または雇入れ時から1年以上雇用されると見込まれる人が含まれます。

それぞれの内容によって、常時雇用する労働者の定義が異なり、またカウントの範囲が事業場の場合と事業主(企業単位)の場合があります。それぞれ正しく労働者数が算出できているか、この機会に確認しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「事業場の規模を判断するときの「常時使用する労働者の数」はどのように数えるのでしょうか。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09985.html
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「令和4年度障害者雇用納付金制度「ご案内」」
https://www.jeed.go.jp/disability/q2k4vk000002t1yo-att/q2k4vk000003p1yn.pdf
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法関係パンフレット」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/pamphlet/26.html

 

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5月30日 定期健康診断以外の健康診断が必要となる労働者

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会社は、常時使用する労働者に対し、一般健康診断として雇入れ時および1年以内に1回の定期健康診断や特定業務従事者に対する健康診断を行う義務がありますが、その他にも、有害業務等に従事する労働者に対して実施する特殊健康診断や歯科医師による健康診断等があります。以下ではこれらの内容を確認しておきましょう。

【1】特定業務従事者の健康診断  
特定業務従事者の健康診断は、労働安全衛生規則に掲げる業務に常時従事する労働者に対して、実施することが義務付けられています。  


具体的な業務には、多量の高熱物体を取扱う業務や著しく暑熱な場所における業務、多量の低温物体を取扱う業務および著しく寒冷な場所における業務、ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務等があり、深夜業を含む業務等も含まれています。  これらに該当する業務へ労働者を配置替えする際、6ヶ月以内ごとに1回これらの業務に常時従事する労働者に対して実施が必要です。

【2】特殊健康診断  
特殊健康診断は、以下の有害な業務に常時従事する労働者等に対して、一般健康診断とは 異なる項目に係る健康診断の実施が義務付けられています。
① 有機溶剤業務 ② 鉛業務 ③ 四アルキル鉛業務 ④ 特定化学物質業務 ⑤ 高気圧業務 ⑥ 放射線業務 ⑦ 除染等業務 ⑧ 石綿業務  
原則として、雇入れ時、配置替えの際と6ヶ月以内ごとに1 回の実施が必要です。また、上記のうち、一定の特定化学物質業務や石綿業務などについては、それらの業務に従事しなくなった場合でも特殊健康診断の実施が必要です。

【3】歯科医師による健康診断
歯科医師による健康診断は、有害業務(塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素、黄りんその他歯またはその支持組織に有害な物のガス、蒸気または粉じんを発散する場所における業務)に常時従事する労働者に対して、雇入れ時、配置替えの際と6ヶ月以内ごとに1 回の実施が必要です。  

この健康診断を実施した場合、常時使用する労働者の数が50人以上の事業場に実施結果を報告することが義務付けられていましたが、2022 年10 月より、事業場規模にかかわらず、すべての事業場に報告が義務付けられました。  
歯科健康診断結果の報告書様式が新たに 定められているため、報告する際には新様式を使用しましょう。

派遣労働者は派遣元で雇用されていますが、実際に業務を行う場は派遣先となります。そのため、 派遣労働者の定期健康診断・特定業務従事者の健康診断は派遣元、特殊健康診断・歯科医師による健康診断は派遣先で実施することが義務付けられています。健康診断の実施がもれないようにしましょう。

 

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5月23日 導入を検討したい 勤務間インターバル制度

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勤務間インターバル制度の導入は企業の努力義務とされ、国は2025年までに導入している企業の割合を15%以上とするという数値目標を定めています。2022年10月に厚生労働省から公 表された「2022年の就労条件総合調査の結果」からその導入状況、そして制度の導入を検討する際のポイントをとり上げます。

【1】勤務間インターバル制度の  導入状況

 勤務間インターバル制度を導入している企業の割合をみると、「導入している」が5.8% (2021年調査 4.6%)、「導入を予定又は検討し ている」が12.7%(同 13.8%)「導入予定はなく、検討もしていない」が 80.4%(同 80.2%)となっています。企業規模別でみると、おおむね従業員数が多くなるにつれて導入済み、または導入に向けた動きをしている割合が高くなります。

【2】勤務間インターバル時間

 制度を導入する際には、終業時刻から始業時刻までの間に空ける時間、いわゆる「インターバル時間数」の設定をします。法令で時間数の定めは特段ありませんが、通勤時間や食事の時間等を勘案した上で、一定の睡眠時間の確保ができる時間設定が必要になります。

【3】制度導入を検討する際のポイント

制度を導入する際の主な検討項目は次のとおりです。

①制度の適用対象となる従業員の範囲

②インターバル時間数

③インターバルを確保することにより、翌日の始業時刻を超える場合の取扱い

④インターバル時間の確保に関する申請手続き  

この中で、③については、インターバル時間と翌日の始業時刻が重複する部分を働いたも のとみなすという方法と、翌日の始業時刻を繰 り下げる方法の2つが考えられます。また、後者の取扱いについて、「翌日の終業時刻も繰り下げる」「翌日の終業時刻は変更しない」 、 等の方法が考えられ、導入をする際には取扱いを定めておく必要があります(下図参照)

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5月16日 年次有給休暇の取得義務にまつわるよくある質問

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2019年4月より、年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」という)が付与される従業員について、付与された年休の日数のうち5日は会社が時季を指定するなどして取得させることが義務となりました。そのため、付与日から四半期や半期を経過したタイミング等で、取得状況の確認をしている企業も多いのではないでしょうか。今回はこの年休の取得義務に関連し、よくある質問をとり上げます。

[1]私傷病により休職している従業員の対応
 年休は労働日に取得ができ、また取得させるものですが、休職は、本来の労働日について労働義務が免除される取り扱いです。付与日以前から休職をしていて、付与日から1年間のすべてが休職となっていた(1年間の途中一度も復帰しなかった)場合は、そもそも労働日がなく、会社にとって年休を取得させることが不可能であるため、5日の取得ができないとしても法違反に問われるものではありません。

[2]育児休業中の従業員の対応
 育児休業も、休職と同様に休業を申し出た期間について労働義務が免除されるため、付与日から1年間のすべてについて、育児休業を取得しているようなときは、[1]と同様の考え方になります。
 ただし、付与日から1年経過する途中に育児休業から復帰した従業員は年休の取得義務の対象になります。その際、復帰した日から付与日から1年経過する日までにある労働日が、取得義務となっている年休の日数より少なく、年5日の年休を取得させることができないときは、取得できなくてもやむを得ないこととなります。
 実務の場面では例えば、付与日から1年経過する日が3月31日であり、3月16日に復帰する従業員がいるときには、3月16日から3月31日までの期間に合計して年5日の年休を取得させなければならないようなケースが発生します。このように年休の付与日から1年経過する日と復帰日が隣接しているような場合であっても、年5日取得できる労働日があるのであれば、取得させる義務があります。復帰にあたっては年休の取得日も併せて確認しておくべきでしょう。

[3]パートタイマーから正社員に転換した従業員の対応
 年10日以上の年休が付与されているパートタイマーについても、付与日から1年以内に5日の年休を取得させる義務があります。このパートタイマーが正社員に転換した場合は、年休の残日数を引継ぎ、取得義務も継続します。
 正社員に転換する際に、例えば、パートタイマーのときには10月1日であった付与日を、正社員については統一付与日である4月1日に前倒しして変更することがあります。このような場合、年5日の取得義務について、パートタイマーの期間と正社員の期間について、重複が生じることになりますが、パートタイマーおよび正社員の期間それぞれで取得させることが原則になります。なお、重複が生じるそれぞれの期間を通じた期間の長さに応じた日数(比例按分した日数)をその期間に取得させることも認められています。
 上記事例の他、管理監督者も年休の付与義務の対象となっています。日常的に多忙で年休を取得する余裕がないという管理監督者の声を耳にすることがありますが、取得義務の期限が迫って、業務に支障を来すことがないように、計画的に取得できるようにしましょう。

■参考リンク

厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf


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