3月19日 3月分以降の協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険料率および介護保険料率は、例年3月分(4月納付分)から見直しが行われています。今回は2024年度の各都道府県の保険料率についてお伝えします。

[1]2024年度の健康保険料率

 協会けんぽの保険料率は、各都道府県支部別に設定されますが、2024年3月分から適用される健康保険料率は下表のとおりとなりました。※表はクリックで拡大されます。
 47都道府県のうち、前年度より健康保険料率が引上げとなったのが24、引下げとなったのが22、変更なしが1でした。そして、もっとも高い保険料率は佐賀県の10.42%、もっとも低い保険料率は新潟県の9.35%となっており、佐賀県と新潟県の保険料率の開きは大きなものになっています。

 

[2]引下げとなった介護保険料率
 介護保険料率は単年度で収支が均衡するよう毎年見直しが行われますが、2024年3月分からは、1.82%から1.60%への引下げとなりました。

 健康保険料率および介護保険料率は3月分から変更になるため、3月に賞与を支給する会社では、賞与にかかる保険料から新しい保険料率で計算して賞与からの控除が必要となります。また、給与計算では自社の社会保険料の控除のタイミングに合わせて控除する保険料率を変更しましょう。なお、健康保険組合に加入している会社においては、各健康保険組合の情報をご確認ください。

 

■参考リンク
協会けんぽ「令和6年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます

 

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3月12日 2024年4月1日から労災保険率が変更になります

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労災保険率は、業種ごとに定められており、それぞれの業種の過去3年間の災害発生状況などを考慮して原則3年ごとに改定されています。3年前の見直しでは、労災保険率の改定は行われなかったため、今回は6年ぶりの改定となります。

 

[1]労災保険率
 2024年4月からの労災保険率は、全体の平均では4.5/1000から4.4/1000となり、1000分の0.1の引き下げとなります。54業種のうち、引下げとなるのは17業種、引上げとなるのは3業種です。主な変更業種は以下のとおりです。※表はクリックで拡大されます。

[2]特別加入保険料率
 一人親方などの特別加入に係る第2種特別加入保険料率の改正も行われ、25区分のうち、以下の5区分が引下げとなります。※表はクリックで拡大されます。

[3]請負による建設の事業に係る労務費率
 労災保険料は、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額(以下、「賃金総額」という)に、労災保険率を乗じて算定することを原則としていますが、事業の特殊性により賃金総額を正確に算定することが困難な場合は、賃金総額算定方法の特例が認められています。
 この特例では、請負金額に労務費率を乗じて得た額を賃金総額としますが、ここで用いる労務費率についても改定が行われ、鉄道又は軌道新設事業が24%から19%に引下げとなり、その他の建設事業が24%から23%に引下げとなります。

 2024年度の年度更新の際には、概算保険料について、新しい労災保険率で計算することになります。また、来年度に向けた事業計画検討の中で人件費の予算策定などを行う際には、自社に適用される労災保険率が変更されていないか確認しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「令和6年度の労災保険率について(令和6年度から変更されます)

 

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3月5日 広範な変更が予定される雇用保険法の改正動向

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

1月26日に開会された通常国会には、雇用保険法の改正に関する法案(改正法案)が提出されました。改正は広範にわたりますが、その中で実務に大きな影響が出ることが想定される点について、以下で確認します。

[1]被保険者範囲の拡大
 現在の法令では、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上引き続き雇用されることが見込まれる人が、雇用保険の被保険者とされています。
 この被保険者の範囲について、2028年10月1日以降は、1週間の所定労働時間が10時間以上の人も対象となる予定です。

[2]出生後休業支援給付金の創設
 現在、一定の要件を満たした従業員(雇用保険の被保険者)が育児休業を取得する場合、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給されます。
 これらの給付率は、休業開始時賃金日額の67%または50%とされていますが、2025年4月1日以降、従業員とその配偶者がともに14日以上の育児休業を取得するときには、28日間を限度に、出生後休業支援給付金として、休業開始時賃金日額の13%が支給されることになる予定です。

 

[3]育児時短就業給付金の創設
 育児・介護休業法には、3歳未満の子どもを養育する従業員が希望したときには、1日所定労働時間を6時間に短縮する育児短時間勤務制度があります。
 育児短時間勤務制度を利用する場合、ノーワークノーペイの原則により、短縮した時間分の給与を支払わない企業が多いことから、2025年4月1日以降は、2歳未満の子どもを養育するために育児短時間勤務をし、給与が少なくなったときには、給付率10%を上限として、育児時短就業給付金が支給される予定です。

[4]高年齢雇用継続給付の変更
 高年齢雇用継続給付の変更の改正はすでに決定しており、今回の改正法案の内容ではありませんが、今後の動きとしてとり上げます。
 高年齢雇用継続給付は、原則として60歳以上の従業員の給与が、60歳時点よりも一定割合を超えて低下したときに支給されるものです。現在の給付率の上限は15%となっていますが、2025年4月1日以降は、給付率の上限が10%に引き下げられることが決まっています。

 このほかにも、教育訓練給付や就業促進手当も改正法案に盛り込まれています。自己啓発や学び直しを考えている従業員が活用できるような内容が含まれているため、改正法が成立したときには、全体の内容をしっかり押さえておく必要がありそうです。

 

■参考リンク
厚生労働省「第202回労働政策審議会職業安定分科会資料

 

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2月27日 36協定を締結する際の注意点

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「時間外労働・休日労働に関する協定」(以下、「36協定」という)を締結する際、前年と同じ内容で、日付と人数だけ確認して36協定の協定書を作成しているケースが見受けられます。会社は協定した内容を遵守する必要があり、協定内容を超えて時間外労働・休日労働を命じることは、労働基準法違反となります。以下では、36協定の締結において理解しておきたい労働者数と休日労働に関する項目の意味について解説します。

 

[1]労働者数とは
 協定事項には、労働者数がありますが、この労働者数とは、在籍している労働者の人数ではなく、時間外労働・休日労働を行わせることが想定される人数をいいます。
 この労働者数については、協定の有効期間中に、入社や退職により記入した人数と実態が乖離することがあります。このような場合であっても、再度、36協定を締結して届け出る必要はなく、締結後に入社した労働者に対しても協定の範囲内で時間外労働や休日労働を命じることができます。

[2]休日労働に関する項目 

協定事項には「労働させることができる休日の日数」があり、36協定の協定届には「労働させることができる法定休日の日数」と「労働させることができる法定休日における始業及び終業の時刻」があります。
 まず、「労働させることができる法定休日の日数」とは、法定休日に労働させる可能性のある日数をいいます。厚生労働省が公開しているリーフレット「36協定の適正な締結」にある36協定届の記載例では、「1か月に1日」という内容になっており、この場合、法定休日に労働させることができるのは1ヶ月に1日のみとなります。そのため、例えば繁忙期は法定休日のうち、2日は出勤してもらう可能性がある場合には、「1ヶ月に2日」と記載します。
 次に、「労働させることができる法定休日における始業及び終業の時刻」とは、法定休日に労働させる場合の始業時刻と終業時刻をいいます。この時刻について、会社の通常の始業時刻と終業時刻を記載しているケースを見かけますが、この時刻が法定休日に労働させることのできる始業時刻と終業時刻となります。通常の始業時刻よりも早く出勤させる可能性がある場合などは、会社が想定する時刻を記載しましょう。

 年度末に向け、36協定の締結に係る準備を始める企業も多いかと思います。協定する内容や数字にどのような意味があるのかを確認した上で、業務の実態を踏まえ、内容を決定し、締結しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「労働時間・休日
厚生労働省「36協定の適正な締結

 

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2月20日 給与計算をする際に押さえておきたい端数処理の実務

こんにちは、福岡支援助成金センター(社会保険労務士法人サムライズ)です。

給与計算をしていると、労働時間や円未満の賃金額の端数が出ることがあります。今回はこうした端数処理について、法律に沿った扱いがどのようなものであるかを確認しましょう。

[1]労働時間の端数処理
 給与計算をする際には、まず労働時間を集計することになりますが、労働時間は1分単位で集計し、賃金を支払うことが大原則となっています。そのため、所定労働時間、時間外労働時間、深夜労働時間、休日労働時間の各々を1分単位で集計する必要があります。
 その際、1ヶ月における時間外労働・深夜労働・休日労働の各々の合計については、端数処理をすることが認められています。具体的には、合計時間について1時間未満の端数がある場合には、30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げても差し支えないとされています。

[2]割増賃金の端数処理
 割増賃金を計算する際に端数処理については、1時間あたりの賃金額を計算した際に端数処理をすることが認められており、その際には50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上を切り上げることとなります。具体的には以下のとおりです。

【例】
1ヶ月の所定賃金額:230,000円 1ヶ月の(平均)所定労働時間数:168時間の場合
1時間あたりの賃金額=230,000÷168時間=1,369.0476…
→50銭未満の端数の切り捨てを行うと、1時間あたりの賃金額:1,369円

 この取扱いは1ヶ月における時間外労働・深夜労働・休日労働の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合も同様となります。

[3]賃金支払時の端数処理
 賃金の支払いについては、従業員の指定する銀行口座への振込みが多いため、賃金支払時に端数処理を行うことは稀かと思われますが、1ヶ月の賃金支払額における端数処理についても一定の範囲内で認められています。
 具体的には、1ヶ月の賃金支払額に100円未満の端数が生じた場合に、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を切り上げて支払うことが認められています。また、1ヶ月の賃金支払額に生じた1,000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越すことも認められています。なお、この取扱いをするためには賃金規程にその旨の定めが必要です。

 端数処理について、すべて切り捨てるなどという誤った取扱いをしていないか、この機会に確認しましょう。お困りごと等ございましたら、当事務所までお問合せください。

■参考リンク
東京労働局「3.残業手当等の端数処理はどうしたらよいか

 

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2月13日 民間企業の障害者実雇用率 過去最高の2.33%の実績

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先日、厚生労働省から「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」(以下、「集計結果」という)が公表されました。現在の民間企業の障害者に係る法定雇用率は2.3%とされており、従業員数43.5人以上規模の企業において障害者を雇用する義務があります。以下では、実際の障害者雇用状況を確認しましょう。

 

[1]障害者雇用数と法定雇用率達成企業
 障害者の雇用義務のある43.5人以上規模の民間企業で雇用されている障害者の数は642,178.0人で、前年より28,220.0人増加し、過去最多となりました。障害種別にみると、以下のようにいずれの種別でも増加していますが、特に精神障害者の雇用が伸びていることが分かります。

  • 身体障害者 360,157.5人(前年比2,390人増加)
  • 知的障害者 151,722.5人(前年比5,296.5人増加)
  • 精神障害者 130,298.0人(前年比20,533.5人増加)

 これにより、法定雇用率を達成している企業の割合は、50.1%と半数を超えました。これを企業規模別にみると、43.5~100人未満が47.2%(前年45.8%)、100~300人未満が53.3%(同51.7%)、300~500人未満が46.9%(同43.9%)、500~1,000人未満が52.4%(同47.2%)、1,000人以上が67.5%(同62.1%)となり、すべての規模の区分で前年より増加しています。

 

[2]障害者雇用率達成の指導状況
 今回の集計結果において、実雇用率は2.33%となっています。この実雇用率の過去20年間の動きをみてみると下図のように着実に増加していることが分かります。※図はクリックで拡大されます。

 一方で、実雇用率が低い企業に対しては、障害者雇用率が達成できるように、ハローワークから指導が行われますが、2022年度の指導に係る実績は以下のとおりです。

  • 障害者雇入れ計画作成命令の発出 244社
  • 障害者雇入れ計画の適正実施勧告 94社
  • 特別指導の実施 55社

 2024年4月より法定雇用率が2.5%に引上げとなります。そのため、対象となる企業においては法定雇用率を達成できるよう、継続的に採用と定着の取り組みを進める必要があります。

■参考リンク
厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果

 

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2月6日 29.7%の企業が70歳まで働ける制度を導入

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2021年4月から改正高年齢者雇用安定法が施行され、65歳までの雇用確保措置の義務に加え、70歳までの就業機会を確保する措置(以下、「就業確保措置」という)が努力義務として定められました。先月、厚生労働省から公表された2023年の「高年齢者雇用状況等報告」に関する集計結果(以下、「集計結果」という)では、この就業確保措置の努力義務に対応した企業の状況等を確認することができます。※表はクリックで拡大されます。

 

[1]就業確保措置

 就業確保措置としては、以下の1~5のいずれかの措置を講ずることが企業の努力義務とされています。65歳までの雇用確保措置と異なり、雇用だけでなく、業務委託契約など直接雇用をしない形で、70歳まで就業できる機会を与えることも措置に含まれています。

  1. 70歳までの定年引上げ
  2. 定年制の廃止
  3. 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
    ※特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む
  4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  5. 70歳まで継続的に以下の社会貢献事業に従事できる制度の導入
    1. 事業主が自ら実施する社会貢献事業
    2. 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業


[2]就業確保措置の実施状況

 今回の集計結果では、報告した全企業の中で就業確保措置が実施済みである企業が全体の29.7%となっています。企業規模別では、中小企業では30.3%(前年比1.8ポイント増加)、大企業では22.8%(前年比2.4ポイント増加)となっており、中小企業よりも大企業において対応を進める動きが強まっています。なお、この集計では従業員21人~300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」としています。
 また、就業確保措置の内訳を全体でみると、70歳までの定年引上げが2.3%、定年制廃止が3.9%、継続雇用制度の導入が23.5%、創業支援等措置の導入が0.1%となっています(※)。
※端数処理の都合上、合計数にズレが生じています。

 

[3]定年制の状況
 就業確保措置に向けた対応や人材確保の観点から、定年年齢を引き上げるケースが見受けられます。企業における定年制の状況については、65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は全体の30.8%で、年齢区分でみてみると以下のようになっています。

  • 60歳    66.4%
  • 61~64歳 2.7%
  • 65歳    23.5%
  • 66~69歳 1.1%
  • 70歳以上 2.3%

 深刻な人手不足の中、65歳以降の人材をどのように活用していくか悩まれている企業は少なくないでしょう。今回の集計結果なども参考にしながら、検討を進めましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和5年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します

 

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1月30日 2024年4月から変わる無期転換に関する明示ルール

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2024年4月から労働条件の明示ルールが変わり、すべての労働者に対し、「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になりますが、これ以外にも、有期契約労働者に対して新しく追加される明示事項があります。そこで今回は、明示ルールに追加される無期転換に関連する事項と実務上の注意点をとり上げます。

[1]無期転換とは

 そもそも無期転換とは、パートタイマーやアルバイト、契約社員などの有期契約労働者について、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超える契約を締結した場合、有期契約労働者からの申込みにより、次の契約から無期労働契約に転換できるというものです。
 図のように労働契約期間が1年の場合、5回目の更新後に無期転換申込権が発生し、無期転換の申込みをすることができます。※図はクリックで拡大されます。

[2]追加される無期転換に関する事項の明示
 2024年4月からは、この無期転換申込権が発生する有期契約労働者に対して、無期転換の申込みができることを労働条件通知書で明示する必要があります。さらに、無期転換後に有期労働契約時の労働条件から変わる場合には、その内容も明示することになります。なお、その内容については別紙を添付するなどして明示することも認められています。これらの内容に係る労働条件通知書の記載例は以下のとおりです。

本契約期間中に会社に対して期間の定めのない労働契約(無期労働契約)の締結の申込みをすることにより、本契約期間の末日の翌日(〇〇年〇月〇日)から、無期労働契約での雇用に転換することができる。
この場合の本契約からの労働条件の変更の有無(無・有(別紙のとおり))

[3]実務上の注意点
 実務上の注意点として2点あります。1点目は、無期転換に関する明示は、無期転換の申込みができる有期契約労働者が対象になります。有期契約労働者全員が対象になる訳ではないため、有期労働契約が通算5年を超えているか否かの管理が必要です。
 2点目は、定年後の再雇用の取扱いです。定年後の再雇用においては、1年契約を更新していくことが一般的ですが、このような定年後に再雇用する従業員も有期労働契約に含まれます。この定年後に再雇用した従業員については、労働局に申請をして認定を受けることで、有期労働契約が通算5年を超えたとしても無期転換申込権が発生しない、という特例が認められています。一方、労働局の認定を受けていない場合は、定年後に再雇用した従業員も有期労働契約が通算5年を超えると、原則通り、無期転換の申込みができることになりますので、この場合には2024年4月から変更される労働条件の明示事項に関して、無期転換の申込みができること等を労働条件通知書に明示する必要が出てきます。

 定年後の再雇用者の取扱いに関して、労働局の認定の必要性を検討し、認定を受ける場合は準備を進めましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます
厚生労働省「無期転換ルールについて

 

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1月23日 2024年1月から新設された育休代替要員等に対する助成金

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昨年6月に政府が閣議決定した「こども未来戦略方針」では、男女ともに職場へ気兼ねなく育児休業を取得できるようにするため、育児休業を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置を大幅に強化することが示されました。これを踏まえ、2024年1月1日から両立支援等助成金に、「育休中等業務代替支援コース」が新設されました。そこで、今回はこの概要を確認しておきましょう。

[1]新設される助成金の概要
 今回の新設コースは、両立支援等助成金のいくつかのコースに設けられていた「代替要員加算」が廃止・再編されたものです。
 支給は、労働者が育児休業を取得するか、育児短時間勤務制度を利用する場合において、育児休業期間中に代替要員の新規雇用(派遣社員の受け入れも含む)、または、育児休業期間中や育児短時間勤務制度利用期間中に業務を代替する労働者への手当支給等を行うときに対象になります。整備・運用した制度によって表の額が支給されます。なお、助成の対象は中小企業に限ります。※表はクリックで拡大されます。

[2]助成金の加算
 新設されるコースには、助成金に以下の加算が設けられています。

  1. 有期雇用労働者加算
    育児休業取得者・育児短時間勤務制度利用者が有期雇用労働者の場合は10万円が加算される。
  2. 情報公表加算
    自社の育児休業等の取得状況に関する情報を厚生労働省のホームページ「両立支援のひろば」で公表した場合には2万円が加算される。

 同僚が育児休業を取得すると、その職場で一緒に働く労働者には何らかの負担が生じることがあるでしょう。このような助成金を活用することで、その負担が少しでも軽減し、職場内で、スムースに育児休業の送り出しができる環境を構築したいものです。

 

■参考リンク
厚生労働省「事業主の方への給付金のご案内

 

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1月16日 今後数年のうちに施行される人事労務関連の法令改正

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人事労務管理を行う中で、実務に関連する法令改正の動向を押さえておくことはとても重要です。特に近年、人事労務分野においては様々な法令改正が頻繁に行われています。そこで、今回は今後数年のうちに施行が予定される法令改正の内容を確認しておきます。

 

[1]注目すべき法令改正
 現時点で施行が決定されている主な法令改正は下表のとおりです。細かな対応として、労働条件通知書のひな形を修正したり、障害者の法定雇用率が2024年4月と2026年7月に引き上げとなることから、法定雇用率を満たしていない場合は障害者雇用を強化したりしていくなどの必要があります。

表 今後の主な法令改正内容

施行時期 内容
2024年4月 建設業・自動車運転業務・医師等の限度基準適用除外の廃止
トラック・バス・タクシー運転者の拘束時間・休息期間の変更
障害者法定雇用率を2.5%に引き上げ
短時間労働者(週10時間以上20時間未満の重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者)の実雇用率に算定する特例
労働条件の明示事項に、就業場所・業務の変更の範囲、更新上限の有無・内容、無期転換申込機会・無期転換後の労働条件が追加
通算契約期間・有期労働契約の更新回数について、上限を定めたり、引き下げたりしようとするときの理由の事前説明
募集時の明示事項に、就業場所・業務の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準が追加
裁量労働制の対象者の要件変更、手続き変更、報告期間変更、健康福祉確保措置導入、苦情処理措置導入等
障害者雇用調整金・報奨金の支給方法の見直し
2024年10月 社会保険加入(週20時間等の加入基準)の適用拡大(51人以上の従業員規模)
2025年4月 高年齢雇用継続給付の給付率を10%に縮小
障害者雇用における除外率の引き下げ
2026年7月 障害者法定雇用率を2.7%に引き上げ

 

[2]影響が大きい社会保険加入の適用拡大
 直近で企業に大きな影響が出ることが想定されるものとして、社会保険の適用拡大があります。2024年10月1日より、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業では、週の所定労働時間が20時間以上で、その他の要件を満たす従業員について、社会保険の加入が必要となります。新たに適用拡大の対象となる予定の企業で、例えば2024年4月からの労働条件について、週の所定労働時間を25時間、契約期間1年間で締結した場合、契約当初は社会保険の加入要件を満たさなくても、2024年10月1日からは加入要件を満たすことになります。

 厚生労働省では、年収の壁を意識せずに働ける環境づくりとして、年収の壁・支援強化パッケージを用意しています。従業員に大きな影響の出る内容です。こうした支援策の活用も含めて、早めに対応を検討していきましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます
厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト
厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ

 

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