2月6日 【第1回】働き方改革関連法案特集①残業時間の上限規制

博多駅から徒歩5分のはかた駅前社会保険労務士法人です。

働き方改革関連法案特集第1回は「残業時間の上限規制」についてお伝えします。
「残業時間の上限規制」では、原則として月45時間・年360時間が時間外労働の上限となり、「臨時的な特別の事情」がなければこれを超えることができなくなります。


臨時的な特別の事情があって労使が合意した場合は、下記の条件となります。
・時間外労働は年間720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
・月100時間未満(休日労働を含む)
・原則である月45時間を超えてよいのは年間6か月まで

「臨時的な特別の事情」については具体的に定める必要があり、「業務の都合上必要な場合」などの理由では恒常的な長時間労働を招く恐れがあるとされ認められません。
また、臨時的な特別の事情により限度時間を超える場合でも、できるかぎり限度時間に近づける必要があります。
臨時的な特別の事情において限度時間を超える残業をする場合には、新しい様式で三六協定を締結しなければなりません。

施行については、大企業が2019年4月から、中小企業が2020年4月からになります。
これまでは「厚生労働大臣の告示」という形で示されていた時間外労働の限度が法律で定められた形です。
大企業に関しては今年4月から適用されるということもあり、すでに対策を進めている企業もかなり多いようです。
中小企業は2020年4月からの適用になりますが、すでに所定外労働削減に取り組んでいる企業もありますので、事例をご紹介します。

◇A社(介護施設)
・所定外労働時間の削減を図るため、まずは原因を分析
・残業の原因となっている引継ぎ業務をスムーズに進めるため、数年かけて試行錯誤をしながらシフトパターンを15分刻みで複数作成
・各職員の業務を洗い出し、資格・免許が不要な業務については全員が取り組めるような体制を整える
⇒平成28年度の月平均時間外労働が0.1時間まで削減

◇B社(運送業)
・IT化により、伝票や配送の管理を一元管理
・取引先ごとに1台配備していたトラックを地域ごとの必要数で配備を行い効率的な配送を実現
・営業所長が各スタッフの労働時間累計を把握、労働時間が多くなってきているスタッフがいる場合は業務量を調整
⇒平成29年月平均時間外労働50時間から平成30年月平均時間外労働38時間まで削減

時間外労働の削減を進めていくには、ただ「早く帰る」というだけではなく、現状の分析や効率的な業務の仕組みづくりも進めていく必要があるようです。
厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、様々な企業の取組みを業種別に探すこともできますので、参考にされてみてはいかがでしょうか。

また、当法人では三六協定の届出や就業規則の改定なども承っております。
「まずは働き方改革の内容について聞きたい」など、お気軽にご相談ください!

お問合せ:福岡助成金支援センター

《参考》
厚生労働省「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について」
厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」